『大雪』 by ゼリーナ・ヘンツ、アロイス・カリジェ

大雪
ゼリーナ・ヘンツ 文
アロイス・カリジェ 絵
生野幸吉 訳
岩波書店
2018年11月22日 第1刷発行
* 本書は『大雪』(1965年、岩波書店)を改版したものです。新版の刊行にあたり、スイス版の原書の色味を再現し、サイズを若干小さくしました。

 

岩波書店の絵本として、ネットで紹介されていた本。図書館で借りて読んでみた。

 

裏には、
” ふりしきる雪のなか、ふもとの村までおつかいに行ったフルリーナが
なかなか帰ってきません。
兄のウルスリは心配して、妹を探しに出かけます。

国際アンデルセン受賞のスイスの画家カリジェの美しい絵本。”
とある。

横長横開きの絵本。
表紙には、妹フルリーナをおんぶして、スキー雪の中を走る兄ウルスリ。背景の雪山は、アルプス山脈か?柵の向こうにうさぎ。鉛筆と水彩かアクリルか?
中表紙の白黒の絵も、やわらかな輪郭が優しい絵。

 

ゼリーナ・ヘンツは、 1910ー2000、スイスの詩人。 幼稚園教諭を経て 子供の本や詩を書くようになる。カリジェとの共作に『ウルスリーのすず』(1945)、『 フルリーナと山の鳥』(1952)がある。 1940年、 ヘンツは自分の物語の絵をカリ ジェに依頼した。 物語の舞台となった村 グアルダ に住む ヘンツのもとに、 カリジェが数年かけて通い 絵本が誕生した。

 

アロイス・カリジェは、1902ー1985、スイスの画家。絵本作家。子供の本や油絵、リトグラフなど、アルプスの自然や人々を描くことを愛した。故郷の村トゥルンには、カリジェによる壁画が多く残っている。

 

訳者の生野幸吉は、1924ー1991、 東京生まれ。ドイツ文学者、詩人、小説家。 1966年『生野幸吉詩集』 で高村光太郎賞受賞。 グリム『赤ずきん』、 ルイス・キャロル不思議の国のアリス』、『リルケ詩集』など訳書多数。

なかなか、古典的な絵本らしい。


外は粉雪の降る冬の山の小さな村。ウルスリは、家畜の小屋で子牛や子ヤギ、子羊の世話をしている。動物たちの世話が終わると、家族がまつ温かいお家の中へ。

あしたは、子供たちのそり大会。それに備えて、そりを色とりどりにかざったり、塗り直したり、艶出ししたり。みんなでそりを競います。ウルスリは、妹のフルリーナにとなり村の糸屋にいって、毛糸のふさを手に入れてくるように言います。

「道はとおいわ、それにさむいわ」というフルリーナだったけれど、そりのかざりが大事なウルスリは、フルリーナを村まで出かけさせます。

 

なんだ、お兄ちゃん、あまり妹思いじゃない・・・。
顔を手で覆って、ないているフルリーナ。
これは、兄妹いじめの話か?!?!

 

フルリーナは、隣村の糸屋までいって、毛糸のふさをつくってくれませんか?と店のお婆さんにお願いしました。お婆さんは、快く引き受けてくれたものの、その間にフルリーナには店の床掃除をさせます。床がピカピカになり、ふさも出来上がりました。

そして、ふさをもって家へ帰る途中、フルリーナは大雪で前がみえなくなってしまいました。でも、いつも動物たちがあつまる「あらしの木」にたどり着きました。風や雪から動物たちを守ってくれるモミの木です。そのとき、まっくらな真っ黒な風がざぁとふき、ごうごう、めりめり音をたて、だしぬけにまわりは夜になりました。

 

帰ってこないフルリーナを心配したウルスリは、探しにでかけます。
どうしよう、どうしよう。
ウルスリは、妹の名前を叫びます。
「毛糸のふさなんかのために、あの子を村にやるんじゃなかった…」

 

木の幹がいくつも倒れ、枝が雪から付きでたあたりに、長い系とのしっぽをみつけてぎょっとしました。

その糸を手繰っていくと、よわよわしいフルリーナの声が聞こえます。


ウルスリは、雪を掘り返して、
「フルリーナ、すぐたすけてやるよ!」

 

無事にフルリーナは、ウルスリの手を掴み、助かりました。
あたりを見回すと、「あらしの木」の姿はなく、折れた枝や、はだかの大枝ばかり。

 

「助かったのは、この木のおかげだよ。
そのうちにあたらしい木を植えましょう」

 

疲れ果てたフルリーナを背負って、ウルスリはお家に帰り、二人はだまったまま仕事にかかります。

 

そり大会の日、二人のそりは、すてきな毛糸のふさもついていて、あらしの木の枝がついていました。みごとなそりの行列です。行列は、二人のお家の前でおわります。こどもたちはみんな、おどったり、すわったり。お菓子のお皿がならんでます。お母さんがあつあつのチョコレートを出してくれました。

 

冬がおわると、そりは納屋にしまわれます。
小鳥は海をわたってきて、おなじみの「あらしの木」がなくなってしまって、途方にくれています。

ふたりは、若い木を掘ってきて、植えてやりました。
この若い木も、りっぱにそだつことでしょう。

 

おしまい。

 

なんか、ほんわり。
最後の植樹のシーンには、たくさんの動物たちが二人の様子を見守っている。
ちょっと、ヘタウマ系な感じのほんわかした絵が、スイスの雪や、春の芽吹きを優しく描き出している。雪の中、妹を一人で村に行かせるなんて、、、でも、結局兄は妹を探しに雪の中へ飛び出していく。いったい、いくつくらいの兄妹なのだろう。。。一人で動物の世話をできるくらいの兄だから、10代真ん中くらいかな?

 

スイスの雪の世界と、春をむかえた緑の世界と。

行くなら、春から夏のスイスにいってみたいな…。

大雪の日はお家でまったりしていたい。