『ブッダ【第3巻】四門出遊』 by 手塚治虫

 ブッダ 【第3巻】四門出遊
手塚治虫
潮ビジュアル文庫
1992年12月25日 第1刷
1996年2月20日 第24刷

 

2巻の続き。

megureca.hatenablog.com

 

目次
第二部
第3章 奔流
第4章 ヤショダラ
第5章 ミゲーラ
第6章 四門出遊
第7章 ラーフラ
第8章 五人の行者

 

第3巻では、新たな登場人物がでてくる。主な登場人物。

シッダルタ:シャカ族の王子。ブッダ

タッタ:バリア(人間以下とされた最低身分階級)出身。動物と心を通わせることができる。今は大人の男。コーサラ国にチャプラとその母を殺されたので、いつか仇を打ちたい。

ミゲーラ:シッダルタ王子が城を抜け出して世の中を見ている間に出会った盗賊の女の子。シッダルダを好きになる。

ヤショダラ:シッダルタ王子の妃。王子は結婚したくなかったが、貴族の慣習にしたがってやむなく結婚。ヤショダラは、王子と愛を育みたいと望んでいる。

デーパ:盗賊となったタッタとミゲーラが出会った僧。バラモンではなく、身分を差別しない。ナラダッタを先生としている。

バンダカ:コーリヤ国の暴れん坊勇士。強いが、嫌われ者。シッダルタに弓を教えるために雇われたことがある。

バセーナディ大王:コーサラ国(シャカ族の敵)の王。シャカ族の娘を妃にしてシャカ族の支配をねらう。

デーパ:苦行僧

ナラダッタ:アシタ聖人に破門され、ケモノのような生活をおくる苦行僧になった元バラモン

 

15歳になったシッダルタは、弓の稽古や先生のお説教、女官や道化を相手の遊びに飽き飽きして、城を出たいというようになる。父親である王は、アシタ聖人がいった「この子は世界一の王者になる」という言葉を信じているので、なんとか城で立派な大人になってほしいと思っている。

ある日、シッダルタは鳥や犬につれられてこっそり城を抜け出た。それは、タッタがのりうつった鳥や犬だった。人間の姿に戻ったタッタは、シッダルタが城に閉じ込められてつまらなそうだったから、世の中をみせてやるといった。そして、二人は船にのって出かける。

シッダルタとタッタは、川で盗賊に襲われるが、必死に逃げ出す。川には盗賊の娘がおぼれていたので、盗賊だからほっとけというタッタの言葉をさえぎって、シッダルタは娘を助ける。娘は、ミゲーラといった。シッダルタとミゲーラは、徐々に心を通わせる。川を下る途中、あちこちで疫病で死んだ死体を焼いている場面を目にする。船はどんどん川を下り、急流になったとおもったら滝に流された船は、次のマガダ国との国境まで3人を運び、3人は陸地に放り出されるが、何とか助かる。そして、歩いている途中、一人の乞食ばあさんが「水をくれ…」といってそのまま死んでいく姿を目にする。

疫病、貧困、死を目にしたシッダルタはショックを受け、タッタとミゲーラとわかれ、一人城に帰る。

 

城に帰ったシッダルタは、父にコーサラ国の攻撃からまもるために強くなるようにとこんこんと説教される。が、疫病にかかったのかシッダルタは突然吐きはじめ、高熱で寝込み、6か月と6日のあいだ、生死をさまよう。

 

シッダルタは、熱が引いてもいっそう無口になり、侍医や侍女たちが部屋に入ってきても関心をしめさず、心の中である決心をかためていた。

父は、シッダルタの結婚相手にヤショダラ姫を選び、結婚によってシッダルタを国にとどめようとする。シッダルタは貴族の習慣にしたがって「婿選びの儀式」でヤショダラ姫をめぐってほかの男と戦って勝たなくてはいけない。成り行きに任せるシッダルタ。戦いを挑んできたのは、コーリヤ国のバンダカだった。シッダルタに弓をおしえたツワモノと戦うことになる。

 

ミゲーラは、「婿選びの儀式」が行われることを知り、男に変装して自分も儀式に参加するといって城に潜り込む。そして、密かにシッダルタの部屋へ行き二人は再会。ミゲーラは、シッダルタにわざと負けてもらって、シッダルタとヤショダラ姫の結婚を阻止する作戦を提案。命をかけての作戦だった。

男たちの決闘がはじまり、男装したミゲーラは鳥に乗り移ったタッタの助けをかりて、バンダカに勝利する。最後は、作戦通りミゲーラとシッダルタの戦いとなり接戦を繰り広げるが、うっかり男装衣装がぬげてしまい、ミゲーラが女であることがばれてしまう。死刑を宣告されるミゲーラ。ミゲーラを死刑にするなら父を殺すといって王に剣をむけるシッダルタ。身分違いの結婚などあり得ないことをこんこんと説教する王。シッダルタは、ミゲーラの命が救われるならと、姫との結婚を承諾する。

ミゲーラは、死刑は免れたが、拷問され眼をつぶされ場外へ追放された。

 

シッダルタは、ヤショダラ姫と結婚した。ヤショダラ姫はシッダルタを愛するが、シッダルタの心はミゲーラを思いつづけていた。

シッダルタはミゲーラを探し出したくて、馬で遠出し、貧しい農民がコーサラ国のバセーナディ王に脅されていて、自国がコーサラ王国からの支配の危機にあることを知る。バセーナディ王は、シャカ族の姫を妃にとまで要求していた。世界に絶望し、自分の生きるべき道を見失っているとき、バラモンの霊能者に再び出会う。そして、砦の廃虚につれていかれ、東西南北の門をくぐって4つの世界をみて、自分の進むべき道を選べばいい、と言われる。

東の門は老いの国、南の門は病人、西の門は死、、、いずれも選ぶべき道ではなかった。そして、シッダルタは「出家」の道を覚悟する。

 

バセーナディ大王には、偽の姫(作法を仕込まれた奴隷)が送り込まれた。1年後にはバセーナディ大王に王子が生まれる。この王子は、後に自分が奴隷の血を受けていることをしりシャカ族を憎むことになる。

 

タッタはミゲーラ(目が見えない)と再会し、盗賊として生きていた。ある日盗んだ宝に交じって、一人の僧が連れ込まれた。自分はバラモンではなく沙門(しゃもん・サモン)だというが、ミゲーラは、僧に向かって自分の目を焼けるほどの苦行を乗り越えられるなら逃がしてやるという。僧は、自分の目を焼いて見せた。苦行こそが一番と考える僧だった。僧は、デーパと名乗り、もとはコーサラ国の武士だったがバラモンの教えに疑問を抱いて出家したといった。

サモンは、バラモンとは異なり、身分にとらわれずに出家する僧たちのことだった。デーパは、ミゲーラに、人は苦しみを乗り越えるほど次はいい人間に生まれ変わるといった。そして、その教えを教えてくれたのはナラダッタという先生だという。

ミゲーラはナラダッタに会いに行くという。それをきいたタッタは「ナラダッタなら知っている!」と。

 

ナラダッタは、獣のような姿で、苦行を続けていた。人間は苦しむためにいき、それでこそ救われる、というデーパの言葉にミゲーラはただ、うなだれるのだった。

 

その年、カピラヴァストウ一帯は、猛烈なモンスーンに襲われ、洪水と豪雨、つづく疫病と飢餓のために何千人もの人が死んだ。コーサラ国からの援助もなかった。

 

国が苦しむ様子に苦しんだシッダルタは、とうとう出家することを決心する。ヤショダラは必死にシッダルタを引き止め、お腹にシッダルタの子を宿ったことを告げる。父となることを知ったシッダルタだったが、その子には障碍(ラーフラ)と名付けるように言うと、外のやぐらの上に座り苦行を始めた。ヤショダラがそれなら私もといって一緒に座ったり、王が力ずくでやぐらから降ろそうとしたりしても、シッダルタは断食修行をやめなかった。すがりついても「悪魔よ去れ」と言われ、悲しみに沈むヤショダラだった。

そんなヤショダラに付け込んだバンダカは、「おれがシッダルダを連れ戻してやるから、なんでも俺の言うことを聞け」といい、ヤショダラはそれにYESと言ってしまう。

バンダカは、5人の荒くれ行者バラモンをつれて城へ赴く。王は王子の修行をやめさせられるものならと、バンダカたちに任せる。しかし、行者たちのどのような挑戦にも微動だにしないシッダルダ。5人は恐れおののき、逆にシッダルタの「人は身分による差などなく、バラモンもスードラも皆ひとしく死ぬ」という話に感銘し、もしかするとシッダルタは本当に世界を救う人かもしれないといって、同じ話をしてくれたある聖者のもとへシッダルタを連れていきたいと言い出す。

とうとう、やぐらをおりたシッダルタ。しかし、向かったのは城の中ではなく、その聖者のもとだった。

城からヤショダラの「シッダルタ助けて~」の声が聞こえる。バンダカに自分の妻になることを強要されたのだった。一度は城に戻り、バンダカと対決するシッダルタ。だが、剣を交えることはなく、ただ無言でバンダカを威圧しただけで、バンダカは膝をつくのだった。

無暴力の決闘が終わったとき、ヤショダラが産気づいて、3巻はおしまい。

 

ようやく、釈迦の出家の話へ。