「運気を磨く 心を浄化する三つの技法」 by 田坂広志

運気を磨く 心を浄化する三つの技法
田坂広志
光文社新書
2019年10月30日 初版1刷発行

 

知り合いが、面白いと言っていたので、読んでみた。


著者の田坂さんは、1951年生まれ。1974年東京大学卒業。1981年大学院修了。工学博士。(原子力工学)。1987年米国シンクタンク、パテル記念研究所客員研究員。1990年日本総合研究所の設立に参画。取締役等を歴任。2000年多摩大学大学院教授に就任。同年シンクタンク・ソフィアバンクを設立。著書は90冊あまり。2011年、震災の後に内閣官房参与に就任されている。
Globisでの講演などは、Youtubeでも見ることが出来る。知性の塊の人、、という感じ。

そんな田坂さんが書かれた、ちょっとスピリチュアル?!?!と思うようなタイトルの一冊。
なかなか面白い。

 

内容は、以下の様な構成。

序話  非科学的と言われながら、誰もが信じているもの
第1話 「良い運気」を引き寄せるただ一つの条件
第2話 「良い運気」を引き寄せる心「の五つの世界」
第3話 なぜ、従来の「無意識を変える方法」が効果を発揮しないのか
第4話 「無意識のネガティブな想念」を浄化していく技法 
第5話 「人生でのネガティブな体験」を陽転していく技法
第6話 「究極のポジティブな人生観」を体得していく技法
終話  運気を磨く心を磨く 

 

「運気」と来たもんだ!
でも、スピリチュアルっぽくない。
工学的解析も含まれているのである。
確かに、面白い本だった。

 


田坂さんも、かつて、生死をさまよう大病を患ったことがあるとは、知らなかった。こういう本を書かれる人に、そういう方は少なくない。。。

タイトルとなっている、心を浄化し、「良い運気」を呼び寄せるための三つの技法とは、

1 人生の習慣を改める
2 人生の解釈を変える
3 人生の覚悟を決める

ということ。

 

「良い運気」を呼び寄せるには、よく、「ポジティブな言葉を使えばいい」とか、「感謝の気持ちをわすれない」とか言われる。でも、一般的に言われるようなことをやっても、「良い運気」がやってこないことがある。それは、「ポジティブ」を心がけていても、無意識の中にある「ネガティブ」 が影響してしまうから、と田坂さんは言う。
だから、意識としては、「ポジティブ」を心がけるより、「ネガティブ」を遠ざけることが大事だと。

それが一つの習慣。

 

愚痴ばかりの人には、近づかない。
悲惨なニュースばかりのテレビは見ない。
などなど。

 

そして、人生で起きることのすべては、意味があると解釈する。
それは、過去の失敗は、今振り返ってみれば成功へのヒントだった、というようなことで、経験することがある。
起きていることすべて、意味がある、と解釈する。

覚悟とは、「人事を尽くして、天命を待つ」と表現されること。
人生における深刻な問題や、厳しい逆境を前に、どうやってそのような覚悟を決めるのか?
それは、「祈り」だという。
ただ、田坂さんの言う「祈り」とは、「○○を達成したい」とか「○○となりますように」というような願望の祈りではなく、「導きたまえ」という「全託の祈り」だという。

すべてを「大いなる何か」にゆだね、託している祈りであり、その根底には、

 

”自分の人生は、大いなる何かに導かれている。
大いなる何かは、自分の人生を、
必ず、良き方向に導こうとしている。
それゆえ、もし、この「全託の祈り」の結果が、
自分の願望と違う方向になったとしても、
それも、深い叡智をもった大いなる何かの導き。
その導きの意味を深く考えながら、
与えられた問題や逆境に正対し、力を尽くし、
さらなる成長を目指して歩んでいくならば、
必ず、素晴らしい人生が導かれていく。”

という、覚悟。
だそうだ。

 

やっぱり、スピリチュアルっぽい???

だが、
量子力学で言われる「ゼロ・ポイント・フィールド」仮説や、「インフレーション宇宙論」、「ホログラム構造」など、物理学の世界の言葉も飛び出す。
やはり、ただのスピリチュアルとは違う本なのである。

「ゼロ・ポイント・フィールド」仮説は、次の三つを柱とする仮説。

 

第一 この宇宙のすべての場所には、「ゼロ・ポイント・フィールド」と呼ばれるエネルギー場が偏在している。

第二 そしてこの「ゼロ・ポイント・フィールド」には、我々の生きるこの宇宙の過去、現在、未来のすべての情報が記録されている。

第三 したがって、我々の心がこの「ゼロ・ポイント・フィールド」に何らかの形で繋がったとき、我々は過去、現在の出来事はもとより、未来に起こる出来事をも予感予見することができる。

 

だそうだ。
仏教のいうところの「阿頼耶識(あらやしき)」も、「ゼロ・ポイント・フィールド」につながっていりうということではないか、ということ。

 

ネガティブな感情を浄化するための手段として、3つ紹介されている。
1 自然に触れる
2 ポジティブな言葉を使う
3 和解の想念を持つ

人は、自然に触れると、癒されるのは、「ゼロ・ポイント・フィールド」につながりやすくなるから、という事なのかもしれない。


コロナで外出が制限され、自然に触れることが出来なくなったストレス、侮れない。
そして、川辺の散歩ですら、浄化の助けになるのを、私自身が感じている。
癒され感、浄化される感じは、その規模が大きい自然ほど、大きくなる気がする。大自然を前にすると、己の小ささを思い知って、開き直れるから?と言うのもあるかもしれない。
高尾山より、富士山。
湖より、広大な海。
はい、まいりましたぁぁ、、、って感じ。


ただ、田坂さんが本書で伝えたいのは、ただ、「ネガティブ」を否定する思想ではない、という。
ネガティブとポジティブという二項対立の思想にいる限りは、どうしても限界がある。
そうではなく、「絶対肯定」の思想をもてばいい、という。

本来、我々の人生においては、否定的なもの、ネガティブなものは一切、無い。 という思想。

”人生で与えられるすべての出来事や出会いは、
それがどれほど否定的に見えるものであっても、
我々の心の成長や魂の成長という意味で、
必ず、深い意味を持つ。”

ということ。
やっぱり、スピリチュアルかな?

禅で言われることも同じだ。
でも、田坂さんが言っているのは、宗教心を持てという事でもない。

 

本来は、「良い運気」も「悪い運気」もない。
本のタイトルは、運気を磨く、となっているけれど、
「人生を拓く」ことが重要なことで、そのために、ただ、「心を磨く」こと。
心を磨くと、「ゼロ・ポイント・フィールド」とつながる世界に近づけると。

 

うまく説明しきれない。。。。
まだ、私自身の理解も浅いのかもしれない。
でも、良書だったと思う。

 

なんだかんだ言って、
私自身、自分は運がいい、とずっと思っている。
生まれた時代だって、運がいい。
戦争はないし、バブルは楽しんだし、地球環境が破壊的状況にまでは至っていない。
無意識のネガティブも、歳をとるほど減っていく。

 

これから、人生幸運以外の何が待っているというのだ。
と、「大いなるもの」に導かれよう。
私にとっての「大いなるもの」は、何なのかはいまだにわからない。
釈迦でもない。
キリストでもない。
万の神でもない。

わからないけれど、無常観で、人生を楽しむ、でいいのかもしれない。
とはいえ、、、、やりたいことは山積み。
楽しみながら、「今ここ」を頑張ろうと思う。

なかなか、、、未達なことも山積みだけど、楽しんでいるのだから、良いことにしよう。

 

読書は楽しい。

 

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運気を磨く by 田坂広志