うさぎをつくろう
ほんものになった うさぎの はなし
レオ=レオニ
谷川俊太郎
好学社
2019年6月9日 第20刷
©1982
LET’S MAKE RABBITS (1982)
レオ=レオニの絵本シリーズ。
図書館で借りて読んでみた。
表紙裏には、訳者・谷川さんのコメント。
”影の意味 谷川俊太郎
レオニの新作が届くたびに、私は今でも胸がわくわくします。特にレオニその人にも(奥さんのノーラにも)会っていろいろ話を聞き、彼の小さな彫刻を一点手に入れてからは、少々おこがましいようですが、友人からの便りを読むような気持ちで、出来上がったばかりの作品を眺めます。
今度の作品の原作には〈ひとつの寓話〉という 副題がついていますが、それにふさわしく、簡潔ですが意味深い絵本です。本当に実在しているものには影があるのだということは、わたしたちも実際の人生でよく経験します。影がない人は、たとえ快活でもどことなく薄っぺらな印象を与えますし、影のうすい人は、どうしてか幽霊のようにはかなげです。光には影がつきものであり、影は人生を立体的に豊かにすると言うことをレオニは見事な技術で造形し切っていると思います。 “
とある。
表紙裏には、壁紙のパターン絵みたいな薄緑の葉っぱのデザインが並ぶ。表紙の切り絵のようなうさぎのからだのいちぶ。どうやら、本作は切り絵かな?
おはなしは、とっても深かった・・・。
最初は、えんぴつとはさみの話。
「おはよう 今日は なにをしようか」 とはさみが えんぴつにいった。
「うさぎをつくろうよ」
と、ここで鉛筆とハサミは、写実的に描かれている。となりには、模様のある色紙、折り紙かな?が貼られている。いや?かかれているの?うっすらと重なり合った紙には影がある。ぺたりと張り付けられているわけではない。
そして、えんぴつがうさぎの輪郭を描き、はさみが色とりどりの紙をきりとって、2匹のうさぎができる。一匹は、えんぴつうさぎ。もう一匹ははさみうさぎ。
二匹は、仲良しになって、一緒に遊んだ。
おなかがペコペコになった。
二匹は、えんぴつとはさみをよんで、
「おなかがすいたよ」
えんぴつがにんじんを描いて、はさみが切りぬいた。
二匹はおおよろこびで、にんじんをたべた。
お腹がいっぱいになって、眠った。
目を覚ますと、またおなかがペコペコ。
また、えんぴつとはさみをよんだ。
でも、こんどは誰も来なかった。
そこらじゅうをさがした。
ページの外まで。
(と、ページからはみ出したはさみうさぎの姿)
と、とつぜん、おおきなあかいにんじんが 目の前に現れた。
「このにんじんは ほんものだぞ!」と、はさみうさぎ。
「どうしてわかるの?」と、えんぴつうさぎ。
「かげがあるもの!」と、はさみうさぎ。
(見開きの左のページには、右を向いた二匹のうさぎ。右のページには、写実的な葉っぱもついた立派な人参。影がある)
「とにかくたべよう」はらぺこのうさぎたちはきめた。
にひきは、おいしいにんじんに かぶりつき、
たちまちにんじんは消え失せた。
葉っぱも、なにもかも。
(写実的なにんじんに、かぶりついていてる平面のえんぴつうさぎとはさみうさぎ)
そして、ページをめくると、、、
「みろよ!」と、えんぴつうさぎ。
「みろよ! ぼくらにもかげができた!」
「ぼくらは 本物だ!」
にひきはさけんだ。
そして、たのしそうに ぴょんぴょん とんでいった。
(後ろを振り向き、じぶんたちの影をみつめる2ひき)
おしまい。
う~ん、すごい描写。
物語もおもしろいけど、鉛筆の白黒うさぎと、貼り絵のようなカラフルなうさぎにも平面ながら表情があり、最初から見返すと、鉛筆やはさみにもちゃんと影がある。
影の効用か!
すごいな。
のっぺりしていると、本物っぽくない。
影があると、本物っぽい。
クロッキーデザインをしていると、影を描いているようなものだな、と思うことがあるけれど、それを絵本にしてしまうとは。。。。
影って大事だ。
人工の明かりの中では、時々影が2重になることがある。子供の時、不思議だなぁ、って思っていた。太陽の明かりならあり得ない現象。
そして、子供の頃、月明かりの影を発見したときの感動。自宅の和室に、夜なのに外の明かりから畳の上に影ができていた。私の記憶違いか、思い込みかもしれないけれど、なぜか、畳の上の影が映像として私の中に残っている。
大人になって、友人たちと奥出雲に旅したとき、日の出ならぬ、月の出の明るさを山間の畑の中で体験し、あまりの美しさに大はしゃぎした。月がのぼり、私たちの影ができた。あの感動。
都心で暮らしていると、月あかりの影なんてみれることはめったにない。数年前、蓼科でも影に癒された。
夏が過ぎ、秋、冬が近づくと、午後の3時になればもう影が長くなり、影の長さで季節の移り変わりを感じる日本。地球温暖化がすすもうと、影の変化は日本の季節の象徴であることは変わらない。
影って、多くの物語を生み出すものなんだな。
自分の影をなくすと、帰ってこれない世界の物語っていうのもあったな。
レオニは、どうして、こんなお話つくったのかな。。。
と、ふと思った。
絵本も、深い。
そして、楽しい。
