『ピーターラビットのおはなし』 by ビアトリクス・ポター

ピーターラビットのおはなし
ビアトリクス・ポター さく・え
いしいももこ やく
福音館書店
1971年11月1日 発行
2002年10月1日 新装版発行
2019年11月5日 新装版改版発行

The tale of Peter Rabbit (London 1902)

ピーターラビットの絵本ー1


石井桃子さん翻訳の絵本を求めての旅。けいてぃ、おやすみなさい、うさこちゃんときて、ピーターラビット!図書館で借りてみた。これも、福音館書店だったんだ。知らなかった。

これは、自宅にあった。絶対あった。この小さなサイズ感も好きで、自宅の玄関脇、子ども部屋の入り口前の本棚、一番下か、下から二番目か、ピーターラビットのシリーズが収まっていた光景は覚えている。アニメチックではなく、割と写実的なウサギの絵と、お話の内容がちょっと怖くって、、、でも好きな絵本だった。3冊ずつ函に入っていて、3つあったかな。いまでは、お話の内容も覚えていないけれど、これらを読んでポリッジって何だろう?って思ったり、でてくるおやつを自分で作ってみたいって思ったりした、、、、したような気がする。イギリスがいつか行ってみたい国になったのは、ピーターラビットを読んだからだ。

 

図書館で予約していた本書を手にした瞬間、あぁ、これだぁ!!!っと、とっても懐かしく、いろんな思い出がわき出した。本書とは関係ないけど、こういう本を読んでいたあの頃のこと。。。。

 

本書も、『うさこちゃん』同様に、
「THIS BOOK BELONG TO:___________________」
と、名前を書く欄が付いている。
これって?絵本スタンダードなの??

 

本書は、ピーターラビットシリーズの第1巻。

 

”あるところに 4ひきの 小さなうさぎがいました。
名前は、フロプシー、モプシー、カトンテールにピーターといいました。”

とはじまる。

そうか、ウサギをここでは「ひき」って訳している。

小さなうさぎたちは、大きなもみの木の下の巣穴にお母さんと一緒に住んでいる。お父さんはいないのだ。だって、お父さんは、マグレガーさんの畑に行ったら、そこで、にくのパイにされちゃったから!!!


ほら! 
なんて、怖ろしいお話!!

 

いきなり、お父さんがパイにされちゃうんだから。しかも、ウサギが食肉として一般的なヨ―ロッパなら、なんてことはないのかもしれない。日本で言えば、ニワトリが焼き鳥にされちゃいました、ってな感じか?!
でも、やっぱり、ちょっとシュール。

 

本書の主人ピーターは、おかあさんの留守の間に、行ってはいけないと言われているマクレガーさんの畑にもぐりこみに行く。他の兄弟たちはいいこだから、森でくつろいでいたのに。たった一人、いや、一匹で冒険にでてしまう。そして、畑のレタス、さやいんげん、二十日大根なんかを食べちゃうのだ。パセリを探して畑を物色しているとき、ピーターはマクレガーさんに見つかってしまう。

 

「どろぼうだ!どろぼうだ!」と怒鳴りながら追いかけてくるマクレガーさん。
ピーターは怖くて、必死に逃げているうちに、くつは落とすし、入ってきた木戸がどこかもわからなくなっちゃう。逃げているうちに、スグリの木にかけてある網に上着のボタンをひっかけちゃう。もうだめだ、と大粒の涙を流していると、すずめがやってきて、「がんばって、にげなさい」という。そこへマクレガーさんがやってきて、すんでのところで、ピーターは上着を脱ぎ捨てて逃げ出す。ようやく逃げだせたピーターは、息はきれて、こわくて、ぶるぶる震えていた。出口をもとめて彷徨っているうちに戸はみつけたけれど、小さすぎてうさぎのピーターは通れない。あきらめて再び畑をさまよっていると、ようやく入ってきた木戸をみつけ、とうとう畑のそとの森に逃げ出す。

 

マクレガーさんは、ピーターの残していった靴と上着で、鳥よけの案山子をつくった。

 

ピーターは、振り返りもせずに、いちもくさんにもみの木の下の家までかえりました。

 

ピーターは、その晩、お腹のぐあいがよくなくって、おかあさんが「かみつれ」をせんじてお薬を飲ませてくれた。フロプシーとモプシーとカトンテールは、パンにミルクをかけてものと黒イチゴを晩御飯にいただきました。

THE END

 

お母さんの言いつけを守らずにいると、怖い目にあうし、お腹もこわすし、美味しいものもたべられませんよ、っていう教訓の絵本だろうか。

これは、なかなか、、、深い。


そして、幼いころの私が読んで怖いと思ったのは、自分とピーターを重ねていたからかもしれない。お母さんの言いつけを守って、森でおとなしく過ごしているのか、いっちゃダメといわれたマクレガーさんの畑に冒険に出てみるのか、、、、自分でもマクレガーさんの畑に行って怖い目に合う気がしたから、怖かったのかも。自分は、ピーターみたいなことはしない、って思っている子供には、怖くないのかも・・・・。

 

もう、実家の本棚には、ないよなぁ。いつだったか、まだ実感にいた高校生か大学生のころに「捨てていい」って言ってしまった気がする。今思えば、なんてもったいないことをしてしまったのか。

本は、断捨離の筆頭アイテムとされてしまうけれど、やっぱり、、、捨てがたし・・・。 

 

こんな小さな絵本だけれど、しっかりお話になっている。すごいと思う。絵も結構描きこんでいて、絵だけでも楽しめる。

100年以上たっても読まれ続ける絵本。すごいわ。

これも、シリーズ全部読んでみたい。