『帝国主義を歴史する  歴史総合パートナーズ⑧』by  大澤広晃

帝国主義を歴史する
歴史総合パートナーズ ⑧
大澤広晃
清水書院
‌2019年7月22日初版 第一刷発行

 

‌図書館のティーンズコーナーで見かけたので、‌歴史の勉強に借りてみた。パラパラと読んでみると、「帝国主義」というテーマだけに、結構、人間の醜い歴史の話。よく、こういう書き方するなぁ、、、と思う位。いったい、どういう 出版社 なのかと思って調べてみたら、 清水書院というのは 教科書を作っているところらしい。なるほど、と思った。歴史の副読本、という感じかな。

 

表紙の裏の袖には、
”歴史する?
「歴史は暗記物」、自分とは関係ない過去の話。 そう思っていませんか?
 身の回りでの物事や出来事を 探っていくと、 きっと奥深い歴史が見えてくるでしょう。 私たちはその見え方に縛られもしますが、 歴史を捉え直す時、 変わりようもないと思った 現在の先に、 別の道が見えたりします。 私たちは決して歴史と無関係に存在しているのではありません。 いつも 「歴史している」のです。
  混沌とした今日の世界で、より良い一歩を踏み出すには、お仕着せでなく私たち一人一人が 「歴史する」、つまり 未来を想像/創造するために、日々直面する問題を過去の豊かな経験を頼りに考え行動することが求められます。 それは自ら歴史を編み上げる営みであり、また時空を超える旅でもあります。”
とある。

 

なるほど。
高校の必修科目に「歴史総合」ができたことで、その副読本としてつくられたみたい。

 

著者の大澤さんは、1980年生まれ。 ロンドン大学 キングスカレッジ 大学院 歴史学研究科博士課程修了。Ph.D.(歴史) 専攻はイギリス史、イギリス帝国史

 

目次
はじめに:帝国主義は過去のこと?
1.帝国主義の時代
(1)帝国主義
(2)誰が帝国を支えたのか: 労働と移民
(3)帝国主義と暴力
(4)「劣った人々」を「文明化」?:帝国意識
(5) 第1次世界対戦と帝国支配
2. 戦間期から第二次世界大戦期にかけての帝国支配体制
(1)継続する帝国支配
(2)自立を求めて:民族運動の展開
(3)帝国支配の再編?: 文明化の推進とその内実
(4)第二次世界大戦と帝国支配
3. 帝国主義の遺産:脱植民地化と冷戦
(1) 独立はなぜ苦難の道?: 脱植民地化
(2) 残される「帝国主義」: 脱植民地化と冷戦

むすびに代えて: 植民地責任と「帝国主義を歴史する」ことの意味

 

感想。
う~ん、厳しいなぁ。
割と、歴史の負の側面がギュッと詰まっている感じ。

 

帝国主義に抵抗しようとした数々の市民運動が容赦ない言葉で紹介されている。しかし、それは19世紀から20世紀にかけての話で、そう遠くない昔の話なのだ。
最初に、当時の宗主国とその支配面積、支配下人口の一覧表がある。

 

イギリス、フランス、オランダ、 ポルトガル、 ベルギー、 ドイツ、 イタリア、 アメリカ合衆国、日本。ロシアが含まれていないのは、数字がなかったからか?

 

帝国主義について語るときには、宗主国側の事情だけではなく、被支配地域の事情を考える必要もあり、一つの要因で語るのは困難だということ。
まぁ、それはそうだろう。

 

分割されつくされたアフリカ、奴隷貿易奴隷制、移民労働、、、、。

非白人たちは、安価な労働力として搾取された”とある。だが、被支配者である非白人たちが反乱を起こすようになると、宗主国は互いに協力しあって、暴力で支配をつづけた。暴力が当たり前の世界だった。非難されることのなかった暴力。そこには、性暴力も含まれる。

その根底には、「人種差別」があった。

 

20世紀にはいると、ヨーロッパ同士の対立が深まって、第一次世界大戦へ突入。戦争を勝ち抜くために、 帝国支配国は様々な勢力の利用を試みる。いまにつづくパレスチナの混乱をもたらす「サイクス=ピコ協定」が約束されたのも1916年のこと。

 

第二次世界大戦のあたりの話になると、日本による朝鮮韓国の支配もでてくる。ちょっと、耳が痛いというか、、、。悲惨な面ばかりが強調されていて、、、、やや、偏っているように思わなくもない。でも、事実は事実なのだろう。

戦後も、ベトナム戦争南アフリカアパルトヘイト、人々の悪事は終わりを迎えない。

 

いまもまた、、、続く各地での紛争。本当に、心が痛い。

 

最後の「むすびに代えて」というところで、やはり歴史を直視しないといけないんだなぁ、ということを考えさせられる。日本と韓国の問題も、帝国時代の歴史を引きずっている。日本のニュースでは取り上げられなくても、ヨーロッパでも今でも過去の確執による問題は続いている。

 

最後の一文を引用。
” より重要なのは、かつて植民地支配下に置かれた人々の心情に寄り添い、それらの人々の経験を掘り起こし、それらの人々の視点から歴史を読み直し、帝国主義と植民地支配が残した問題を克服するために何をしていくべきかを考えることではないでしょうか。 それこそが 「帝国主義を歴史する」ことの最も重要な意義であり 目的であると言えるでしょう。”

 

読んでいて、なかなかキツイ一冊だった。高校生はどんな感想をもつのかな?と思った。本書を読んで歴史に疑問を持った高校生に、私は答えられるだろうか?いやぁ、答えられないなぁ、、と思う。

 

今年のホノルルフェスティバルでは、ハワイ州知事公邸で知事主宰ランチパーティーに参加した。その建物は今では「ワシントンプレイス」という名前で呼ばれているが、ハワイ王国最後の女王「リリウオカラニ女王」が余生を過ごした場所だったそうだ。ハワイ王国は植民地になったわけではないけれど、砂糖産業が導入され、最終的にはアメリカに併合されて終わりを告げる。悲しい最期だったのだ。

megureca.hatenablog.com

そして、日本人移民も入植するようになったハワイ。元々の住民たちはどういう気持ちだったのかなぁ、、と思うと、ちょっと複雑な気もする。

 

100ページ未満の薄い一冊。横書きなのがちょっと読みずらい・・・。カジュアル感を出すために横書きにしたのかもしれないけれど、やはり、本は縦書きの方が読むスピードが高まる。

 

そういえば、歴史の教科書って、横書きだね。というか、ほとんどの教科書が横書きか。箇条書きにしたり、図表を入れやすいのかな????単に、一般の図書は縦書きが多いから、縦書き読みに慣れただけだろうか?

なんだか、縦書きの方が思考が途切れないんだよなぁ。。。視覚と思考に関連しているのだろうか?英語なら、もちろん横書きだけど。。。

やっぱり、慣れの問題か・・・。

 

と、余談。。。。

 

本にも、色々ある。