シロクマのことだけは考えるな
人生が急に面白くなる心理術
植木理恵
新潮文庫
平成23年7月1日発行
図書館の文庫本の棚をつらつら眺めて、目についた本。
植木理恵さんって、さんまさんのTVに出ていた人?と思って、ペラペラページをめくってみると、写真がそうだった。
ここ数年、あまりTVを見ていないので、今も出ているのかは知らないけれど。。。
薄くって、簡単に読めそうなので、借りて読んでみた。
感想。
なんじゃこりゃ??
軽い・・・。
まぁ、きっとそういう本なのね。
可愛らしいというのか、若者向けというか、、、。
ま、なるほどな、と思う箇所もいくつか。
悪くないよ。でも、軽かった。
まぁ、想定の範囲内、、、って感じかな。
気分転換にいいかも。
著者の植木理恵さんは1975年生まれ。心理学者臨床心理士。東京大学大学院教育心理学科修了後、文部科学省特別研究員として心理学の実証的研究を行う。
そうか、1975年生まれだったんだ。
本の中には、昭和っぽい発言もあって、もうちょっと年上かとおもったけれど、意外と若い。(私からしてみれば)
タイトルの「シロクマのことだけは考えるな」というのは、心理学の実験の話。人は考えるなと言われるほど考えてしまうということ。
求めれば求めるほどうまくいかない、頑張れば頑張るほどうまくいかない。
そんながんじがらめなボヤキに、どうしたらうまくいくのかの答えは、「認知心理学」と「記憶心理学」にある、という。
心理学者ウェグナーの言葉が引用されている。
「人は『考える』ことなしに、『考えまい』とすることができない」
まさに。
忘れたいのに忘れられない人がいる。失恋で落ち込んでいる、、、そんな若者には助けになる一冊かも。
目次
第1章 元気になる心理術
第2章 頭が良くなる心理術
第3章 人をコントロールする心理術
第4章 人を虜にする心理術
忘れたいのに忘れられない、、への対処法。
忘れようとして頑張ること、それが結果的に脳には覚えておけという伝令になっている。じゃあどうするか。脳のメーターが振り切れるまで考え抜くこと。どんなに考え抜いても人は半年経つとその対処への興味が薄れていく。「忘却曲線」があるから。
つまり人間の脳は飽きるようにできている。一刻も早く忘れたいことがあるならば、とことんその事に向き合って悲劇のヒロインになってみる。
緊張でパニックになる様な時の対処法も書かれている。
パニック発作への対処法。
パニックになった時にはそのパニックを抑えようとするのではなく、自分が今どういう状態になっているのか冷静に見つめればいいのだという。
パニックを抑えようとする行動は、心理学では『回避的コントロール』と呼ばれる。
平常心!平常心!と思って平常心になろうとすると、かえって緊張してしまう。
それよりは、冷静に、「あ、自分は今緊張している。心臓がバクバクしている。」と、「一人実況中継」するとよいのだと。
なるほど、ちょっと、分かるかも。
こんど、緊張することがあったらやってみよう。
と、緊張することじたい、めったにないけど、、、、。
忘れたいこと、パニック、ともに、抵抗するのではなく、とことんそれと向き合うというのが対処法のようだ。
これは、心理学でいうと「認知」を変えるということ。
「出来事」をかえようとするのではなく、「考え方」を変えることで落ち着きを取り戻す。
ま、頭でわかるのと、体でできるのは違うから、、、、経験を積むんだろうな、と思う。
若者の皆さん、大丈夫、だれでも年をとると図太くなるから。失恋なんかじゃ死なないって分かるようになるから。
ちなみに、冷静に観察するというのは、他者についても有効だそうだ。
ケンカになったとき、冷静に相手を観察すると、双方感情的になって爆発!とならなくなる、と。
ま、それができるくらいなら、ケンカしないやね。
第2章 頭が良くなる心理術 では、集団で考えると手抜きの結論になりがち、という面白い話が出てくる。
合コンの反省会も、皆でやると誰かの意見に引っ張られてしまうから、一人でやれ、と。三人寄れば文殊の知恵なんていうのは、なかなかないのだと。
誰かがいると、誰かに頼ってしまうのが人間。自分の答えは自分で考えたほうがいい、ということかな。
会議も、会議になってから考えるのではなく、
1 あらかじめそれぞれが考えた意見を持ち寄って会議すべし!
2 その会議は進行役に仕切らせるべし!
と。
だれかが仕切ってくれると思っていると、、、、失敗する。
あ、それ、あるある。。。
友人と旅行に行くときなども、重要な役割はちゃんと分担して決めておこう。
「第3章 人をコントロールする心理術」というと、ちょっといやらしい響きがあるけれど、簡単に言うと、「アメとムチ」というけれど、「アメ」だけでいい、という話。でも、そのアメも、いつも与えるのではなく、「時々アメ抜き」がいいのだと。
なんだか、ツンデレってやつか?
”毎回誘いに応じてくれる人より、たまには断る人の方が圧倒的に魅力的なのです”
だそうだ。
そして、心理学的に実証された「スティンザー効果」を使うべし、と。「スティンザー効果」とは、
向かい合った人同士は相手の発言に反論しやすい。
隣に座って人同士は同調しやすい。
ということ、
恋人同士なら、隣同士に座ったほうがケンカしないかも、ね。
そして、魔法のポジションは、90度だそうだ。
お誕生日席。このポジションのメリットは、相手の目を見ることもできるし、外すこともできること。視線の自由度が高いと、人間の快適度アップするそうだ。
ちょっと、分かる気がする。
レストランとかで正方形のテーブルに、2人で座るとき、相手がだれであれ、正面同士に座るより、90度のポジションで座った方が、なんとなく親密感もあり、話しやすくもなる。
なるほど、視線の持っていき場所の問題なんだね、なるほど。
「第4章 人を虜にする心理術」では、人をほめるテクニックがでてくる。人が嬉しくなる褒め方の手掛かりは、「ジョハリの窓」にあるという。
「ジョハリの窓」は、心理学でよく出てくる言葉。
ジョセフ・ルフトとハリー・インカムという2人の心理学者が提唱した説だから、ジョセフとハリーで「ジョハリ」と呼ばれている。
二人は「人間は一つの自己を生きているのではなく、四つの自己を同時に持って生きている」と考えた。
それが、4つの窓。4象限。
① 既に開いた窓 (本人も他人も知っている自己)
② 隠した窓 (本人だけが知っている自己)
③ 開くかもしれない窓 (他人だけが知っている窓)
④ 閉じた窓 (誰も知らない窓)
人が褒めてもらいたいのは、①の窓ではなく、③の窓。
自分では思いもよらなかったところを指摘されると、「え?そうなの?私ってそんなところがあるの?」という意外性を感じ、褒めた人の印象が強烈に記憶に残るということらしい。
なるほどね。
全体に、恋愛に関する話が多かったところが、私には「軽い」と感じたところかもしれない。でも、恋愛真っ最中の若者には、すごい啓発本かもしれない。
ま、読書は楽しい。