『デューン 砂の惑星 [新訳版](上)』 by フランク・ハーバード

デューン 砂の惑星 [新訳版](上)
フランク・ハーバード
酒井昭伸 訳
早川書房 ハヤカワ文庫SF
2016年1月25日 発行
2021年8月25日 5刷
Dune (1965)

 

映画『Dune』の原作。映画を観た時、面白かったんだけど、わかんないぞ?!?!という点もたくさんあったので、原作を図書館で借りて読んでみた。やっぱり、映画もいいけど、原作を本で読むのは、自分のペースで読めるし、あれ?っておもったら前にもどれるし、、、『Poor things』もそうだったけど、やっぱり、本はいい。

megureca.hatenablog.com

 

もとは1965と古い本で、本作は「新訳版」ということ。

 

本の裏には、
” アトレイデス公爵は皇帝の命を受け、惑星アラキスに移封されることになる。 過酷な砂漠の惑星アラキスは、抗老化作用を持つ香料メランジの唯一の産地である。 宿敵ハルコンネン家に代わりそこを支配することは、 表面的には公爵家に大きな 名誉と富を約束する。 皇帝やハルコンネン男爵の罠だと知りつつ、公爵は息子ポールの未来のため惑星アラキスに乗り込むが・・・・・・。ヒューゴー・ネビュラ両賞受賞の壮大な未来叙事詩を新訳版で!”
とある。

 

感想。
そうかそうか、やっぱりそうか。。。
映画とは、登場人物の設定がちょっとずつ違うけれど、映画の意味も含めて、より理解することができた。

面白い。
普通にSFとして、おもしろい。(上)では、映画の一作目の途中まで。2024年3月に日本で公開された「デューン 砂の惑星 PART2」の部分は、(上)ではまだ始まらない。私は、PART2を映画館で観るために、PART1は、アマゾンプライムで観たのだけれど、それでもやっぱり、本のほうがわかりやすい。。。


本は、ストーリーとは別に、「プリンセス・イルーランの語りが場面の変わり目に挿入されている。『ムアディップを知る』『ムアディップの人間性などなど、、、。プリンセス・イルーランが誰なのかは、、、今のところ、不明。

 

以下、ネタバレあり。

 

登場人物

ポール・アトレイダス: アトレイデス公爵の世継ぎ
レト・アトレイダス: 公爵。ポールの父。
レディ・ジェシ: 公爵の愛妾。ポールの母。

スティル・ハワト: 公爵家の演算能力者(メンタート)
ガーニー・ハレック: 公爵の部下。博識で、聖書などの言葉をしばし引用する。
ダンカン・アイダホ: 公爵の部下。ポールの指導者でもある。

ウェリントン・ユエ: 公爵家の医師。ハルコンネン家の恨みを晴らすために、公爵を裏切る。
シャダウトのメイプス:フレメン。公爵家の侍女として働くが、ハルコンネンの襲撃で死亡。
カインズ博士: アラキスの惑星生態学者。実はフレメンの血が混じっている。映画では女性だったけれど、原作ではおじいさん。
スティルガ: フレメンの部族の長。

ウラディーミル・ハルコンネン: 男爵。 アラキスに来たレト・アトレイデスを殺害。皇帝を恐れてい入るけれど、いっしょにずるしている。悪者。

 

主人公のポール・アトレイデスは、レト・アトレイデス公爵のひとり息子。15歳の設定。そしてその母レディ・ジェシカは、公爵の正妻ではなく、愛妾という設定。それは、正妻が他にいたからではなく、アトレイデス家の繫栄のために政略結婚としての「正妻」の座を空けておいた方がいいという公爵、そしてジェシカの意思だった。

ジェシカは、「ベネ・ゲセリット」という特別な教育機関で育ち、特殊な能力を身に着けている。人の心を読んだり、声や言葉( 繰り声)によって人を自由に操ることができる。ベネ・ゲセリット出身の女たちは、さまざまな地位の男の妻に収まっていて、色々な形で政治にも影響を及ぼしている。そして、伝説の「クウィサッツ・ハデラック」(”道”の短縮)という特殊能力を持つ男性のベネ・ゲセリットを遺伝的に誕生させようともしていた。

 

ポールは、果たして、その「クウィサッツ・ハデラック」なのか?!?!

 

公爵は、皇帝の命をうけて家臣や家族をつれて、アラキスの支配者として祖国カラダンの地を離れて、惑星アラキスへ向かう。しかし、そこには、香料メランジを使って莫大な富を築き、アラキスを支配している悪の集団ハルコンネン男爵一族がいた。ハルコンネン男爵は、密輸業者や銀行家ともグルで、皇帝とも裏ではwin-winな状況を作り出していたため、アトレイトス公爵の存在は、邪魔だった。

 

そして、ポールは新天地で、暗殺されそうになる。ポールは、家臣ガーニー・ハレック、ダンカン・アイダホらの訓練、くわえて母ジェシカからのベネ・ゲセリット流の訓練で心身共に鍛えていたので、暗殺者が送り込んだ暗殺マシーンを自ら破壊することで、難を逃れる。

しかし、、、アトレイデス家の主治医であるユエ医師の裏切りで、一家はハルコンネン男爵から総攻撃をうける。ユエ医師は、妻をハルコンネン男爵に殺された恨みがあって、ハルコンネン男爵を殺害するために、忠誠をちかっていたアトレイデス家を裏切ってしまう。でも、ユエは、瀕死の公爵に毒ガスを仕込んだ義歯を入れこみ、「男爵のまえでこの義歯をかめば、毒ガスで男爵を巻き添えに死ねる」と伝える。また、ポールとジェシカが無事に惑星の安全なところ、すなわちフレメンの住む砂漠まで逃げられるように手配する。

そして、レト公爵は、ハルコンネン男爵を巻き添えにしようとして毒ガスで死んでしまう。男爵はすんでのところで死を免れる。

 

ポールとジェシカは、ハルコンネンの部下らに拉致されて、砂漠の砂蟲(ワーム)の餌食として殺されるところだったが、二人の智恵をもって脱出に成功。そして、ソプター(小型飛行機)で、砂漠の嵐シャイ・フルードを抜けて、砂漠に降り立つ。

 

(上)は、ポールとジェシカが、命からがら砂嵐を抜けて来るところまで。そして、ポールは、砂にまじる香料の影響で、どんどん特殊な能力が研ぎ澄まされていく、。未来が見える。予知夢のような夢をみたり、、そんな自分に怯えるのだった。また、ジェシカも、息子の能力に怖れをおぼえるのだった。。。

 

ムアディップというのは、フレメンが呼ぶ「道を示すもの」のことで、ポールのこと。そのムアディップの言葉がいくつも引用されていて、なかなか興味深い。

「偉業とは一過性の経験である」
とか
「あらゆる経験からものごとが学べる」
とか。

 

映画で言うと、まだ、PART1だけど、なるほど、これは面白い。

映像が無くても、十分に面白い。

続きが楽しみ!

 

しかし、こんなに古い本だったとは知らなかった・・・。

さすが、映画化されるだけの面白さがある。