『15歳から学ぶお金の教養 先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』 by 奥野一成

15歳から学ぶお金の教養
先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?
奥野一成
ダイヤモンド社
2021年3月9日 第一刷発行

 

図書館で見かけたので借りてみた。可愛いイラストと、比較的大きな文字。ティーンネイジャー向けっぽい。ま、どうしたらお金持ちになるのか、私も知りたいし。ということで、読んでみた。

 

表紙の裏には、
「ありがとう」の総量をお金で評価するのが資本主義です。”
とある。

 

著者の奥野さんは、農林中金バリューインベストメンツ株式会社常務取締役兼最高投資責任者 (CIO)。 京都大学法学部卒、ロンドンビジネススクールファイナンス修士終了。1992年日本長期信用銀行に入行。長期証券、 UBS 証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2007年より「長期厳選投資ファンド」の運用を始める。2014年から現職。日本における長期厳選投資のパイオニアでありバフェット流の投資を行う数少ないファンドマネージャー、だそうだ。

 

本書は、「高校生の皆さんに説明する」、という体裁で書かれている。今現在稼いでいる世代ではなく、未来の社会人に向けてのメッセージ。高校生であっても、投資やお金の仕組みを考えることは重要。でも、そもそも、勉強するということが一番の投資なんだよ、というメッセージとも読める。結構、おもしろかった。

ティータイムに、さーっと読める。

 

目次
序章 お金持ちになるにはどうしたらいいの?
第1章 お金って何だろう
第2章 経済のしくみを知ろう
第3章 投資ってなんだろう
第4章 「複利」という強力なエンジン
第5章 会社の仕組みをしろう 
第6章 価値を創造しよう
第7章 構造的に強靭な人間になろう

 

序章でいきなり、「お父さんとお母さんのいうことを鵜呑みにしないように」とでてくる。これは、反抗しなさい、といっているのではなく、時代は変わっているので、ご両親の時代と君たちが社会人になるときとでは、時代が違うんだよ、という話。

 

この20年で時代は変わった。著者自身が長銀に入社して、6年で会社がなくなってしまった、、、のだと。そう、この20年で、社会は変わった。作れば売れた時代から、「モノ余りの時代」へ。そして、「アイディアの時代」へ。そんな変化の中でも変わらないものがあるという。それは、「付加価値の提供」をうまくできた人が稼げる、ということ。それは、「人の役に立つ」ものを社会に提供できる、ということ。

 

お金とは、交換機能、保存機能、価値尺度機能をもったもの。そして、価値は自分にとっての価値なので、自分が満足できるかどうかで自分で決めるもの。一方で、価格は自分が決めるのではなく他者か決めるもの。だから、「価値より価格を優先させてはいけない」と。価格を優先させると、他人に振り回されることになる。欲しくもないのに「半額!」シールが貼ってあると買ってしまうような・・・・。

 

私たちが買い物をしてお金を払うのは、そのものに「価値」を見出しているから。そして、「ありがとう」の気持ちとしてお金をはらう。人から「ありがとう」と言ってもらうために何をするのか、というのが稼ぐために考えるべきこと。

 

経済の仕組みでは、「トウキュディディスの罠」の話がでてきた。覇権国は勃興国を抑制しようとする。勃興国は覇権国に自国の権利を認めさせようとする。そして戦争が起きる。ビジネスの世界でも、同じようなことが起こりえる。つねに、競争があるということ。そして、現状維持に満足してしまうと、それは他社が成長していくことで負けぐみになってしまうということ(ボーっとしている覇権国は、勃興国に負けるかもしれない)。そして、この停滞している日本のなかで現状維持に甘んじるということは、後退を意味するということ。日本の一人当たりGDPの順位がどんどん落ちているのは、日本より世界の経済の方が成長しているから。日本いても、「世界経済の成長」の波になるべきなのだ、という話。

 

投資とは、現在の資産(時間・才能・お金)を投下することで、将来により大きな資産を得ようとすること。大事なのは、自分の未来に資産を使うこと。だらだらとTVをみたりゲームをする代わりに勉強をするのは、自分への投資、ということ。どっちを選ぶか、よく考えてみよう、と。過去をクヨクヨしても仕方がないし、他人の過去をあれこれいう(芸能人のゴシップ)のはまったく無意味。自分の将来に投資せよ!と。
コントロールできるのは、自分の将来のみ。自己投資を徹底的にやりぬけ!と言っている。
そして、起業というのが究極の投資なのだ、と。

うんうん。
よくわかる。

 

すごいお金持ちになりたかったら、起業するのが一番、と。

 

会社というのは、お給料をもらうための場所ではなく、個人では解決できない社会課題を、異なる能力を持った人たちが集まることによって解決する為の場所。自分は、どんな能力で会社に参加したいのか、それを考えるべき。そして、会社を選ぶときには、「自分が成長できる会社」を選ぶことと。うん、大切だ。

 

会社を選ぶだけでなく、今の会社に居続けるべきかを考える時にも、ここで自分は今より成長できるのか?を問うのはとても大切だと思う。

 

最終的には、「お金はたくさん持っていても意味がない。それを何に使うか(価値)が大事」だと締めくくってる。

 

また、英語の勉強が複利に効果を表す自己投資なのだ、という話が何度もでてくる。情報を得るにも、ビジネスをする場をグローバルに広げるにも、英語は一つの武器になる。その武器を若いうちから身に着けておくということか、複利にきいてくるから、しっかり勉強しなさい!と。受験勉強のための英語ではなく、自分への投資なんだよって。

 

たしかに、今、50歳を過ぎても私が英語の勉強を続けているのは、それで稼ぐため。そして、ひとから「ありがとう」と言ってもらえるようにその品質を高めたいから。

そして、英語のニュースを読むことで、日本語で書かれているニュースとは異なる情報源から情報をえることで、異なる視点で世の中の出来事を見ることができるようになりたいから。

 

先日、ゼレンスキー大統領がアメリカの議会で演説したとき、彼が来ていたカーキー色のTシャツのようなもの、なんでこんな普段着みたいなかっこ何だろう?と思ったら、PBS Newsの中で、「アメリカの開拓時代の自由を象徴する服」に似ていたそうだ。

そんな話、日本のニュースではなかなか語ってくれない。

 

結局、人生自分への投資の連続。そして、そこから「ありがとう」が生まれれば、それが稼ぎにつながっていく。

若者よ、自分に投資せよ!

いや、中年も、高年も、自分に投資するのが一番価値あるお金の使い方かもしれない。

 

そういう意味で、読書は究極の自己投資。

しかも、安上がり!

読書ばかりしていると、運動不足になっちゃうのがたまにきずだけど・・・。

ま、耳読って方法もあるしね。

散歩しながら耳読するのもいい。

 

お金持ちになるって、お金だけたくさんあっても意味はなくて、そのお金をどう使うかが大事。お墓にお金は持っていけないしね。

お金の使い方を見直す、という意味で、家計簿をつけてみるのも楽しいかもしれない。

 

お金の教養、大事なのは、稼ぎ方だけでなく使い方。

うん、なかなか楽しい本だった。

15歳にもわかりやすいと思う。

54歳にも、わかりやすかった!