『死は存在しない』  by 田坂広志

『死は存在しない 最先端量子科学 が示す新たな仮説』
田坂広志
光文社新書
2022年 10月30日  初版第1刷発行
2023年2月10日  7刷発行


村松大輔さんの『現象が一変する「量子力学的」パラレルワールドの法則』と一緒に、懇話会のメンバーから紹介いただいた本。

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読んだことがある気がする。でも、覚えていない。
読もうと思っていただけなのか、買いそびれてそのままなのか・・・。でも、発売当時に人から勧められて読もうと思っていた記憶がある。その人は、科学者でもある。

 

著者の田坂広志さんは、1951年生まれ。1974年東京大学卒業。 1981年 同大学院修了。 工学博士 (原子力工学)。 1987年 米国シンクタンク・パテル記念研究所 客員研究員。 1990年 日本総合研究所の設立に参画。 取締役等を歴任。著書は100冊あまり。

原子力を専門とする科学者がいう「死とは存在しない」とはいかなるものか?

表紙裏の袖には、
” 筆者は、本書を、次のような問いを抱かれた方々に読んでいただきたいと思い、書いた。
・「死」を 直視すべき時を迎えている方々
・「科学」にも「宗教」にも疑問を抱かれている方々
・最先端量子科学の「仮説」 に興味を持たれている方々
・人生で不思議な体験が起こる理由を知りたい方々
・肉親の死について 切実な思いを抱かれている方
・「死」についての思索を 深めたい 方々”
とある。

 

目次
序話  この本を手に取られた、 あなたへ
第1話 あなたは、「死後の世界」を信じるか
第2話 現代の科学は「3つの限界」に直面している
第3話 誰もが日常的に体験している「不思議な出来事」
第4話 筆者の人生で与えられた「不思議な体験」
第5話 なぜ人生で「不思議な出来事」が起こるのか
第6話 なぜ、 我々の意識は「フィールド」と繋がるのか
第7話 フィールド仮説が説明する「意識の不思議な現象」
第8話 フィールド仮説によれば「死後」に何が起こるのか
第9話 フィールド内で我々の自我(エゴ)は消えていく
第10話 フィールドに移行した「我々の意識」はどうなるのか
第11話 死後、「我々の意識」はどこまでも拡大していく
第12話 あなたが「夢」から覚める時
第13話 21世紀、「科学」と「宗教」は一つになる
謝辞
さらに学を深めたい読者のために

 

感想。
うん、これも面白い!
『現象が一変する「量子力学的」パラレルワールドの法則』よりは、だいぶ論理的。著者がなんども自分は、科学者と研究者の道を歩んできた人間だ、、、と言っている。その立場から見ても、「ゼロ・ポイント・フィールド仮説」は、ありえそうだ、というのだ。本書では、ゼロ・ポイント・フィールド仮説に基づいて、死後も私たちの意識は亡くならない、という話をしている。

ゼロ・ポイント・フィールドについては、田坂さんの『運気を磨く 心を浄化する三つの技法』でも語られている。

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一言でいていってしまえば、神の啓示も、直観も、夢枕でかたるおじいちゃんの声も、、、すべてはゼロ・ポイント・フィールドとつながったときに受け取っている、ということ。

私には信じる神はいないといっているひとでも、「科学」というものを信じる宗教に嵌って入るともいえる、と。なるほど確かに。

 

宗教は否定する、神なんていないと思っている、それでも初詣に入ったり、いざというときには「かみさまほとけさま、、、、」あるいは、「とうちゃん、かんちゃん。。」と祈ったことがあるのではないか?そこにいない何かにすがりたくなる時、ひとは、その人を通してゼロ・ポイント・フィールドにある数多の意識につながろうとしているのだ、、、と。

宇宙のビッグバン、そして膨張、なぜ生命は誕生したのか、、、科学ではわかっていないことも山ほどある。そう考えると、ゼロ・ポイント・フィールド仮説だって十分にあり得そうなのだ。少なくとも、本書を読んでいるとそう感じる。

 

私は、自分でも、よくわからない力で守られていると感じることがよくある。あるいは、相手が何を求めているかの念を受け取ってしまうようなこととか。思いが強い時ほどうまくいくというのも感じている。霊感みたいなものも、身体は確かに感じ取っている。

余談だが、先日は、東京国立博物館で、ミイラからただならぬものを感じてしまった。そして、そのミイラより強く何かを発していた石像に、ぞわっとして、その場を逃げ出したり・・・。

不思議と、日本国内のお墓とかで、ぞわッとすることは少ない。同胞だからか?!?!

 

とまぁ、いろいろな不思議なことが、もしかするとこの仮説で説明つくのかもしれない、、とおもわず思ってしまう。

 

気になったところ、覚書。

サンタフェ研究所: 1980年代から 米国 ニューメキシコ州サンタフェ にて「 複雑系 科学」の研究を続けている。 唯物論的科学や物質還元主義的科学ではなく、そういった「要素還元主義の限界」をみとめて、複雑系科学の研究をおこなっている。そこでは「意識」「心」「精神」も研究対象になる。

 

・ 現代の科学は「説明できないものは存在しない」という立場を取るため、 意識の不思議な現象を全て「単なる偶然」「 単なる錯覚」「 何かの思い込み」「 一種の幻想」「 脳神経の誤作動」といった理由でしか説明しようとしない。

 

・「無意識」とは ゼロ・ポイント・フィールド内に存在する「深層自己」の「無意識」( 「超個的無意識」や「超時空的無意識」 も含めた)のことに他ならない。 すなわち「 無意識の声」に耳を傾けることや、「無意識の力」を借りることは、実は、 ゼロ・ポイント・ フィールド内の「深層自己」の「大きく賢明な無意識」とつながることなのである。

 

・20世紀最高のSF作家スタニスワフ・レムの小説、『ソラリスの陽のもとに』(原題『Solaris』)は、宇宙意識から、私たちが「自我意識」を感じ取って「人格化したイメージ」を表している。
宇宙意識とは、ゼロ・ポイント・フィールドのイメージの一つ。そこにある肉親の意識は、「超自我意識」と変容し、宇宙意識になっている。
この小説は、映画『ソラリス』(スティーブン・ソダーバク監督)にもなっている。

 

・「超自我意識」は、ゼロ・ポイント・フィールド内で、まず「人類意識」へと拡大していくが、実は、この「現実世界」においても、我々の「無意識」は、すでに「人類意識」と呼ばれるものと繋がっているのである。ユング心理学では、「集合的無意識として提唱され、「人類共通の無意識の世界」があるということ。

 

・ 人類の最も古い宗教の形態と考えられる「アニミズム」(自然崇拝)は、元々、この自然そのものに「神」が宿るとする思想であり、これもまたある意味で「自然」 すなわち 「地球」そのものに「意識」が宿っているとする思想であると言える。
 そして、この アニミズムは日本においては 「八百万の神」を掲げる「神道」として、高度に洗練された宗教になっている。

 

私たちの心の奥深くにある「意識の謎」、それが量子力学の視座で考えると、科学で説明が付く時代がやってきたのかもしれない。

わからないこと、見えないことを「偶然」や「気のせい」で片づけている間は、本書の説明は素直に受け止められない。

まぁ、騙されたと思って?信じてみて、、、って感じ。

 

人間が理解できていることなんて、微々たるもの。わからないものは存在しないものとして思考放棄してしまうか、考え続けるか。考えれば考えるほど、人類の儚さを感じる。

私たちは、宇宙意識に護られている。天国のじーちゃん、ばーちゃんが、守ってくれていると感じるのは、気のせいではない。そうおもえたら、道は開けるかもしれない。

 

地球に愛される「善き地球人」であろうというのは、宇宙意識とつながって考えようってことかもしれない。
スピリチュアルといって切り捨てずに、無知を認めてみよう。

そんな、素直な気持ちになれる一冊。

 

最後に、死に直面している人たちへの言葉もある。

「死とは何か」それは、「私とは何か」と同じ問いであり、「死は存在」しないのだ。

案ずるな、、、と。

 

子どもの頃、死ぬのは怖くなかったけれど、死んだら暇になっちゃうなぁ、何して遊ぼうかなぁと思っていた。その感覚、当たらずとも遠からず、死は存在しないのかもしれない。

 

田坂さんの本だと思うから、信じているかも。それもまた、信じる力。