『クマのプーさん』 by A.A. ミルン

クマのプーさん
Winnie the Pooh
A.A. ミルン 作
E.H. シェパード 絵
石井桃子 訳
岩波書店
2006年9月5日 第1刷発行
2013年10月10日 第3刷発行
80th Anniversary Edition
First Published in Great Britain 14 October 1926

 

石井桃子さん 翻訳の本を求めて、 図書館で借りてみた。可愛いプーさん。でも、本を読むのははじめてかもしれない。
なんと、初版は1926年。いまから100年近く前のキャラが、今でも人気って、おそるべし。私は、お話としてのプーさんは知らなかった。そうか、プーさん、おバカすぎる。だから、こんなに愛おしいんだ。。。。。と、よくわかった。プーさんが壺に頭を突っ込んで抜けなくなっている場面とか、キャラとしてよく目にするけれど、こういう物語の中って、知らなかった・・・。いやぁ、楽しい。なんというか、これでほのぼのしなかったら、何でほのぼのするというんだ。石井さんの翻訳もよいのだと思う。擬音とか、オノマトペ、あるいは拙い綴りの手紙をどう日本語に訳されたのか。興味津々、という箇所が何か所もあった。カンガルーの親子は、「カンガ」と「ルー坊や」、とか。原作はいったいどうなっていたのだろう???
英語でkangarooだから、そのまま、Kanga と Roo だったのだろうか?

 

もくじ
1 私たちがクマのプーやミツバチとお友達になり、さて お話は始まります
2 プーがお客にいって、動きの取れなくなるお話
3 プーとコブタが、狩りに出て、もう少しでモモンガーを捕まえるお話
4 イーヨーが、しっぽをなくし、プーが、しっぽを見つけるお話
5  コブタがゾゾに会うお話
6 イーヨーがお誕生日にお祝いをふたつもらうお話
7 カンガとルー坊が森にやってきて、コブタがお風呂に入るお話
8 クリストファー・ロビンが、てんけん隊を率いて、北極(ノース・ポール)へ行くお話
9 コブタが、ぜんぜん、水にかこまれるお話
10 クリストファー・ロビンがプーの慰労会を開きます。 そして、私たちは、さよならをいたします

 

お話の語り手は、クリストファー・ロビンのお父さん。プーは、ロビンがつれているぬいぐるみ、ということらしい。そして、お父さんは、プーが出てくるお話をクリストファー・ロビンとプーにしてあげる。

プーは、はちみつが大好き。ぶん!ぶん!ぶん!ハチがとんでいてもはちみつは大好き。だから、木の上のハチの巣を目指して登っていく。ぶん!ぶん!ぶん!
プーは、木を登っている途中で、「あれっ!」と六度ばかり枝にぶつかりながら落ちていく。

うまく、ハチの巣にたどり着けなかったプーは、クリストファー・ロビンにお願いして、風船を用意してもらう。青い風船につかまって、ハチの巣の高さまで登るプー。でも、

「ぼくね、ちょっとかんがえたんです。それでね、とてもたいへんなことに、気がついたんです。こりゃ、ハチがちがってました」

お目当てのはちみつをつくるハチではないことに気が付いたプーは、下に降りたくなる。風船を掴んでる手をはなせば、ドスンとおちちゃう。だから、クリストファー・ロビンに風船を鉄砲でうってもらう。

 

空気がスーと出たものだから、プーは、静かに地面におりてきました。

 

プーは、風船の旅から、けがもなく戻ってきた。それでけのことさ。。。


なんなんだ!このすっとぼけ感は!!!と、ここで、もう、プーに夢中になってしまう。

プーが青い風船にぶら下がっている絵は、この最初のお話からきていたんだ。しらなかったぁ。

続くお話も、くすくす、ぷぷぷの連続。

 

最高に笑ったのは、第二章でウサギの穴に入ったプーが、穴からでられなくなっちゃうはなし。ウサギが、お皿やお茶碗を取り出したのを見てうれしくなったプーは、パンにははちみつ?コンデンスミルク?なんていいながら、、、食いしん坊にみえないようにしつつもちゃっかり、美味しいものをたくさんいただいちゃったんだろう。。。ウサギが出かけるというので、さよならしようとしたプーだけど、

 

”プーは、穴からはいだしにかかりました。まず、前足でぐっとひき、後ろ足でうんと圧していると、まもなく、プーの鼻は、また外へでました。・・・・それから耳が出・・・・それから、前足が出・・・・それから肩が出・・・・それから・・・「あ、くるし!」と、プーはいいました。”

 

プーは、ウサギの穴の玄関にすっぽりはまってしまったのだ!!!
裏口からでたウサギは、表からプーを引っ張ってみるけど、プーは玄関にすっぽりはまったまま・・・・。

そして、クリストファー・ロビンに助けを呼びに行くんだけど、クリストファー・ロビンが引っ張ってもプーは玄関にハマったまま・・・・。

 

「じゃ、こうするより、ほかはないね。みんなで、きみが、またやせるのをまつのさ」

 

と、プーは、一週間そうして玄関にハマったままでいた。ご飯はどうするの?ってきになったけど、痩せるにはたべないでいるしかないね、っていわれて・・・。
食事はできなかったけど、クリストファー・ロビンがお話を読んでくれた。そして、痩せてきた1週間後、クリストファー・ロビンがプーの前足をつかまえ、ウサギがクリストファー・ロビンにつかまり、それから、ウサギの親戚友人一同が総出でウサギにつかまり、みんなが一緒に引っ張った。
「スポーン!」

ビンのコルクが抜けた時のように、プーがウサギの玄関からぬけた。

プーは、お礼のしるしに友だちの方に頷くと、得意そうに鼻歌を歌いながら森の散歩をつづけた・・・・。クリストファー・ロビンは可愛いなぁ、というように、そのあとをみおくりながら、小さい声で「ばっかなクマのやつ!」といいましたとさ。

 

なんだこのおとぼけ!!!
可愛い!!!

 

また、絵がいいんだな。全編にわたって、黄色い紙が使われていて、そこに、素描っぽい太めの黒線と、シンプルな色の重ねられかた。
こういう、絵も大好きだ。

 

年取った灰色ロバのイーヨーが尻尾をなくしちゃう話や、イーヨーがお誕生日だというのにお祝いする人がいないって悲しそうだから、プーがお誕生日プレゼントを考える話。どれも、可愛い。プーは一生懸命色々なことをかんがえるんだけど、ハチミツを前にすると全てをわすれてしまう。イーヨーにプレゼントしようと思ったはちみつのつぼも、うっかり自分でたべちゃう・・・。しかも、頭を突っ込んで壺の底まで嘗めたもんだから、壺が頭から外れなくなる・・・・。

 

コブタは、イーヨーのプレゼントに風船がいいと考える。
「だれだって、風船もらって、不元気になる人なんていないぜ」って。

でも、コブタは、風船を抱えてイーヨーのもとへ走っている途中に転んでしまう。バーン!!??**!!

プレゼントにするはずだった風船は、われたゴムのカスになってしまう・・・。

はちみつが殻になった壺と、風船の残骸・・・。でも、イーヨーは、壺はこの風船の残骸をいれるのちょうどいい、といって喜ぶ・・・。

 

なんなんだぁぁぁ!!!
可愛すぎる。

 

とまぁ、こんなすっとぼけの話が続く。

最後、プーが慰労されるのは、北極てんけん(探検)にいったときに、ポール(木のぼうっきれ。極=ポール)をみつけたから。

おばかなプーだけど、ポールをみつけた英雄になったのさ。 

 

このすっとぼけは半端ないぞ。

クマのプーさん。こりゃ、子供も大人も夢中になっちゃうわけだ。

そして最後は、お父さんのお話を聞き終わったクリストファー・ロビンが、クマのぬいぐるみを片手に、階段をバタン・バタンと登っていく絵で終わっている。

 

プーさんのイメージカラーは、黄色だけれど、よく考えたら黄色いクマなんていない。この全面クリーム色の本からきたのだろう。原書も同じ色の紙に印刷されていたのかな。

 

プーさん、可愛い。

プーさんをよんで、なごもう。