ぼくは川のように話す
ジョーダン・スコット 文
シドニー・スミス 絵
原田勝 訳
偕成社
2021年7月1日 1刷
全国学校図書館協議会選定
I TALK LIKE ARIVER (2020)
この1か月の間に、2回もこの本の話にであった。動画と雑誌と。これは、読んでみなくちゃと思って、図書館で借りて読んでみた。
英語版と日本語版と両方。
まず、表紙も含めて、絵がとても印象的。
優しく、美しく、まばゆい光。
表紙を開くと、
” 朝、 目をさますといつも、
ぼくのまわりは
ことばの音だらけ。
そして、ぼくには、
うまくいえない音があ
吃音のある詩人をささえた
少年の日のできごと。
「ぼく」の心をすくった
美しい川の光景が、
心情あふれる言葉と
みずみずしい絵によって
胸にせまる絵本”
とある。
著者のジョーダン・スコットは、 1978年 生まれ。 カナダの詩人。 2018年、 これまでの業績に対してThe Lather Writers’ Trust Poetry Prize を受賞。 初めて 絵本のテキストを手掛けた本書により、 シドニースミスと共に、障害を持つ体験を芸術的な表現として表した児童書を対象に選ばれる シュナイダー ファミリーブック 賞を受賞。
絵のシドニー・スミスは、1980年生まれ。カナダの画家。 『おはなをあげる』(ジョナルノ・ローソン作)によりカナダ総督文学賞を受賞。 初めての自作絵本『このまちのどこかに』によりエズラ・ジャック・キーツ賞とカナダの総督文学賞を受賞。
訳者の肌ださんは、1957年生まれ。 東京外国語大学卒業。長編翻訳、絵本翻訳がある。
感想。
もう、、、、涙が、、、、でちゃう。
なんて素敵な絵本でしょう。
文字は少ない。
でも、絵が、ものすごく多くを語っている。
英語で読んでも、十分に伝わってきた。
詩のように美しい文章と、美しい絵と、、、
朝起きても、吃音のせいで、あまり口をひらかないまま、だまってオートミールを食べる。
学校に行っても、みんなの前で話したくないから、
先生にさされませんように、、、とちいさくなっている。
みんなと、話し方がちがうから。
クラスメートは、ぼくが話すと笑う。
のっぺらぼうのクラスメートたちの姿。。。
学校で、毎朝ひとりずつ、世界で一番好きな場所について、話すことになっている。
今日は、ぼくの番。
でも、口が、どうしても、うごかない。
もううちにかえりたい。
と、ここまで読んだだけでも、涙が出てきちゃう。
ぼくは、ずっと笑顔がない。
放課後、お父さんの車がまっていた。
「うまくしゃべれない日もあるさ。
どこかしずかなところへいこう。」
顔のないお父さんと、隣に座るぼく。
サイドミラーにうつるぼくの顔。。。
そして、見開きに、美しい川と森の絵。
おとうさんは、ぼくを川へつれていった。
きれいな色の石やアメンボをさがしながら、
ならんで岸をあるいていく。
ぼくは、クラスメートにクスクス、げらげら笑われたことを思い出してしまう。
むねのなかに 嵐がおこり
ぼくの目は雨でいっぱいになる。
”おとうさんは、ぼくの顔を見て、
かたをだきよせ、川をゆびさした。
「ほら、 川の水を見てみろ。
あれが、お前の話し方だ」”
お父さんに抱き寄せられて並んで座る2人の後姿と、川の絵。
”見ると、川は・・・・”
ページをめくると、
ぼくの瞳と川と文字とが積み重なる。
ぼくの目にはいってきた川は、
あわだって、渦を巻いて、波を打ち、くだけていた。
その次のページは、折りたたまれたページが両方に開く。
おりたたみを開く前は、ぼくの顔のアップ。
そして、左右に広げて開くと、
光いっぱいに輝く川とそこの中にいるぼくの後姿。
「おまえは、川のように話しているんだ」
それから、ぼくは、泣いてしまいそうなるとこのことを思い出す。
”思い通りに言葉が出てこないときは、
どうどうとした この川を思いうかべよう。
あわだって
なみをうち
うずをまいて
くだけている川を”
そして、急流のさきでゆったりと流れ、
なめらかに光る川のことを思いうかべよう。
ぼくの口も、この川の流れとおなじ。
これがぼくの話し方。
川だって、どもってる。
ぼくと、おなじように。
そして、ぼくは、学校で みんなの前に出て
世界で一番好きな場所のことを話す
そうあの川のことを。 I talk about the river.
僕は話す 川のように。 And I talk like a river.
うつくしい!!!!
本当に、絵も素晴らしい。
これこそ、絵本だ。
最後に「ぼくの話し方」という1ページにわたる作者のメッセージがある。
子どもの頃、どもるのがつらかったこと。でもお父さんにつれて行ってもらった川で、「流れるように話す」ということに違う考え方をするようになったということ。
本当に美しい本なので、ぜひ読んでみてもらいたい。
クスクスわらう、子供の残酷さ。
「川のように話している」ということ伝えるために川に連れて行ってくれたお父さん。
二人の後姿が、、、、泣ける。
いい一冊でした。
吃音の話については、『きみの体は何者か』も、秀逸。
