うさぎたちの にわ
りんごの すきな うさぎの はなし
レオ=レオニ
谷川俊太郎 訳
好学社
2020年1月24日 第22刷
©1975
レオ=レオニの絵本シリーズ。
図書館で借りて 読んでみた。
表紙を開くと、袖には、谷川さんのメッセージ。
”〈あおくんときいろちゃん〉によって、絵本の世界に開眼させられてから、もうどのくらいの年月がたったことでしょう。 いつの間にか私のレオ・レオニの翻訳も合わせて9冊になりました。 そろそろ飽きてもいいころなのに、 いまだに私はこの仕事を楽しんでいます。
技法的には一冊一冊に工夫を凝らしながら、 レオ・レオニの物語の世界には一貫したものがあります。 自分を探す部分品とか、兎となかよしになる蛇とか、 色々悩んでしまう カメレオンとか、 題材の絵は幻想的なのに、そういうお話はいつも私たち人間の生きている現実に根を下ろしています。
言いかえると、レオ・レオニの絵本の主人公たちは、 いつも ほんの少しずつ 私たち自身なのだと言えるでしょうか。 彼等のかしこさやおろかさは、 どこか 思い当たるふしがあって、 そこに私たちが彼らに親近感を抱いてしまう理由があるようです。
魚や虫や小動物を愛するレオ・レオニ は、もしかするとそれ以上に人間を愛しているのではないでしょうか。 この主人公たちは、 自分たちの弱さを恥もしないかわりに、自分たちの強さを誇りもしません。そこに私は、 作者の生きものに対する優しさを見ます。 イソップの伝統を受け継ぐ批評を秘めながら、レオ・レオニは 何よりもまず生きる喜びを大切にしています。”
本書は、たしかに、これまでのレオ・レオニ の絵とちょっと雰囲気が違う。クレヨンもつかっている?太めの輪郭線と、やわらかな色。切り絵もまざっている?
物語は、二匹の子ウサギ。一匹は赤い目。もう一匹は黒い目。
二匹は美しい庭で暮らしていて、世界一幸せだった。
ニンジンをポリポリ食べているウサギたち。
ある日、としよりウサギがやってきて二匹に言った。
「わたしは しばらく 留守にするから いたずらをするなよ。
そして、おぼえとくんだ。
にんじんは 好きなだけ食べていい。
だが、りんごに 手出しは しないこと。
でないと、きつねにやられるぞ」
子ウサギたちは、遊び、にんじんをたべていた。
でも、あくる日には、にんじんは一本も見つからなかった。
「どうしよう?」
二匹は泣きべそをかいた。
二匹は、一本の大きいにんじんが、リンゴの木の幹からのぞいているのをみつけた。
二匹は、むちゅうでとびついた。
ところが おやおや それは きえうせた。
「ぼくの しっぽを たべようってのかい!」
それは、おおきなへびだった。
「子ウサギも、近頃は、へびを 食べるのかね? は!は!は!」
「ごめんなさい。
しっぽのさきを にんじんだとおもったんです。
おなかがぺこぺこなのに、にんじんが どこにも みつからないんです」
すると、へびは、りんごのきから りんごをとって、子ウサギたちにくれた。
それは、まっかな いい匂いのするりんご。
その美味しかったこと!
「さあ、遊ぼうよ」
へびと子ウサギは、たくさんの遊びを考え出して、たくさん遊んだ。
お腹がすくと、りんごをたべた。
へびがとってくれるりんごは、熟れていてとてもおいしかった。
ある日、二匹の子ウサギが目を覚ますと、草むらからあかぎつねがじっとこっちをうかがっていた。
一瞬、二匹は、脚が地面に こおりついたかとおもった。
次の瞬間、命からがら、はねた、はねた。
きつねは ぴったりあとをついてくる。あわや!!
と、そのとき、へびがおおきなくちをあけて待っていた。
子ウサギたちは、そのくちに飛び込んだ。
子ウサギを丸呑みしたへびは、おそろしいけものの形になった。
「かいじゅうだぁ」
きつねは、くるりとふりむき逃げ出した。
そして、ある晴れた日、年寄りうさぎがたびから帰ってきた。
かれは、自分の目がしんじられなかった。
りんごを食べてもへっちゃらな二匹の子ウサギは、へびと一緒にニコニコしている。
子ウサギたちは、年寄りウサギに、へびときつねのはなしをした。
「ふ~む」
年寄りウサギはその話をきいて、考え込んだ。
それから、へびは一番おいしそうなりんごをひとつもいだ。
「いいさ、りんごってのは たぶん おおきな まるい ひかった にんじんに すぎないんだ」
ほほえみながら、そういって、年寄りウサギはあっという間にりんごをのみこんだ。
おしまい。
最後のページは、みんなそろって、りんごをポリポリ齧っている。
なるほど、そうきたかぁ。
へびの口に子ウサギが飛び込んだ時、
へびときつねはぐるだったか?!?!
と、おもったら、そんなことなかった。
へびは、ちゃんと、子ウサギたちをたすけた。
へびの口に飛び込むなんて、ちょっと、こわいけど・・・。
子ウサギたちは、一瞬にして、へびを信じて、飛び込んだ。
躊躇していたら、きつねに パクリとやられていたのだろう。
「勇気」ってことか?
「信頼」ってことか?
ちょっと、ひやっとしつつ、どっきりしつつ、あぁ、よかった。
年寄りウサギは、なぜ、りんごを食べると、きつねにやられるって思っていたのかな?
過去のとらわれ?
思い込みも、伝達されてしまうって、危険だね。
それも、遺伝子に刷り込まれたものなのか・・・・。
やっぱり、自分で経験してから、自分の頭で考えよう。
絵本は楽しい。
