[ルポ]秀和幡ケ谷レジデンス
栗田シメイ
毎日新聞出版
2025年3月5日 第1刷
2025年4月20日 第3刷
広告で見かけて気になった。面白そう。。。のぞき見根性で・・・。図書館の予約はすごい数。でも、この類の本を時期を逸して読んでもつまらない、、、ということで、中古でポチってみた。
帯にはたくさんの文字。
”「東京渋谷区の一等地に、とんでもないマンションがある―」
すべては、一本の電話から始まった!
マンション自治を取り戻すべく立ち上がった住民たちの闘争1200日
大量の謎のルール、25年超の不透明な独裁体制・・・・そこは通称「渋谷の北朝鮮」”
内容紹介には、
”新宿駅からわずか2駅、最寄り駅から徒歩4分。都心の人気のヴィンテージマンションシリーズにもかかわらず、相場に比べて格段に安価なマンションがあった。その理由は、30年近くにわたる一部の理事たちによる"独裁"管理とそこで強制される大量の謎ルールにあった。身内や知人を宿泊させると「転入出金」として1万円の支払い、平日17時以降、土日は介護事業者やベビーシッターが出入りできない、ウーバーイーツ禁止、購入の際の管理組合との面接......など。過去、反対運動が潰された経緯もあり住民たちの間に諦めムードが漂うなか、新たに立ち上がった人たちがいた!! 唯一の闘いのカギは「過半数の委任状集めること」。正攻法で闘うことを決め、少しずつ仲間を増やしていくが、闘いは苦難の連続だった......。マンションに自治を取り戻すべく立ち上がった住民たちのおよそ4年にわたる闘いをつぶさに描いたルポルタージュ。” とある。
目次
プロローグ
第1章 立ち上がる住民たち
第2章 海辺の町のもう一つの闘い
第3章 有志の会、戦略を練る
第4章 変化を受け入れ再出発
第5章 決裂と再生――そして迎えた運命の日
エピローグ
感想。
うわ~~~!面白いというか、「まじか!」と叫びたくなるあり得ない実態の数々・・・。
たしかに、これは、面白い。
それって、犯罪じゃないの?とおもうような独裁ルールの数々。しかもその理事長は、別のマンションの理事長も長年やっていて、そこでも訴訟問題に発展していたということ。でも、実際には、自分の住んでいるマンションであっても、自分に直接関係なければみて見ぬふり住民が半数以上ということ。だから、総会を開いても議長への「委任状」が過半数あれば、議長である理事のやりたい放題・・・。
怖いのは、「無関心」だよな、、、と思う。
立ち上がったのは、高齢者であったり、女性であったり、マンションの所有権は持っているけれど実際には住んでいない人だったり・・・。
最後には、独裁者理事を否認するに至るのだけれど、それまでには数年を費やしている。コロナ禍で、活動が制限された時期もあった。弁護士に相談しても、「過半数」の同意がなければ所詮なにもできないと断られ、必死に理事否認へつながる「過半数」の同意を得ようと活動する一部の人々。
入居するのに管理組合理事の面接なんて、聞いたことがない。管理組合が活動としては崩壊しているという話は、昨今耳にすることはあるけれど、こんな独裁、ほんとにありえるのか?!って、まるで、フィクションの小説をよんでいるみたい。
介護事業者が夕方や土日に入れないだけでなく、救急車の救急隊員ですら、管理者不在だからすぐには入れてもらえなかったという。引っ越しの荷物をみて「○○は、持ち込み禁止です」と、搬入を阻止されたり。ただのレジャーグッズなのに。ほんと、北朝鮮だ。。。そんなむちゃくちゃに半数以上の人が無関心だったということのほうが怖い気がする。
これから、中古マンションを買おうとする人がいたら、こんな恐ろしい管理組合もあるんだよぉ、、、って、ちょっと脅しになっちゃうかも。
幸い、私の住んでいるマンションは今のところ管理組合がきちんと機能している。まぁ、まだ築10年だし。それにしても、せっかく手にしたマイホームが、北朝鮮だったら泣くに泣けない・・・よね。隣に変な人がいても、いつか引っ越すかなぁって思えるけど、管理組合が最悪なのは、最悪だ・・・・。賃貸マンションならまだしも、、、、。
238ページの単行本。あっという間に読める。私にとっては、完全に他人事、って感じだけれど、頑張った住民の人びとは、あっぱれ!だと思う。この先、平和に暮らしていけるといいですね、、、って言ってあげたくなる。
