『チリンのすず』  by やなせたかし

チリンのすず
やなせたかし 作・絵
フレーベル館
1978年10月 初版第1刷発行
2023年9月  新装第1版発行

 

NHKの朝ドラ『あんぱん』に関係して話題になったらしい、、、というので、図書館で借りてみた。私は朝ドラを見る習慣はないので、よく知らなかったけれど、このお話に出てくるチリンと同じような境遇、そしてセリフが出てきたのだとか。

図書館で借りて読んでみた。

絵もやなせさん。

 

やなせさんは、1919年2月6日生まれ。ご存じ『あんぱんまん』の著者。2013年に94歳で永眠。そうか、もう、10年以上前なのか・・・・。

 

アンパンマンとは また ちょっと様子の違う 優しい絵。擬人化されているところが、ちょっと似ている。ちなみに、もともとは『あんぱんまん』とひらがなだったみたい。TVキャラは、アンパンマンだけど。

 

表紙をめくると、
”うまれた ばかりの
こひつじ チリン。
あるひ おおかみのウォーが
まきばを おそい
チリンの おかあさんは
しんでしまいます。

チリンは つよくなりたいと、
かたきである ウォーに
でしいりを するのですが・・・・”
と。

 

どんなお話なのかと思ったら、、、なんて、悲しいお話でしょう。。。。
えぇ、、、、?!
ってくらい、悲しかった・・・。


チリンのお母さんは、チリンをおおかみからまもって死んでしまう。
チリンは、強くなりたいと、お母さんを襲ったオオカミのウォーに弟子入りする。

チリンは、
「ぼくは こひつじの チリンです。
ぼくも あなたのような
つよい おおかみに なりたい。
ぼくをあなたの でしにしてください」
と、ウォーのもとを訪ねる。

嫌われ者のウォーは、そんなことを言われたのは初めてで、嬉しくなって、チリンを弟子入りさせる。

 

毎日激しい訓練。
「そんなことじゃだめだ、ウォーと吠えてみろ」
「はい 先生、メェェェ」

チリンは、春も、夏も、秋も、冬も、訓練に明け暮れた。

 

チリンの頭には角が生え、だんだんたくましく育っていった。


3年目には、チリンは、どこから見てもひつじには見えない、けだものになる。

 

その変化のイラストは、なんだか、セツナイ・・・。
かわいいチリンが、怖い顔になっていく・・・。

 

チリンの首には、相変わらず鈴が付いていて、今ではその音をきいただけで、みんな震えあがりました。

チリンとウォーは、このあたりの2人組暴れ者として有名になっていました。

 

そして、あるあらしの夜、二人は、牧場を襲う。
「僕がまず犬をやっつける。犬の鳴き声が聞こえたら、ウォーはまっすぐにひつじ小屋をおそってくれ」
そう言い残して、チリンの姿が闇の中にきえた。

やがて、ひつじ小屋からけたたましい犬の声。
「いまだ!」
ウォーが駆け下りていき、ひつじ小屋まであと一息!というところで、
ウォーは、黒い影に襲われる。

「おまえは、おかあさんのかたきだ!」
チリンの角が、ウォーの胸を突き刺した。

 

「ぼくは、この時が来るのを今か今かと待っていた。
おまえよりつよくなるために、頑張ったのだ。
死ね ウォー」

「ずっとまえから、いつかこういうときが来ると覚悟していた。
おまえにやられてよかった。
おれは よろこんでいる」

ウォーは死んだ。

 

嵐の夜が明けた時、チリンは岩山の断崖の上でうなだれていた。

「ぼくは おかあさんの仇をとった。
しかし、僕の胸はちっともはれない。
ゆるしてくれ、ウォー。
おまえが死んではじめてわかった。
おまえは、僕の先生で、お父さんだった。
僕は、いつのまにか お前を好きになっていたのだ。
もう、ぼくはひつじにはかえることができない。。」

チリンは泣きながらどこともなく山を越えていきました。

いまでも激しい嵐の夜には、風に交じってかすかに鈴の音が聞こえることがあります。
でも、チリンの姿をみたものは、だれひとりとしてありません。

 

おしまい。

 

かなしい・・・・。
悲しすぎるだろう・・・・。

 

敵討ちって、、、たとえ、チリンがウォーではないオオカミのところに弟子入りしていたとしても、ウォーを殺した後にきもちは晴れただろうか。

 

恨みは、だれも幸せにしない。

難しい問題だ。。。。

 

でも、もしも自分の家族が誰かに殺められたら?

殺したいくらい、犯人が憎い。

でも、憎しみは救いにはならない。。。

 

むずかしい。

やなせさんは、こんな難しい絵本も書いていたのか・・・。

まぁ、アンパンマンバイキンマンをやっつけるのだって、敵討ちか?!

 

う~ん、

私は、恨み、妬みとは無縁の世界で生きていきたい。

 

三毒追放運動実施中!

怒るな、妬むな、愚痴るな!

くわえて、恨むなっていうのも大事かもね。

 

恨みたくなるような事態をあまり経験していないのは幸せなことだ。

恨んでも、救われない。

 

チリンは、どこかで一人で生きているのだろうか。

自分と向き合う時間を静かにすごしていたらいいな・・・・。

死んじゃだめだよ。