『母の味、だいたい伝授』 by 阿川佐和子

母の味、だいたい伝授
阿川佐和子
新潮社
2023年2月25日発行

 

図書館の棚でふと目に入った。 阿川さんの作品だし、23年と割と新しい。気晴らしに、借りて読んでみた。

 

表紙もかわいい、イラスト。
お料理をしているのは佐和子ちゃん?!

 

内容紹介には、
”結婚もした、両親も看取った、私に残ったのはいよいよ〈あの欲望〉だけだ――。懐かしい母の味を再現しようと奮戦し、動脈硬化を注意され、好物の牡蠣に再三あたり、でも食欲と好奇心は相変わらずの日々から生まれた風味絶佳のおいしいエッセイ集。コロナ禍の最中に逝った母をおくった、話題の「リモート葬儀顛末記」を附す。”
と。

 

阿川さんは、1953(昭和28)年東京生れ。慶應義塾大学卒。報道番組のキャスターを務めた後に渡米。帰国後、エッセイスト、小説家として活躍。『ああ言えばこう食う』(檀ふみとの共著)で講談社エッセイ賞、『ウメ子』で坪田譲治文学賞、『婚約のあとで』で島清恋愛文学賞を受賞。その他の著書に『スープ・オペラ』『うから はらから』『ギョットちゃんの冒険』『聞く力』『叱られる力』などがある。

 

TVにもよく出られていたので、あの明るく、コロコロと笑う姿、好感度の高いキャスターのひとりとして、私でも知っている。檀ふみさんとの突っ込み合いも楽しく、独身女同士の対話を楽しんでいたけれど、2017年に60代で、元大学教授の69歳の男性と結婚している。
故に、自分一人のご飯ではなくなって、さらに料理の腕に磨きがかかったという感じか。ついでに、お母さまを亡くしてから、お母さまの形見の着物を着るようになられて、最近では着物関係の雑誌でもよくお見掛けする。

 

目次
母の味――ちょっと長いまえがき
飯炊き蟄居
生ハム濃厚接触事件
献立楽屋
免疫カレー
ウチ寿司
母サラダ
掟破り
帰ってきた鶏飯
小さな雑菌
味噌汁の道
朝夜交換記
ウチ外食
根っこ、茎っこ、捨てない葉
お手元バナナ
オートミールで朝食を
暴れん坊納豆
頗るつきの美味まで
アラウンド ザ 中華
牡蠣ニモ負ケズ
やっぱり牡蠣が好き
モチモチしよう
キーウの音色
だいたい伝授
本場への旅
リモート葬儀顛末記

 

感想。
ははは、楽しい!そして、美味しそう!!


目次を見て、気になるところだけ読んでも楽しめる。レシピのはなしだけではなく、食にまつわる話、お父さん、お母さん、の話。はたまた、アメリカにいる弟の話。

 

リモート葬儀顛末記は、コロナ禍中にお母さんが亡くなり、アメリカにいた弟家族と、リモート葬儀をしたという話。お寺側にとっても、いつかはやってみなければ、が現実の渡来となって、感謝されたそうだ。やはり、両親の死に目に逢えなかったとしても、お葬式にも出られないというのは、きっと、ず~~っと、心に傷を残しそうだ。リモートでも弟さん家族は、参加できてよかったと思う。

 

お父さんが亡くなる前の日に、阿川さんが良かれと思って持っていったとうもろこしの天ぷらを、お父さんは、「まずい、、、」といって吐き出したとか、、、笑える。泣ける。

まぁ、ほとんどの話は、ははは、、、って笑える感じ。

 

カレーには、残り物を何でも入れるという阿川さん。カマンベールチーズも、トムヤムクンスープの素も、冷凍庫の中のオックステールスープも、冷蔵庫の中のひからびかけたセロリ、しなびたシイタケ、、、、。
わかるなぁ。。。カレーは、色々入れれば入れるほどおいしくなる、と私も信じている。かくして、食べた人に絶賛されるカレーはできるけれど、再現不可なのだとか。ははは。

 

シーザーサラダは、大好物の一つだそうで、 初めて食べた時 「これはジュリアス・シーザーが好んで食べていたサラダか」と短絡的に想像したけれど 違った、と。 そもそもはメキシコにあるイタリアンレストラン「シーザーズ プレイス」のオーナーである シーザー さんが考案し、その味の評判がハリウッドの芸能関係者の間に広まって その後 世界中で知られるようになったのだとか。ロメインレタスで作るのが本場風だけれど、阿川さんの家では、
「 使っていたのはもっぱら 普通のレタス。 水洗いをし、 よく水切りした上で 冷やし、 程よい大きさにちぎっておく。 一方で温泉卵をつくる。これが上手にできる日と、多少固めになってしまう日がある。 ベーコンの細切れをフライパンで焼き、 出てきた油も加えてドレッシングを作る。酢、塩コショウと、なぜか ウスターソース を数滴 落とす。 冷やしたサラダボールの内側にニンニクのかけらをたっぷり すり込み、 レタスを投入。 カリカリに焼けたベーコンに、 事前に作っておいた 小さめの クルトンをまぶし、 ドレッシングとあえてよく混ぜる。 最後に温泉卵をぽとり。 さらにチーズをたっぷり 上から擦ってまぶす。」

美味しそうだね。

 

糠味噌の話から、半藤一利さんの話に。その奥様・末利子さんは夏目漱石のお孫さん。なんでも、末利子さんも、エッセイをかかれていて、『夏目家の糠みそ』で、夏目漱石も食したぬか床がいまだに生きている、と話題になったことがあったらしい。
その噂 東京農大の発酵学の教授のもとに伝わり、 農大にて分析され、 日本最古の植物性乳酸菌がその糠味噌から検出されたという。へぇ、、、すごいね、糠味噌。

 

中華の話では、 40年近く前 エチオピアに飢餓の子供たちの取材に行ったとき首都 アジスアベバ でスタッフともども向かったのが 中華料理店 だったという話。日本人なら、海外で現地の食に飽きた時、つかれた時、中華料理に癒されるかんじ、わかる。もちろん、和食があればいいけど、エチオピアではさすがに難しいだろう。。。高野さんのように酒種族を取材するのではなくても、、、。

megureca.hatenablog.com


で、世界の中華は、それぞれの国風にアレンジされている。

 

キエフ風カツレツは、「キーウ風カツレツ」に変わったという話。鶏肉のカツレツで、中からとろーりたっぷりバターが溶け出てくるカツレツらしい。

ウクライナって、すっかりロシアとの戦争で有名になっているけれど、本当は自然豊かで、食も豊かな国なんだよね、、、。

 

23年の出版で、コロナ禍の蟄居のあいだの献立作りの大変さ、などの話も出てくる。ほんと、あの頃、3食を家で食べるのは、つくるほうが大変、と、家族持ちの友人、後輩が声をそろえて言っていた。家によっては、ランチは自分で何とかする、と決めたりしていた。

 

コロナ禍と同時に、脱サラした独居ぷー太郎になっていた私には、好きな時間にご飯がたべられて、ほとんど苦労がなかった。正直、外出をすごく控えていたわけでもない。通っていたジムが休業してしまったので、川沿いの散歩が日課になったくらいで、特に生活パターンもかわらず、食べるものも変わらず。一度も、Uber eatsを試したこともない。そもそも、一食分を頼むのは割高すぎる。かつ、自分で食事をつくることがなんにも苦にならない私には、特に必要としなかった。

 

ちなみに、今朝のお昼は、カレーだった。レトルトのカレーの元に、チキンを入れて、トッピングに小松菜のお浸し、カボチャの煮物。ようするに、なんでも投入に近い。そうして、冷蔵庫の5Sが進む。

5S:整理・整頓・清掃・清潔・躾

何事も、5Sって、大事。

 

料理が面倒になってしまう理由の一つに、キッチンが片付いていないっていうことがあるのではないだろうか。

ダイニングの机のうえは、書類の山になっていても、キッチンはスッキリさせておきたい派。片付いていれば、ささっと料理するのはさほど苦にならない。

 

と、キッチンは片付いていても、実は、冷蔵庫の中にはいつの物かわからない調味料と、、、、たくさんあるんだよね・・・・。いつか使うかも、、、が、危険。

でも、捨てられない・・・・。

 

やっぱり、断捨離DAYを決めて、時々、冷蔵庫やパントリーの大掃除しなきゃ、って思った。

 

こういうエッセイ、自分の生活を見直すのにも刺激になる。

楽しく読めて、自分の生活を振り返るのにもいい。

阿川さんのエッセイ、楽しい。