『シモン・ボッカネグラ』  @新国立劇場 オペラハウス

ジュゼッペ ・ヴェルディ  シモン・ボッカネグラ
新国立劇場 オペラハウス

 

友人に誘われて、賛助会員向けのゲネプロを観にいってきた。

 

14:00開演なので、13:45に友人と現地集合。新国立劇場へは新宿駅から京王新線で乗り換えて一駅。JRの新宿駅から京王新線の乗り換えはちょっと遠いので、都営大江戸線で新宿に向かった。地下鉄の中で本を読んでいたら、まんまと新宿から一駅乗り過ごしてしまった・・。これならJRでいった方が早かったかも、、とおもいつつ、すごすごと一駅もどり、無事に初台へ。地下鉄改札から案内に沿って行けば、ほぼ新国立劇場の目の前の出口。無事に友人との待ち合わせに間に合った。

 

さて、シモン・ボッカネグラ。私は、初めて聞いたタイトルだった。オペラ王、ジュゼッペ・ヴェルディの作品。

パンフレットには、「海洋国家ジェノヴァに渦巻く恩讐と愛 相克と赦しの物語」とある。

プロローグから第一幕~第三幕。間に休憩が入って、トータルでおよそ3時間ちょっと、って感じかな。ゲネプロとはいえ、歌手たちや舞台装置は本番と同じ。オーケストラの人たちは普段着のまま、という感じだった。もちろん、全席に人を入れているわけではないので、本番舞台のような観客のがやがや感は少ない。でも、しっかり楽しんだ。やっぱり、音が素晴らしい。

 

パンフレットの紹介によれば、
ヴェルディ円熟の傑作、『シモン・ボッカネグラ』が新国立劇場初登場です。 14世紀に 実在した名総督シモン・ボッカネグラを題材に平民派と貴族派の争い、 親子や恋人の愛憎が入り組むドラマ が力強い音楽で一気に展開します。 演出は、エクサン・プロバンス音楽祭総監督を務める、現代オペラ会屈指の演出家ピエール・オーディ。 現在アートのアニッシュ・カプーアとのコラボレーションです。 指揮にはイタリア・オペラへも情熱を注ぐ大野和士自らがあたります。シモンに名ヴェルディバリトンとして世界を飛び回り『リゴレット』での名唱も記憶に新しいフロンターリ、 アメーリアに日本でもファンの多いルング、フィエスコには『トゥーランドット』でその重厚感ある恋を響かせたザネッラード 、そして恋人ガブリエーレには輝かしい声が持ち味のガンチが登場します”
と。


舞台は、14世紀の海洋国家ジェノバ
主な登場人物
シモン・ボッカネグラ: 海賊出身の平民派。政敵であるフィエスコの娘マリアと恋仲にある。
・マリア:貴族のフィエスコの娘。シモンに会わせないために館に幽閉されてしまい、舞台に登場した段階で、死んでいる。
・フィエスコ:マリアの父。
・パオロ:シモンをたきつけて平民派の総督とさせる。が、権力が欲しいのは自分。本舞台の悪役。
・アメーリア:シモンとマリアの娘。でも、生まれてすぐに里子に出されてしまい行方知らずだった。フィエスコがこっそり引き取って育てていた。シモンは、娘が生きていることを知らない。
・ガブリエール:アメーリアの恋人。

 

プロローグは、25年前の設定。シモンがパオロに焚きつけられて出馬し、貴族派を破って平民派から総督となる。パオロに総督となればマリアとの結婚も許されると聞かされていたが、フィエスコの元へいって明らかとなったのは、マリアの死だった。

 

第1幕 
マリアの死から25年。アメーリアは恋人のガブリエーレと結婚を望んでいる。でも、アメーリアの育ての親となっているフィエスコ(アンドレアと名乗っている)は、それをなかなか許可しない。しかし、ガブリエーレの堅い愛の誓いに二人の結婚を許可する。一方で、パオロもアメーリアに恋焦がれて、自分のモノにしたいと考えている。それを仲介しようとしたシモンだった。しかし、シモンとアメーリアは、アメーリアが大事にしていた顔も見たことが無いという母の写真で、自分たちが父娘であるということに気づき、抱擁しあう。パオロには、アメーリアを諦めるようにというシモン。どうしても自分の思うようにしたいパオロはアメーリアを誘拐してしまう。

 

第2幕
シモンをアメーリアの誘拐犯だと勘違いしたガブリエーレは、総督宮殿に押し入る。外では暴動も起きている。暴動にまぎれて、フィエスコとガブリエーレは牢にいれられてしまう。パオロは、二人をつかってシモンを殺してしまおうと考える。シモンの部屋の水差しに毒をもり、一方で二人を牢からだしてやるから短刀でシモンを殺せ、とせまる。犯罪に手を染めるのはごめんだと断るフィエスコだったが、ガブリエーレは「アメーリアがシモンに弄ばれている」ときかされ、シモン殺害を請け負う。
誘拐先から一人で逃げ出したアメーリアは、父・シモンの元を訪れると、ガブリエールを愛しているのだと父に伝える。その父を殺そうとするガブリエーレ。止めに入るアメーリア。
シモンが自分の父であることをガブリエーレに伝える。そして、シモンへの忠誠を誓うガブリエーレ。

 

第3幕
悪党パオロが捕まる。パオロは、フィエスコに、シモンの毒殺をはかったことを告白。シモンはすでに水差しの毒をくちにしていた。
「政治をする総督にとっては水すらもこんなに苦いものなのか、、、」と。

クライマックスは、フィエスコとシモンが互いにマリアの父と恋人だったとわかったことで、長年の政敵が和解しあう。そして、アメーリアとガブリエーレは結婚式をあげるが、その帰りにシモンが毒に倒れているところを発見。シモンは、愛する娘の腕の中で息絶える。


実に、わかりにくいお話。。。いまだに私のなかにも疑問符がたくさん飛んでいる。。。
けど、皆さん、素晴らしい声だった。私は、特にガブリエーレ役のルチアーノ・ガンチの声に惚れた。

 

舞台は、黒と赤と白が基本色となっていて、比較的シンプルな装置。真ん中の赤い床が、数十センチ程度上がったり下がったり。第1幕以降は、中央に火口を下にした火山がぶら下がっている。シモンが亡くなる場面では、火山が見えなくなって、その後ろに大きな黒い丸が出現。あれは、太陽なのか?月なのか?静かな夜という意味の月なのか?

ちょっとわかりにくいストーリーだけど、舞台としては、見ごたえもあってとても楽しめた。最後のシモンが亡くなってしまうシーンなんて、思わず涙ぐんでしまいそうになる。

恋人との愛。親子の愛。世代をこえた愛。同時に憎しみの克服。全ての憎しみは消え去るのだからハッピーエンド。だけど、そこには父の死という喪失も同居する。

 

あー面白かった。

また、カーテンコールの最中、突然ハッピーバースデーの歌に!シモン役のロベルト・フロンターリのお誕生日だったらしい。普段着のまま舞台に上がられた指揮者の大野さんがお花を抱えて、ハッピーバースデー!!と。そして、幕が閉まった後にも、大野さん自らが作品の解説をしてくださった。

本番舞台も観てみたくなった。やっぱり、本物を観るっていい。 

 

本舞台は、

11/15 19:00~

11/18 14:00~

11/21 14:00~

11/23 14:00~

11/26 14:00~

 

やっぱり、オペラも楽しい!

思いがけず、素敵な舞台を観ることができた。誘ってくれた友人に感謝!