おしゃべりなたまごやき
寺村輝夫 作
長新太 画
福音館書店
1972年12月10日 発行
2002年6月5日 第79刷
図書館で、「たべものにまつわる絵本」というコーナーに置かれていた。表紙の画面いっぱいにケージの向こうに群れるニワトリが気になる。しかも、その前にたたずむ後姿は、王様?!福音館書店の絵本。
と、気になったので、借りて読んでみた。
正方形のようなタテヨコのバランスの絵本。
表紙をひらくと、中表紙にはお月様みたいな、、、黄色い丸。これは、たまごの黄身かな???
イラストは、絵具のベタ塗りっぽい、はっきりしとした彩度。ほのぼの可愛い感じ。
”ある国の ある王さまのはなしです。”
とはじまる。
王様は、赤白のガウンを着て、中に緑の服をきているので、なんだかクリスマスカラー。もじゃもじゃお鬚で口は見えないけれど、目はにこにこ笑っている。
王様は、毎朝、朝ごはんを食べると「あいさつのへや」に出かける。
たくさんのひとが、王様に挨拶に来るから。
王様が、あいさつのへやにつくと、
テレレッテ トロロット プルルップ タアー
とラッパがなる。
大臣、兵隊長、勉強の先生、おいしゃさん、はいしゃさん、とこやさん、、、、、、いちばんあとにコックさん。
「王様おはようございます。ばんのおかずはなににしましょうね」
「たまごやきがいいな。めだまやきにしてくれ」
晩御飯に目玉焼きかいっ!ってつっこみたくなるけど・・・。
王様は、朝の勉強が終わると、休み時間。
お城の中を一回り。
とっと たった と走っていると、美味しそうな台所の裏で、にわとり小屋をみつけました。
小屋にはにわとりがぎゅうぎゅうに入っていて、扉にはカギが刺さったままです。
「よし、まってろよ」
王様は、カギをがちゃりとあけました。
ぎゅうぎゅう詰めだったにわとりが、戸をはじくように飛び出してきました。
たいへん!
にわとりだらけ!!!
王様は、にわとりに追いかけられて逃げます。
兵隊は「たいへんだ!王様がにわとりにおいかけられている!」
「半分はにわとりをおって、半分は王様をたすけるんだぁ!!」
ぱ ぱーん!
ピストルを空に向けて撃ちました。
にわとりは、びっくりして、こけっこ けっけ!
あちこちに逃げ出します。
王様は、部屋に帰って
「ああおどろいた。まさか、こんなさわぎになるとは・・・・」
と、手にはにわとり小屋のカギを持ったままのことに気づくと、
「ええい、こんなもの、捨ててしまえ!」
窓からカギを捨ててしまいました。
部屋の隅で物音がします。
なんと、めんどり。
「しっしっ!」
追い出そうとして、ふと、気が付きます。
「まてよ。 いま、ぼくが、鍵を捨てたのを こいつ みてたな」
王様はめんどりの首をつかまえると
「ぼくが、 とりごやを あけたのを だれにも いうなよ。だまっていろ。」
と、めんどりに言い聞かせました。
大臣とコックさんが王様のへやにやってきて、城中を探しても犯人が見つからないとつげます。探していないのは、この部屋だけ。しかも、この部屋のしたからカギが見つかった。ここに犯人が隠れていないかと、、、、、。
コックは、「わたしがカギをさしたままにしたものですから、、、」としきりにあやまります。
王様は、心の中でおかしくて仕方がありません。
わざと怖い顔をして
「カギをあけた犯人を、牢屋に入れてしまえ。
いいか、王様のいいつけだぞ。
なにしろ、ぼくは、おおさまだからな」
「は、はい・・・」
隊長は、王様の部屋を探します。
あ!
カーテンの陰にめんどりがうずくまっていました。
「こらっ、でろっ」
隊長は、めんどりを抱えると部屋をでていきました。
王様は隊長が帰った後、にやっとわらいました。
「なあに、しっているのは、にわとりだけだ。
だれにも、わかりはしない」
そして、王様は部屋の中で、さっきのめんどりが産んだ卵をみつけます。
そこに大臣がやってきて、
「にわとりがさっきのピストルにびっくりして卵を産まなくなってしまいました。
今夜のめだまやきはできなくなってしまいました。
コックは、申し訳ないといって、自分で牢屋にはいってしまいました。」
「なに?牢屋に? 卵があればコックは牢屋からだしてもらえるかい?」
王様は、さっきの卵を大臣にわたして、コックを牢屋から出すように言います。
「なんてやさしい王様でしょう」
なんにもしらない大臣はにこにこして帰っていきました。
夜ご飯の時間です。
サラダ、スープ、りんご、いちご、チョコレート、、、、
コックが、
「今日は一つで我慢して下さい」
と、目玉焼きをだしました。
王様は、「あ、うん」といいながらナイフで目玉焼きの真ん中をぷつり・・・・。
と、とろっとながれだした黄身と一緒に誰かさんの声が聞こえてきました。
「ぼくが とりごやを あけたのを・・・」
びっくりしたコックさんは
「王様、なにかいいましたか?」
王様もおどろいて
「いいや・・」
もう一度、ナイフでぷつり
「だれにも いうなよ・・・」
王様が顔を真っ赤にして、ペロッと卵をひとのみにすると、
「だまっていろっ」
王様の口の中で黄身がいいました。
さっきのめんどりは、王様が言ったことを、たまごの中にしまっておいたんだぁ!
コックさんは、ああ、そうだったのか、、と思い、
「だ、だまってます。王様が、とりごやをあけたことは だれにもいいません」
王様はコックさんと顔を見合わせて、恥ずかしそうに笑いました。
「はっはははは」
おしまい。
なんて、ずるい王様!!
コックさん、偉い!
耳打ちしためんどりが産んだ卵に、耳打ちした言葉が仕舞われてて、プスっとしたと同時にとろっと声まで飛び出すとは!
面白い。
しょうもないお話だけど、おもしろかった。
おしゃべりな「たまごやき」じゃなくて、「めだまやき」だな。
卵焼きだったら、黄身が攪拌されちゃって、王様の言葉もバラバラになっちゃってたかも。だから、「目玉焼き」なんだ。
どおりで、晩御飯に目玉焼きなんて、、、とおもったけれど、ここはやっぱり、半熟の黄身がナイフでぷすりとやられて、とろっとでてきて、
「ぼくが とりごやを あけたのを・・・」なんだな。
翌日の朝ご飯でもよかったんじゃないか?
一晩たって、王様も油断していたところに
「ぼくが とりごやを あけたのを・・・」で、びっくり、とか。。。。
それにしても、反省をしらない王様らしい。
あやうい、あやうい。。。
けど、もしも、自分が子の王様だったら??
わたしも、こっそりカギをすてちゃうかも・・・・。
良い子の皆さんは真似をしないようにしましょう。
