『茂吉のねこ』 by 松谷みよ子

茂吉のねこ
文・松谷みよ子
絵・辻 司
ポプラ社
国学図書館協議会選定図書
1973年2月 第1刷
2014年2月 第31刷

 

ポプラ社「おはなし名作絵本」 シリーズ19。 図書館で借りて 読んでみた。 表紙には 「教科書に出てくる本」という金色のシールが貼られている。
え~、、知らない。こんなお話、知らない。。。世代が違うか・・・。

日本昔話みたいなお話。

 

作者の松谷みよ子さんは、1926年 東京生まれ。私は、「ちいさいモモちゃん」が大好きだった。どんな話かわすれてしまったけれど、ちいさいモモちゃんの話。名前を見た瞬間に、あ、モモちゃんの人?とおもった。

 

絵の辻さんは、 1933年 大阪府 生まれ。 大阪市立美術研究所に学ぶ。

 

最後に、松谷さんの「あとがき」がある。このお話は、「秋田の民話」がもとになっているらしい。人々に捨てられたモノが、お化けになって、茂吉と茂吉のねこを襲うというはなし。

 

茂吉は、 鉄砲打ちの名人だったけれど 酒飲みだった。 ある時 酒屋さんに行くと、 酒代が溜まっているから 払ってくれと言われる。 そんなはずはないと口論しているところに、 子供がやってきて 酒をくれという。しかも「茂吉につけておいて」と!

驚いた茂吉は、子供にむかって煙管を投げつける。逃げ出す子ども。追いかける茂吉。気が付くと、子供の姿はなく、一面の野原をどうっどうっと風が吹いて、右も左もわからない。

 

「いけね、こりゃばけものづくしの野原だど!」


さすがの茂吉も怖くなる。
あちこちに、あやしいお化けのすがた。
あたりは化け物だらけ。

 

ひとりのばけものがさけんだ
「茂吉のねこぁ どうした。 まだ 酒こ 持ってこねか」

すると、どうっと風が吹いて、一匹のねこが飛び込んできた。
茂吉はむぅとうなった。
たしかに、茂吉のみけねこだ!

 

「はやく 酒こだせ!」
「おら、こんやは 酒 だせね、さっき酒屋でおやじにばったりあって、煙管なげつけられて、けがしたもの」

 

なんと、さっきの子どもは茂吉のねこがばけていたのだ。
化け物たちも、おやじにみつかったということにびっくりして、ぞわっとうごかなくなった。

 

化け物たちは、「ころすべ」といって、
「茂吉のねこは、 明日の朝、茂吉の膳の上をポンととべ。
そのめしを食えば、茂吉は死ぬ」という。

茂吉のねこは、ぴくんと身体をふるわせて、

「おら、やんだ。おら、茂吉、すきだもの」

「なに!」

ばけものたちは、ねこを殺そうとねこの首に長い手をのばした。

 

ガーン ガガーン

茂吉の鉄砲が火をふきました。
野原は、ごうっとゆれ、あたり一面が、赤い火、青い火、ぺかぺか、ぺかぺか。
狂ったように揺れたかと思うと、やがてあたりはしいんとなって、真っ暗になってしまいました。

 

茂吉が鉄砲をおろして、暗闇をにらんでいると、にゃおんにゃおん、茂吉のねこがすり寄ってきました。

「こら、おまえみた ちびっこが 一人前に、ばけものの なかまいりすんでね、この ばかたれ」

茂吉はねこをしかりとばして、肩に乗せ家に帰りました。

 

次の朝、明るくなってみると野原には、村の人たちが捨てたものが、ころがっていました。

 

おしまい。

 

大事にしないで捨てられた者たちが、お化けになったはなし。
ちょっと、こわい。
でも秋田弁なのか、日本昔話みたいで、ちょっとたのしい。

ちびっこは、おばけの仲間入りなんかしなくていい、やね。

 

物は大事に使って、感謝してから捨てよう。。。。化けて出てこられたら怖いからね。。。

 

私の通った図書館にもあったのかな?初めて読んだと思う。

こういうタイプの絵は、なんというか日本らしいと思ってしまう。お話と絵があっていて、なるほど、ポプラ社の絵本、いいなぁ、と思った。

 

絵本は楽しい。