『あいうえおの き』 by レオ=レオニ

あいうえおの き
ちからを あわせた もじたちの はなし
レオ=レオニ
谷川俊太郎 訳
好学社
2019年4月3日 第28刷
©1975

 

レオ=レオニの絵本シリーズ。

megureca.hatenablog.com

 

図書館で借りて 読んでみた。

 

文字たちのお話。でも、表紙には葉っぱとミツバチ かな?

表紙をめくると、袖には谷川さんのメッセージ。

 

”レオニの一面

1977年11月 ニューヨークのステムフリ画廊で、〈パラレル・ボタニー〉 と題する彫刻展が開かれました。 作者はレオ=レオニ、 ラテン語風の学名をもつ、 不思議な形の幻想の植物群が、木やブロンズで作られています。 私はカタログを見ただけなので はっきりしたことは言えませんが、そこには 絵本の世界からはうかがい難いレオニの一面が現れているように思いました。
  そのカタログの中で、 彼は子供の時代から小石や苔や羊歯などを水を抜いたガラスの水槽に入れ、とかげやかたつむりや亀や蛙たちのための小宇宙を作るのが好きだったと言っています。 自然というものの限りのなさにおそれを感じ、そうした小さな人口の世界の秩序に逃げ場をもとめたと語るレオニは、しかしもしかすると、彼の絵本のもっとも奥深い秘密を明らかにしているのかもしれません。
 今度私の訳した 3冊の絵本にも、レオニの不安と、それ故のメッセージが読み取れるように思えるからです。”

 

パラレル・ボタニーって、何だろう?とおもって調べてみたら、レオニの描いた空想の植物画展だったみたい。鉛筆がの画集になっているけれど、絶版のようだ。

www.oryza-books.com

 

物語は、「あいうえお の き」について、木をのぼっているありたちが話をしているシーンから始まる。両開きのページに1本の大きな木。上半分は緑の葉がおいしげり、幹は太くも無く、細くもなく、やわらかい曲線で空に向かって広がっている。
木の幹には2匹のあり。

 

「これが あいうえおの き だよ」
「どうして あいうえおの き って いうの?」

 

一匹のありが言うには、何年か前まで、葉っぱには文字がいっぱいで、文字たちは、はっぱからはっぱへとびうつりながら、楽しく暮らしていた。

文字たちは、それぞれがお気に入りの葉っぱがあって、そのうえでひなたぼっこしたり、春のそよ風に揺れたりしていた。

 

ズームアップされた葉っぱには、明朝体であいうえおが、一枚の葉っぱに一文字つ書かれている。元は、アルファベットだったのかな?

 

ある日、嵐の風で、文字たちは、葉っぱから吹き飛ばされてしまった。いくつかの文字は葉っぱにしがみついて残った。
嵐が止むと、文字たちはおそろしさのあまり、下枝の茂み深くに固まった。

 

きいろいはねで赤と黒のへんてこな虫が、かくれている文字たちを見つけた。

ミツバチかと思ったら、「へんてこな虫」だった。

 

文字たちはいいわけをした。

「かぜをよけているんだ」
「でもきみはいったい、だれ?」
「ぼくは ことばむしさ」
「ことばを つくるのを おしえて あげるよ。
かたまっていないで いくつかずつ ならんで ごらん。
どんな 風にも 吹き飛ばされないよ。」

 

ことばむしは、辛抱強く、文字たちに手をつないで言葉をつくることを教えた。

 

葉っぱの上には、言葉が並ぶ。
ねこ
むし
はっぱ
あおぞら
わたし
いぬ
ねこ
こえだ
ちきゅう
・・・・

 

文字たちは、いそいそと小枝に戻った。
もう、風が吹いても怖くなかった。
ことばむしの言ったとおりだった。

 

ところが、ある夏の朝、みたこともない毛虫がやってきて葉っぱにちらばっている言葉に言った。

「めちゃくちゃだね。
 いっしょになって、ぶんをつくったら どう?
 なにか 意味のあることを いったら?」

 

そんなこと 思いつかなかった!
これで ほんとにはなしができる。

 

文字たちは、風や葉っぱや虫のはなしをした。

 

かぜは いじわるを します
はっぱは みどりいろを しています
むしは ちいさくて かわいいです

 

その調子!
「でも まだまだ だね」とけむしは言った。

「どうして?」おどろいて 文字たちはきいた。

「なにか 大事なことを いわなきゃ だめだ」けむしは答えた。

 

もじたちは、本当に大事なことは何か 考えた。
そして、とうとう、考えついた。
平和より だいじなことがあるだろうか?
みんなは、わくわくしながら ぶんをつづった。

 

「ちきゅうに へいわを すべての ひとびとに やさしさを せんそうは もう まっぴら」

 

「すばらしいよ!」けむしは言った。

「さぁ、ぼくの背中に のるんだよ」

文字たちは、一人ずつ、けむしの背中によじのぼった。

「でも、どこに つれていくの?」

「だいとうりょうのところさ」
けむしは答えた。

 

おしまい

 

最後のページは、うすむらさきいろのけむしが、もじたちをのせて、木をおりていく。どこの国の大統領のところにいくのかな?

 

文字が言葉をつくり、言葉が文をつくり、それは誰かに伝えることができる。

 

「対話」しなさい。
と、レオニが言っている。

 

ありたちがみた「あいうえおのき」には、もう、文字たちはいなかった。

言葉は、文は、つたわったのだろうか?

つたわったから、ありたちは平和に「あいうえおのき」について語り合えたのだろうか?

 

文字があって、ことばむしがいて、けむしがいて、

大統領のところに文が届いた、はず。

 

言葉にしないと、伝わらないこと。

言葉にすれば、伝わること。

めんどくさがらずに、言葉にしないとね。

 

思っているだけでは、伝わらないことが多すぎる。

 

やはり大事な言葉は

「ありがとう」と「ごめんなさい」

だと思う。

人と人のあいだだけでなく、国と国のあいだも「ありがとう」と「ごめんなさい」が基本ではないだろうか。

それが、知っている言葉が多いだけに、ややこしくなる。

 

選択肢は少ない方が人生がシンプルで幸せになるって、言葉も同じかもしれない。

でも、本当は、たくさんの選択肢を持ったうえで、自分で取捨選択して、必要なものを残すことが大事な気もする。

 

レオ=レオニの絵本。

今こそ、各国のリーダーたちに送りたいね。