源氏物語の女君たち
瀬戸内寂聴
NHK出版
2008年8月30日 第1刷発行
*本書は、「NHK人間大学」において1997年4月~6月に放送された「 源氏物語の女性たち」の 番組テキスト、及びそれを元に作成したNHK ライブラリー 『源氏物語の女性たち』(1997年11月)、また、『〈新装版〉 源氏物語の女性たち』(2002年5月)を底本として一部加筆・修正し、改題したものです。
『源氏物語』を読み始めたところで、図書館の棚で目に入ったので 借りて読んでみた。
表紙の裏の袖には、
”『源氏物語』が 記録の上で確認されて1千年。
世界最古の大恋愛長編小説のストーリーを追いながら、 源氏が最も心を許した「紫の上」、 男を虜にする魅力の持ち主「夕顔」、 情熱的で官能的な「朧月夜」、 薄幸の美女「浮舟」など、 個性あふれる 女君たちのキャラクターを分析した格好の「源氏」入門書。”
とある。
寂聴さんの源氏物語はまだ読んでいないけれど、入門書として面白そう。
目次
はじめに
第1章 紫式部について
第2章 桐壺の更衣と藤壺の女御
第3章 葵の上と紫の上
第4章 六条御息所
第5章 夕顔
第6章 空蝉と末摘花
第7章 朧月夜の君
第8章 明石の君と玉鬘
第9章 女三の宮
第10章 雲居の雁と落葉の宮
第11章 宇治の大君と中の君
第12章 浮舟
感想。
なるほど、そういうことか、と面白く読んだ。確かに、入門書として読みやすかった。かつ、まだ、角田源氏の第二巻までしか読んでいないけれど、そこで、ここに取り上げられた多くの女性はすでに登場している。ふむふむ、という感じ。六条御息所は、夕顔だけでなく、葵まで呪い殺してしまう・・・・。でも、寂聴さんは、六条御息所をただの悪女とは書いていない。面白い。
ちょっと、覚書。
・紫式部:
父は藤原宣孝(のぶたか)・受領。母は藤原為信(ためのぶ)の娘。父母の家系はそろって摂政太政大臣藤原良房の兄弟を祖先にする名門。藤原道長にスカウトされて、道長の娘・中宮彰子(しょうし)の女房として宮仕え。
京都市上京区寺町の「蘆山寺」が生まれ育った邸と言われている。そのあたりを、「帚木」「空蝉」の舞台としたのではないか。
・物語は、あくまでもフィクション
・桐壺の更衣:光君の母。更衣とは、後宮の女官の役職で、天皇の寝所に仕え、お召し物の着替えのお世話をするのが仕事。平安時代、後宮には皇后、中宮、女御がいて、その下に更衣。皇后、中宮は同じ資格で、先に皇后がいれば後から立后した人は中宮と呼ばれる。
・弘徽殿の女御:清涼殿にもっと近い弘徽殿を与えらえた女御。源氏物語では、右大臣の長女で、第一皇子を生んでいる。
・藤壺の女御:桐壺の更衣の死から7年がたち、光の君が10歳の時に、帝は亡き桐壺と瓜二つと言われる姫君を後宮に迎えた。この姫君は、先帝(桐壺帝の兄)の忘れ形見でまだ15歳。局は飛香舎、藤壺が与えられたので藤壺の女御。
・葵の上:左大臣の姫君。源氏の君の妻。東宮からも后として所望されたが、それを断り、桐壺帝の願い通り、光の君と娘を結婚させ、左大臣は光の君の後継人にさせることを選んだ。
平安時代、貴族の社会では、親が娘の婿選びをするのは正常なこと。プライドが高い、姫君。源氏との間に男の子、後の夕霧を生む。懐妊中から物の怪に苦しみ、夕霧を生んだ後に亡くなる。葵の上にとりついた物の怪は、六条御息所。結婚生活は10年、26歳で亡くなる。光源氏が結婚したのは12歳。当時、姉さん女房が一般的。。
・六条御息所:源氏の数多い愛人の中でも、格別に身分が高く、教養深い美人。源氏の7つ年上。
・紫の上(若紫):葵の上の死後、光君と結婚。源氏18歳の時に病気の加持祈祷を受けに行ったさきで出会った紫の上は、まだ10歳の幼女・若紫。藤壺に似ているので、源氏は自分の二条院に誘拐してくる。若紫は、藤壺の女御の兄・兵部卿の宮の亡妻の娘。源氏の元で育った若紫は、14歳で、源氏と結婚。
・夕顔:源氏17歳の歳、ラブハントに明け暮れていた時代の相手。惟光(これみつ・乳母の息子・腹心の家来)の家に行く途中で、目にする。実は、頭の中将の昔の女。二人の間には、行方知らずになっている女の子(玉鬘)がいる。夕顔も又、怨霊で死んでしまう。
・空蝉:源氏の家来筋当たる伊予介の妻(若い後妻)。伊予介の息子の紀伊守の屋敷でみつけ、興味を持ち、いいよる。もう一度会おうとすると、女はするりと逃げ、その衣だけを残していった。
・末摘花:不細工ちゃん。源氏のことを信じ続けた無垢な女。
・朧月夜の君:源氏との出会いは、源氏20歳の時。弘徽殿の女御の妹。右大臣の娘。不倫がばれて、源氏は須磨へ。
・「賢木」は、藤壺の出家、右大臣邸での源氏と朧月夜の密会が描かれる。
・明石の君:須磨に自発的流刑、都落ちをした源氏が明石でであった女。明石の変わり者入道の娘。紫の上より1つ年下。源氏の子を身ごもったあと、源氏は京へ戻る。実は、明石の入道は、桐壺の更衣の従兄妹。
・源氏が帰京した翌年、朱雀帝は11歳の東宮(実は、藤壺と源氏の子)に譲位し、源氏(29歳)は内大臣となる。源氏は、明石の君を京へ呼び寄せる。そして、生まれていた明石の子を、紫の上に育てさせる。紫の上は、子供を生んでいない。
・玉鬘:夕顔の忘れ形見。夕顔亡きあと、乳母に引き取られ筑紫で20歳までを過ごす。背徴するにつれて母譲りの美しさが匂うばかりに、求婚者が後を絶たない。乳母の長男・豊後介が乳母と相談して密かに玉鬘をつれて都に逃げる。途中、行き倒れそうになったところで、宿で、夕顔と共に行方不明になっていた右近と再会。右近からこの話を聞いた源氏は、玉鬘を六条院に引き取り、花散里の君(麗景殿の女御の妹)のもとに預ける。
・『源氏物語』54帖。第一部「桐壺」から「藤裏葉」まで33帖、第二部を「若菜」から「幻」まで8帖、第三部を「匂宮」から「夢浮橋」13帖。とするのが一般的。
と、「第9章 女三の宮」より先は、まだ本編を読んでいない人たちの話がメインになってくるので、ざっと読みにした。本編を読み終わったら、また、読み直してみたい本。
しかし、ここまでで、主な女たちはほとんど出てきた。いまなら、『あさきゆめみし』も、さらさら読めそうな気がしてきた。いやいや、まずは、角田光代現代語訳を通読してみよう。
