『DIE WITH ZERO』 by ビル・パーキンス

DIE WITH ZERO
人生が豊かになりすぎる究極のルール
ビル・パーキンス
児島修 訳
ダイヤモンド社
2020年9月29日 第1刷発行
2023年7月24日 第15刷発行

 

知人が、面白いといっていたので気になっていた。図書館ではすごい予約の数だったのだけど、そのまま予約待ちにした。でも、大江さんの出ていたYouTubeでも話題にしていたので、やっぱり買ってみるか、、、と、購入。1700円(税抜き)。

megureca.hatenablog.com

 

帯には、
”人生が変わった!と絶賛の嵐!
限りある人生で「金」と「時間」を最大限に活用するための9つの絶対ルール。
ベストセラー、 20万部突破!!
経営者、起業家、著名人、YouTuberも激賞
読まないと絶対に損
もっと若いころに出会いたかった
今年読んだ本でナンバー1
お金の価値観が変わった
溜め方ではなく使い方を教える
お金と人生のシン・バイブル”
とある。
ここまでくると、うさんくさいな、、、、ってほどの広告だ・・・。

そして、表紙裏には、
”人生で一番大切なのは、思い出をつくることだ。”
と。

2020年9月が初版だったんだ、、、。私が知人に勧められたのは、2023年の春くらいか?それまで、私のアンテナには一切ひっかからなかった本。2020年9月というと、コロナで、本屋をウロウロする機会もすくなかったのかも。
かつ、もともと私はお金の貯めることより「使う」事の方が大事だと思っているし、思想的には私には驚きの話ではない。

お金なんて、使わないと何の価値もない。
これは、結構若い頃からそう思っている。。。
私は、入社数年目で実家を出て一人暮らしを始め、月の手取りでは足りず、ボーナスを切り崩す生活をしていたけれどハッピーだった。実家からの通勤時間が長すぎたために、時間を買った。その選択があったから、その後の会社人生、今の人生があると思う。あれは、正しい選択だった。そして、それをNOと言わなかった両親にも感謝。

 

著者のビル・パーキンス(William Parkinsを何故か翻訳本はニックネームのビルとしている)は、1969年 アメリテキサス州ヒューストン生まれ。アメリカ領ヴァージン諸島を拠点とするコンサルティング会社BrisaMaxホールディングスCEO。アイオワ大学を卒業後、ウォールストリートで働いたのち、エネルギー分野のトレーダーとして成功をおさめる。現在は、ヘッジファンドマネージャー、ハリウッド映画プロデューサーなど、様々な分野で活躍。本書が初めての著書。

 

感想。
うん。これは面白い。
別に、わたしにとってはびっくりする内容ではないけれど、面白い。
そして、驚いたのは、先に読んだ大江さんの本は、ようするにこの本を要約したのでは?!とおもうほど、、、、言っていることが同じ。たしかに、大江さんは何度も”『DIE WITH ZERO』でも言っていることだけれど”、と引用しているけれど、それにしても、、、と思うほど。なるほどね、、、『お金の賢い減らし方』を蔵書にするほどではない、と感じたわけだ・・・。
それに対して、本書は、蔵書にしてもいい。いや、既に「お金を使う」を実践している私には、もう、必要ないかな。でも、貯めることにばかり夢中になっている人には、是非、読んでほしい。なかなか、おすすめ。840円の一冊より、1700円のこの一冊の方が、お金を使う価値あり。

お金は、使わないと価値がない。

 

目次
ルール1 「今しかできないこと」に投資する
ルール2 一刻も早く経験に金を使う
ルール3 ゼロで死ぬ
ルール4 人生最後の日を意識する
ルール5 子供には死ぬ前に与える
ルール6 年齢にあわせて「金、健康、時間」を最適化する
ルール7 やりたいことの「賞味期限」を意識する
ルール8 45~60歳に資産を取り崩し始める
ルール9 大胆にリスクを取る


目次をみただけで、ルールそのものなので、極めてわかりやすい1冊。

 

最初に、アリとキリギリスのイソップ童話が出てくる。遊びほうけて、アリに泣きついたキリギリスだけれど、じゃぁ、アリさんはいつ遊ぶの?!?!ってこと。
経済的に豊かになるだけでなく、人生を豊かにするための方法を考える”のが本書の主旨。

遊びを先送りしすぎていると、愉しむ前に死んじゃうかもよ、というのは極端だけれど、定年して夫婦で旅行を楽しもうとおもっていたところでだんなが脳梗塞心筋梗塞、etc、、、他人事じゃない。

だから、お金は使える時に使いたいことに使って、死ぬときは資産ゼロで死のう!というのがメッセージ。資産ゼロは難しいにしても、死後に子供に相続させるのも、死後に寄付するのもナンセンスだ、と。もっと早くに子供にあげれば子供は早くに使えてありがたいし、寄付ももっと早くしていれば、早くにそのお金が有意義につかってもらえた、と。

 

死ぬまでを逆算して、資産を取り崩し始める時期を自分で知っておくべきなのだ。ルール8に順えば、45歳を過ぎたら、もう取り崩しを考えてもいいのだ、と。アメリカと日本では、健康保険や年金の制度がちがうので、一概に年齢でいうことはできないかもしれないけれど、少なくとも、日本の方が社会保険制度は整っている。年金がなくなっちゃうかも、、とかいうものの、実際にはゼロになることはないだろうし、サラリーマンなら企業年金だってあるだろう。

正直言って、私は既に取り崩し始めるべき時に来ている。ルール7に従って、やりたいことの賞味期限、つまりいつまでできるか、、、と考えると、いまから死ぬまでにやりたいことリストをつくって、やりはじめないと、、、という年齢だ。やりたいことはかなりやりつくしてきたけれど、まだまだ行ってみたい旅先が山ほどある。それをリストにしてみよう!と思った。犬山城丸亀城道後温泉、、、ほんと、リストにしておこう。

 

本書の中で、いいね!と思ったことを覚書。

・自分が何をすれば幸せになるかを知り、その経験に惜しまず金を使うこと。
 
・若い時でないとできないことは、若い時にしておく。
 やっぱり、歳をとれば、年々体力は衰える。やってみようという気力も衰える。若い時なら失敗したって取り返すチャンスもいっぱいある。やっぱり、何事もやってみないことには!

 

・人は、高齢になるほどお金を使わなくなるのが事実。だから、今必要と思っている金額の7割程度でも高齢者は結構幸せに暮らせる。

 

・人生の満足度は、健康に左右される。小さな健康の変化でも、人生に大きな変化をもたらすことがある。

 

時間をお金で買うことは、満足度が高いこともある。忙しい時の家事代行、タクシー、便利家電は、実は時間を買っているのと同じこと。有効な使い方。
タクシーは、「貯める」ステージにある人は、使うべきではないと思うけどね。

 

・今の健康でしかできないことは、今やる。
実際、遊園地などでは、年齢上限制限のあるアトラクションだってある。まぁ、私はそういうものには興味はないけれど、スキューバダイビングやスカイダイビングは、70代だと厳しいかもしれない。スキューバは、、、やってみてもいいかな、、、。。でも、やりたいことリストってほどではない。

 

死ぬときに後悔することNO.1「もっと自分に忠実に生きればよかった」
私は、かなり忠実に生きている方なので、うんうん、とうなずくのみ。

 

・資産のピークは金額で考えるより、年齢で考える。

 

死んだときに残った財産は、その分の経験を逃してしまったことになる。言い換えると、その分、ただ働きしたことになる。
これは、なかなか、新鮮な発想。使わなかった分はただ働きしたようなもの、と。
1000万円の残して死んだら、時給1万円だとしても、1000時間分だ!! 年間労働時間1800時間だとして、半年以上ただ働きしたのと同じこと、って。
こりゃ、たまらん!!
お金は、使おう!!!
ものの断捨離も重要だけど、お金だって使わないとただ働きになるって、、、お金は捨てるわけではないけど、消費することも大事!使わないと!!!

 

・「これからは給料は上がっていく、だから今は節約するのではなく金を借りるくらいでちょうどいい」 『ヤバい経済学』の著者 スティーブン・レヴィットがシカゴ大学に着任したときに言われた言葉。
たしかに、20代、30代は、これから給料があがっていくだろう。サラリーマンなら、ということだけど。稼ぎは少ないけど、一番体力がある時代は、お金を貯めることより、経験にお金を使うべし!と思う。

 

人間は、人生の終わりを意識したときに初めて、自分の時間を大事に使おうと思う。そうなる前に、、、もっと、人生の終わりを意識して、逆算してみよう。

 

私は現在、54歳。来月には55歳。やりたいことを全部やるには人生150年と言っているわたしだけれど、一応、控え目に100歳まで生きたとしても、すでに折り返し。

100‐55=45
残りの人生45年だとしても、お金を平準化して使うわけではないだろう。
85歳を過ぎたら、年金だけでも暮らしていけそうだ。
であれば、残り30年を今の資産で暮らすとすると、実のところ、今の資産できっと足りる。

実は、2020年6月末で脱サラしてから収入は1/4程度に減っているのだけれど、私の資産は増えているのだ、、、、。別に、すごく節約していたわけではないのだけれど、コロナで会食もなければ、旅にも行けない、ほんとにお金を使わなかった。そしたら、2023年8月現在、脱サラから3年たっているのに、資産が増えている・・・。我ながら、なんでだ?!?!と。増やすつもりなんてなかったのに・・・。
支出が大幅に減ったこと、株価が上がったこと、、、、。色々な要因はあるし、株や証券はまた下落のリスクもあるけれど、現金、証券、保険、不動産、もろもろポートフォリオを考えて持っているので、多分、でっこみひっこみ、何とかなる。 

 

ほんと、お金は使わないと意味がない。私が新入社員のころから、「金は天下の回りもの」と豪語していたのは、あまりお金に困ったことがないから、ということはあるかもしれない。父も母も、別に資産家の子女ではない。父が普通にサラリーマンをやって、専業主婦の母がいて、姉がいて、私がいて、昭和のごく普通の4人家族。でも、いわゆる地位財(人に見せびらかすためのブランドなど)には、まったく興味のない家庭だった。そして、両親ともに車を運転しないので自家用車が無く、かわりにタクシーをばんばん使う父だった。有意義なお金の使い方は、父に教わったのかもしれない。

 

何のために働くのか、なにが自分のやりたいことなのか、それを再考するチャンスをくれる一冊。なかなかおすすめ。

 

若い人なら、ぜひ両親にすすめよう。

生きているうちに子供にあげたほうがいいよ、なんてね。

 

読書は楽しい!

本も、もっと買っちゃおう!

 

そうそう、人生やりたいことリストも、つくらないとね。