ブッダ 【第2巻】誕生
手塚治虫
潮ビジュアル文庫
1992年12月25日 第1刷
2019年2月20日 第63刷
第1巻の続き。
目次
第7章 生誕
第8章 技競べ
第9章 秘薬を求めて
第10章 予言
第11章 裁きの日
第12章 死の壁
第二部
第1章 王子
第2章 瞑想の園
主なな登場人物
・ナラダッタ:バラモン。アシタ一門の一人。「神になるべき人か、世界の王になるべき人か、偉大な人物があらわれる」というアシタの言葉に従い、その人(ブッダ)探しの旅に出る。
・アシタ:みんなから尊敬されるバラモン。
・タッタ:ナラダッタが「その人」探しの旅の途中で出会う不思議な力をもった少年。身分はバリア。意識を集中させて、動物と魂を入れ替えることができる。
・チャプラ:スードラの少年。ブダイ将軍の命を救い、息子になる。
・シッダルダ:ブッダ。シャカ族の王子
・バンダカ:コーリヤ国のあばれんぼう勇士。ブッダが気に入らない。が、カピラヴァストゥの城に入り、ブッダを特訓。カピラヴァストウを支配したいと野望を持つ。
第1章の終わりでは、 スードラ(奴隷)の身分だったチャプラが、戦いの技を身につけ、ブダイ将軍の息子として広く認められるようになった。
スッドーダナ王の妃マーヤは、シャカ族の親戚のコーリヤ族の女だったので、 お産のために実家のあるコーリヤ国へ里帰りすることになった。が、コーリヤ国に到着する前、4月8日の日の出とともに、赤ん坊は生まれた。天使のような赤ちゃん誕生。のちのブッダ。
赤ちゃんが生まれたからには実家に戻る必要もなく、王のまつ城へもどったマーヤだったが、到着して数日で衰弱したままマーヤは亡くなる。
一方、蛇に丸呑みされたタッタを助けた男・バンダカは、チャプラとの技競べを挑みに城にむかう。「チャプラと戦う」ときいたチャプラの母は、息子に会いたいと城へ向かう。決闘は接戦だが、「チャプラ」と叫ぶ母の声に気づいたチャプラは、集中力を失いそうになる。チャプラも母に会いたかったが、それは大衆の面前で自分がスードラの身分であることを明かしてしまうことになるので、なんとか気を取り直して戦いを続ける。が、一瞬のスキをつかれ、バンダカにやられる。
瀕死になったチャプラを助けてくれと、懇願する母。城の人々にとってはどこの誰だかわからない女だが、ブダイ将軍(チャプラがスードラ出身であることを知っている)はひとめみてチャプラの母だと気が付く。ブダイ将軍は医者にチャプラの命は後一日といわれたと母に告げる。それをきいたナラダッタ(バラモン)は、ヒマラヤの麓のアシタ聖者のもとへ秘薬をとりにいってくるという。自分ではいけないので、タッタに動物にのりうつって、ヒマラヤまで秘薬が欲しいとの手紙を託すのだった。
タッタは、城からヒマラヤまで1日で往復するなんて無茶だといいつつも、手紙を持ってアシタの元へ走る。次々とのりうつる動物を変え、野山を疾走した。が、その時アシタはカピラヴァストウの城へ王子誕生のお祝いに出かけて留守だった。タッタ(ののりうつった馬)は、くたくたの身体でアシタを追った。
そのころ王子と対面したアシタは、王に「この子が育って偉大な人になる頃に自分はもうしんでおるだろう」といって、涙をみせる。「この子の教えは、何千年も何万年も人間の心によびかけるじゃろう」と。
そこに、タッタが馬から乗り換えた鷲が手紙をもってアシタのもとへやってくる。鷲はアシタに手紙をわたすと息絶えた。手紙をよんだアシタは、ナラダッタが手紙を届けるためにタッタを使い、鳥や馬のからだをボロボロにしたことを怒る。その怒りはテレパシーとしてアシタからナラダッタに届き、チャプラの命が鳥や馬の命より尊いわけではなく、生き物の命の尊さは同じだ!と叱られる。そして、「お前は畜生道を生きろ」と言われ、アシタからの秘薬の配合を告げた後にガクリと倒れると、ウオォと叫んでけものとなって森の中へ消えていった。
秘薬のおかげで命をとりとめたチャプラだったが、母が奴隷として囚われていることを知り、母を助けるために牢屋へ行き、牢番の男を殺してしまう。チャプラは裁判で有罪となる。チャプラを愛しはじめていたマリッカ(大臣の娘)は、チャプラを助けてくれと懇願するが、やはりチャプラは許されない。奴隷であることが明らかとなったチャプラは、国を追放される。かつ奴隷の母をまもろうとしたかどで、母と共に死刑を宣告される。
なんとか二人を助けようとしたタッタだったが、二人は矢をうたれ、崖の上からおちて絶命。コーサラ国への復習を誓うタッタは、山の彼方へ消えていった。
第一部は、当時のカースト制の厳しさと、タッタやアシタの「命は平等に尊い」という教えについてでおしまい。
第二部は、王子の話。チャプラもブダイも忘却のかなたにさり、10年後。
シッダルダ王子は、普通の子供と一緒に遊びたいのに、身分が違うので好きなように遊ばせてもらえず、身分制度に疑問を持つ子供に育っている。シッダルダ王子は、
「一番いやしいのがスードラ(奴隷)、その上がバイシャ(普通の市民)、その上にクシャトリヤ(武士)。王子は、クシャトリヤの中でも一番偉い王族。その上にはバラモンがいる」と教わる。
シッダルダ王子は、体が弱くたびたび寝込んだ。武芸を仕込もうにも弓をもつこともなく、王は「せめて学問でも好きにやらせたい」といって、勉強をさせる。だが、シッダルダは、難しい質問で先生を困らせ、怒られる。あるとき、一緒に外で遊んでいた仲間が池に溺れて死んでしまう。「死んだらどこへいくの?」という質問で、大人たちを困らせるのだった。
あるとき、チャプラと決闘したバンダカが王子に弓を教えてやるといってやってくる。バンダカに特訓される王子だったが、弓は人間や鳥をころす武器だからといって、いやがるのだった。そして、特訓を抜け出すと、城で不思議な力を見せてくれた霊能者のところへいき、「死ぬってどんなかんじ?」ときいた。霊能者に言われるままに王子はうさぎの気持ちになって、弓矢で殺されることを体感する。「いやです。ぼく死ぬのなんか嫌だ」という王子。
霊能者は、
「あなたならできよう。 あなたはこの城を出てピッパラの木の下へ行き、そこで何を人間に教えるのかをはっきり悟るだろう。 そして一生あなたは 国々を回り、そのことを教え続けるだろう。 それがあなたの仕事じゃ。」
と、王子に告げて姿を消した。
この霊能者は、この後も時々王子の元に出てきて、生きる道を語る。
それから、王子は夢で自分が鳥になって生まれ、育ち、そして死んでいくことを経験する。正夢のように夢での出来事を語る王子を王や乳母は「不思議な子」と見つめるのだった。
王子、不思議な力への目覚め。
そうか、ブッダは王子だったけれど教えられることをうのみにするのではなく、自分の頭で考える子だったのだ。ふむふむ、なるほど。やはり、手塚『ブッダ』を通読してみようと思う。
