エビフライをおいかけろ
角野栄子 作
佐々木洋子 絵
ポプラ社
1982年7月第1刷
1984年5月第13刷
『大人も読みたい こどもの本 200』(BRUTUS Casa 2025年8月)で、「想像力が膨らむ本」として紹介されていた本。図書館で借りて読んでみた。
『スパゲッティがたべたいよう』と同じ、角野さんと佐々木さんコンビのポプラ社の絵本。
表紙は、エッちゃんとアッチだ。
これも、ポプラ社の小さな童話、 角野栄子の小さなおばけシリーズで、小学1~2年むき、となっている。しかも、記載されている価格は「定価680円」だって。いまじゃ、文庫本だって買えないよ。インフレを感じる。
表紙をめくると、袖には、
「エビフライのうた
エビフライをおいかけろ
それそれ そっち
これこれ こっち
あれええ あっち
ぐるぐる まわる まよいみち
ついたところに なぞが ある
それは ないない
ないしょの なぞなぞよ。」
とあって、迷路が書いてある。残念ながら、図書館の本で表紙カバーがシールされているので、迷路の全体像は見えない・・・。無理やりはがそうとした跡が見える。子供だったら、はがしたくなっちゃうよね。笑える。
”アッチは、おばけの 小さな 男の子です”
とはじまる。
アッチシリーズとしては、わりと後の方の作品らしい。『スパゲッティがたべたいよう』でコックになったおばけのアッチは、レストラン「ヒバリ」で働き、すっかり評判になっているけれど、「コックさんの試験」をまだ受けていないことがなやみだった。試験に合格すると、「きらきらコックさん」と呼ばれるようになるのです。帽子には、きらきらバッジをつけられます。
アッチは「きらきらコックさん」を目指します。
エッちゃんは、「だいじょうぶ、アッチなら」と励ましてくれます。
のらねこのポンは、「しんぱいするな おれがついているよ。」と胸を叩きます。
ねずみのチとキは、「アッチは、お料理の天才だもん。すいすいってごうかくさ。」と。
アッチはとうとう試験の申し込みの手紙を書きました。
すると、問題をかいた返事がきました。
その問題は、なぞなぞでした。
なぞなぞを解くと、どんな料理を作るかがわかり、それを試験場に言って偉いコックさんの前でつくってみせるのです。
「この試験は、誰に相談しても結構です」と書いてあったので、アッチはさっそくエッちゃん、ボン、チとキに相談しました。
なぞなぞをみんなで力をあわせて解いていきます。問題は「まよいみちへん」と「なぞなぞへん」がありました。迷路となぞなぞです。
試験問題2 なぞなぞへん
1 けとばしの チャンピョン 足でけらずに 腰でける。
2 くろい チョッキ。おふろにはいると 赤いチョッキ。
3 おしゃれさん おしろいつけて たまごでつやつや パン粉のよそいききて
あぶらのおふろで いいきもち そのあと しっぽにあかい くちべに ぺったりこ
4 はねっとびさん はねて はねはね どこに いくの。 白い石のならんだどうくつ。 あーおいしかったこと。
エっちゃんは、「おしろい」がメリケン粉だって、わかりました。そのあと、卵とパン粉。
「赤い口紅は、エビフライのシッポだぜ」とボン。
みんなで考えた結論は、「エビフライ」。
でも、アッチは、「エビフライみたいなやさしい料理のわけがない・・・・」と納得しないで、怒り始めてしまいました。
みんなそそくさと帰っていきます。
エッちゃんは、
「アッチ、あたしの考えではね、答えは多分 エビフライなのよ。でも、手紙に書いてあるように、油断しないでよーく考えなくちゃ。きっと特別のエビフライなのよ。それだけは、アッチ、自分でみつけなくちゃね、コックさんなんですもの」
と。
アッチは泣きたくなってきました。でも、一生懸命考えました。
次の日、アッチは、試験会場に出かけて行って、偉いコックさんの前で、素敵なエビフライをつくってみせました。
それは、「結婚式のはなたばエビフライ」という名前の料理で、エビフライのしっぽにリボンがかけられて、花束のようにむすばれていました。
偉いコックさんは一斉に拍手をしていいました。
「よくわかったね!」
アッチは、きらきらコックさんになることができました。
”そして、いま、アッチは、世界中を回って、お料理をつくりたいなって考えています。”
おしまい。
はははは。無事に、きらきらコックさんになれてよかったね。
なんとも、昭和な感じのする本だった。
子どもにひびきそうなお話。
物語の深さはそんなに感じないけれど、ちょっと楽しい。
まぁ、5分で読めちゃう。
角野さんの本を大人が読むなら、やっぱり『魔女の宅急便』くらいの長いお話の方がいいのかな。次に彼女の本を読むなら、『魔女の宅急便』にしようかな・・・。
それにしても、1982年における「エビフライ」と、令和の時代の「エビフライ」は、その存在感が全然違う気がする。最近では、自分で作らなくても、コンビニでもファミリーレストランでも、安く買って食べることができる。私がこどものころは、エビフライって言ったら、すごく「ご馳走!」って感じだったけどなぁ。しかも、お家で作るというよりは、めったに行かないレストランにいって食べるご馳走。エビチリとはわけが違う。冷凍むきエビだって、食品加工技術や冷凍流通技術が発展したからこそ。
美味しいもの裏には、技術の発展がある。ついでに、膨大なエネルギーの消費もある・・・・。
