デューン 砂漠の救世主 新訳版 下
フランク・ハーバート
酒井昭伸訳
早川書房
2023年4月10日 印刷
2023年4月15日に発行
Dune Messiah(1969)
*本書は、1973年8月に早川文庫、SFから刊行された『デューン 砂漠の救世主』の新訳板の2分冊のうちの下巻です。
上巻の続き。
裏の説明には、
”ポールは、その予知能力をもってしても陰謀者の策謀を止めることができないでいた。彼に忠誠を誓っているはずのフレメン内部の裏切り、名義上の皇妃イルーランの暗躍に、死から蘇ったダンカン・アイダホの偶人(ゴウラ)を用いた計略――そんななか、ポールの愛妃チェイニーが帝座を継ぐ子を懐妊する。だが月が墜ちる幻視に苦悩するポールは、過酷な選択を迫られることに……。壮大な未来叙事詩、悲劇の第二部。解説/堺三保”
とある。
下巻は、まさに一気読み。
上巻の最後で、すでにポールは月が落ちるイメージに取りつかれ、アリアは偶人として送り込まれたヘイトにダンカンの面影をみて気を取られる。なんとも危ういポールとアリア。
感想。
え~~、、、なんと。
それは、第二作にブーイングが出たわけだ、、と思ってしまう悲しい展開。
でも、繋がるのである。ポールの血はチェイニーの生んだ双子につながるのだ・・・。第三作は、この子たちの活躍なんだろうか?
と、また、お話が完結しない。さらに続きに惹かれる。。。すごいSF小説をかいたもんだ、と思う。面白い。
以下、ネタバレあり。
老教母は拘束された立場で、ポールに謁見する会場に現れる。かつては、自分がこの小僧(ポール)を試したのに、今では立場が逆転。
ポールは、老教母に取引を持ち掛ける。イルーランに人工授精で自分の子供を産ませてもよいとし、その代わりにチェイニーの産んだ子を帝座につけるのを認めさせようとする。それは老教母にとってはとんでもない話だった。ベネ・ゲセリットでは人工授精は禁忌であり、そうしてイルーランが妊娠したとしても、ポールの子であるとは公表できない。老教母は、イルーランが避妊薬を投与していたはずなので、チェイニーが妊娠することはないと信じていたが、チェイニーは自分の身を守るために食事を変えていたのだった。そして、既に妊娠していた。
妊娠6週目を迎えたチェイニーだったが、突然体調をくずす。イルーランが避妊薬を自分の食事にもっていたことに気が付いたチェイニーは、「あの女を殺す」と怒りまくるが、皇帝内部のいざこざを是としないポールは、それを許さない。チェイニーはポールの言葉に順う。
ポールは、あるフレメンの家を訪れ、そこにも自分を陥れようとする偶人が仕込まれていることを見抜く。フレメンの中にも自分への裏切り者がいるのか? 家の者ですら気が付かないほど本人に似ているが、それは偶人だった。陰謀は、もちろんスキュタレーはじめ秘密会合のメンバーによるもの。スキュタレーは、ポールへの陰謀がばれたのではないかと冷や汗をかくが、ポールはフレメンを尊重するふりをしつつ、逆にスキュタレーの裏をかく。だれを信じていいのか・・・。陰謀の上の陰謀。
ポールは自分たちの未来を予知するが、それは幸せな未来ではない。それでもこの道を進まなくてはいけないのか、と悩む。アリアにも未来は見えているはず、でも止めようとしない。
そして、ポールは敵の攻撃に倒れる。岩石昇華発破によって核爆弾が使われ、ポールは両目の視力を失ってしまう。しかし、予知能力で、まるでみえているかのようなポール。ただ、ポールの顔にあるのは、今では二つの眼窩だけだった。ダンカン、ヘイトにもポールを守ることはできなかった。戦闘場面は、相変わらず激しい。
チェイニーの出産が近づく。ポールがチェイニーにやさしく語り掛ける。
「ひとつ約束しよう、愛しいひと。僕たちの子供は 偉大な帝国を統治する。 僕の帝国 など 霞んでしまうほどの大帝国を。 生活面、芸術面、崇高さ、すべてにおいて、ずっと立派な・・・・」
チェイニーの出産が近づくと、チェイニーは住まいをシエチにうつした。安全だと思ったからだ。しかし、それを阻止しようとする敵の手がシエチにも侵入してくる。ヘイトに護られているにも関わらず、違和感を感じるチェイニー。ヘイトは、チェイニーの出産がまじかであることを察し、チェイニーを出産場へと急がせる。ヘイトは、まるでポールの代わりにチェイニーを守ろうとするダンカンだった。
ポールは、シエチとははなれた居住地にいたが、チェイニーの出産を感じた。そして、それと同時に「彼女は、、、逝ってしまった。。。。」ということも、目の見えないポールには見えていた。
チェイニーは、男の子と女の子の双子を生んで、死んでしまった。それを告げなくてはならなかったヘイト。それを予め知っていたポール。ポールの悲しみに触れることでかつてダンカンであった自分をとりもどすヘイト。涙を流すダンカン。
ポールを滅亡させるために敵から送り込まれたヘイトは、アリア、チェイニー、ポールらの愛に触れて、目覚めたのだった。ヘイトはもう、ヘイトではなかった。ダンカン・アイダホにもどっていた。
そして、スキュタレーの思惑通りには動かなくなったダンカン。スキュタレーは、チェイニーとポールの双子を抹殺するために、やってくる。アリアにも防げなかったピンチ。が、目の見えないポールだったが、ポールのクルスナイフがスキュタレーを倒す。
ポール自身も、なぜ、スキュタレーを倒せたのかわからなかった。その時、ポールは声をきいた。
「ぼくの目だよ、とうさま」。
双子を殺そうとしたスキュタレーに向けたポールのクリスナイフは、その双子の意志によってスキュタレーの命を奪ったのだった。
そして、ポールは新生児かごのなかの双子と一体になった感覚をえる。アリアが、新生児かごの中の双子の無事をよろこび、あやす。あやしているのは赤ん坊ではなく、自分ではないのか?
生れた女の子は、砂漠の民ならではの力強さを感じさせ、黄色かがった赤毛の髪。その子が目をあけると、チェイニーの目が覗いていた。そして、レディ・ジェシカの目も。その子は、ガニーマ、「戦利品」と名付けられた。また、男の子は、ポールの父にちなんでレトと名付けらえた。
盲目となったフレメンは、村を去らねばならない。ポールは、砂漠に消えていった。ポールを途中まで案内したフレメンによれば、ポールの最後の言葉は「これでおれは自由だ」だった。
ダンカンは、思う。ポールは、砂漠と一体化する・・・・。どこまでも不滅・・・。
そして、帝国はアリアと双子の子供達に委ねられた。アイダホ・ダンカンに護られながら。
アリアは、「あなたが必要」とダンカンに告げ、ダンカンはそれに応えアリアとともにシエチへと向かった。
THE END
う~ん、砂漠に消えたポールがどうなっちゃうのかも気になるけれど、もしかすると第三作にはもう出てこないのだろうか? 第二作の悪党たちは、最後に処刑される。そして、帝国は安泰?この先のアリアとダンカンの恋は?双子は?
お話が完結しないままの第二作の終わり、って感じ。たしかに、まだまだ途中でしょ!って感じ。続くのだと思えば、なんてことない、いい感じの「また続く」。
第三作も読んでみなきゃ・・・。
『失われた時を求めて』もそうだけれど、全部読み終わってから最初から読み直すと、見逃していた発見もありそう、、、、。
長編ならではの楽しみ。
あぁ、読書は楽しい!
