『白鯨 Moby-Dick』 by  Herman Melville

白鯨 Moby-Dick
Herman Melville
Penguin Readers
出版年 2020年

 

メルヴィルの『白鯨』を読もうと思って図書館でさがしてみたのだが、色々な出版社から、色々な人の訳本があって、どれを読むか迷ってしまった。しかも、どれも結構古い。白鯨は、ずっと「気になる本」だったけれど、やっぱり読もうと思い立ったきっかけが、最近読んだ、セミコロン」だった。白鯨で、セミコロンが多用されている、というのだ。物事を曖昧にするセミコロンが4000箇所も使われている、と。だったら、原文で読んでみるか、とおもったのだが、図書館にあるのは、Penguin Readersシリーズだった。。。。English leanerのための要約本といったらいいだろうか。まぁ、ストーリーを知るにはこれでも、、とおもって、借りてみた。

megureca.hatenablog.com

 

一応、Penguin Readersシリーズのlevelでは、「B2」の最高レベル。とはいっても、厚さ1cmくらいのペーパーブックなので、割とあっという間に読めてしまった。

読み始めて、やっぱり、英語でよむのは無謀かな、、とおもったけれど、面白くて、あっという間によんでしまった。そして、読み終わってから、ネットで「白鯨のあらすじ」とかを検索して、自分の理解が間違っていないことを確認。あぁ、よかった、ちゃんと読めていた。。。

 

英語で読んだのはよかったのだけれど、残念ながら、セミコロンは一つもでてこなかった。でも、キャサリン・レイヴンの『キツネとわたし 不思議な友情』で引用されていた、自然の厳しさに関することは、ちょっとは、なるほど、、だったかな。

megureca.hatenablog.com

 

以下、ネタバレあり。

 

お話は、主人公のIshmaelが、クジラ狩りの船に乗り込んだときの経験を語る、という形で進む。商船の船乗りだったのに、もっと冒険がしたいと思って、whaleing shipに乗り込むIshmael。でも、クジラ船は、生易しいものではなかった。船は自然に翻弄され、伝説の白鯨Moby-DIckと戦うも敗れ、沈んでしまう・・・。
そして、最後にはIshmeal以外の仲間はみんな死んでしまう、、、、という。衝撃のラスト。そうだったのか!!!知らなかった。

 

本来は、1000ページに及ぶ長編らしい。それが、英語で100ページくらいだから、そうとう端折っているのだろう。クジラの生態や、船、海について、延々とかたっているそうだけれど、そういう文章が少なく、おそらく、セミコロン以下で記されていたものはすべてカットされた、、ってことかな。

 

主な登場人物

Ishmael(イシュメール):本作の語り手。クジラ船に乗るのは初めて。

 

Queequeg(クィークエグ):イシュメールがクジラ船を探して、ニューヨークからニューベッドフォード、そしてNantucket(ナンタケット)を目指しているときに、或る宿屋で、同じベッドで寝ることとなって知り合う。顔も身体もタトゥーだらけのニュージランド原住民。見た目は怖いけれど、気のいい男。英語はかたこと。クジラ狩りにはなれていて、Starbuckのharpooner(ハープナー:クジラをとるためのharpoonを投げる人)となる。

 

Ahab(エイハブ):クジラ船 Pequod(ピークオド)号の船長。エイハブは、かつて、伝説の巨大Sperm whale(マッコウクジラ)=Moby-Dickに襲われて、片足を失う。クジラの骨で作った義足で甲板をカツカツならして歩く。クジラ狩りは、クジラの油を取るために盛んにおこなわれていた漁で、大金を稼ぐこともできた。でも、エイハブが出航する目的はただ一つ、Moby-Dickへの復習だった。

 

Starback(スターバック):Pequod号の航海士3人のうちの一人。賢くてインテリジェンスなナイスガイ。だれよりも、クジラ狩りがうまい。本作のなかでは、Moby-Dickへの復習に燃えるエイハブに、唯一、乗組員の安全が第一だと正論を説く。クィークエグが、スターバックのハープナー。

 

Stubb(スタブ):Pequod号の航海士3人のうちの一人。楽天的で、いつでもポジティブ。

 

Flask(フラスク):Pequod号の航海士3人のうちの一人。小柄で、短絡的。

 

Tashtego(タシュテゴ):スタブのハープナー。アメリカンインディアン。

 

Daggoo(ダッグー):フラスクのハープナー。黒人のアフリカ人。大男。フラスクが横に並ぶと、まるでおもちゃの様。

 

と、こんなメンバーが、ナンタケットの港をでて、数年にわたるクジラ狩りの漁にでる。クジラ船は、そのオイルを取ることを目的とし、多くは2~3年間、ずっと海の上にいる。そうできるぐらいの大量の食料や水をのせて航海にでるのだ。

 

そして、航海している間に、巨大なイカにであったり、アザラシの群れにであったり。当然、クジラ狩りもする。見張り役がクジラを見つけると、大きなピークオド号から、クジラ狩り用の小舟が海に降ろされる。それぞれの船に、スターバック、スタブ、フラスクらが、ハープナーと共に乗り込み、クジラに近づいて、ハープナーを投げるのだ。

 

航海中には、台風に翻弄されることも。また、様々な国籍の船ともであう。でも、船長のエイハブの興味は唯一つ、「Moby-Dickをみなかったか?」だった。

 

あるとき、同じナンタケット港からクジラ狩りにでていた、Rachelの船にであう。Rachelは、漁の途中、行方不明になってしまった自分の息子、まだ子供である息子を探すのに、エイハブの船を48時間貸してほしい、と懇願する。でも、エイハブは、それにも冷たく、時間が無駄になると言って断るのだった。

子どもを、、、息子を助けるのを手伝ってほしいというRachelの願いは、無慈悲に退けられてしまった・・・・。

Pequod号の船員たちは、みんな、しんみり、、、黙り込んでしまう。そんな時も、なんとかエイハブの良心を動かそうとするのがスターバックだった。でも、、、エイハブは、Moby-Dickへの復讐のためなら、どんな危険も厭わないが、他の人の手助けをする気はないのだった・・・。

 

そして、航海の途中、一時、クイークエグが瀕死の病気になる。彼は、自分のために棺を作ってくれと懇願し、仲間たちは、クイークエグのために棺を作ってやる。航海中に亡くなったセーラーは、ただ、布に包まれて海に流されるのが常だが、クイークエグは、木の棺にいれてくれれば、故郷までかえれるかも、、、というのだった。が、、棺が出来上がったころには、クイークエグはすっかり元気を取り戻す。

 

そして、数々の危険なクジラ狩りをしながら、Moby-Dickを探す航海は続き、とうとう、彼らはMoby-Dickに出会う。何日もかけての格闘。途中で、船乗りの仲間がおぼれ死んでも、船の一つが真っ二つに割られても、エイハブは諦めようとしない。唯一、スターバックだけが、エイハブにこれ以上船員を危険な目に合わせるな、と進言するけれど、聞き入れない・・。

そして、悲劇が・・・・。

Moby-Dickの攻撃によって、Pequod号は破壊されつくされ、、、エイハブも、スターバックも、、、みんなみんな、、、海の藻屑と沈んでしまう・・・・。

 

イシュメールだけが、海の上を1日漂流する。イシュメールは、偶然自分の横へ漂ってきたクイークエグのためにつくった棺につかまって浮いていたから、他の船に見つけてもらうことができた。

そう、そんな航海の話を淡々とかたる、イシュメールのお話。

 

ちゃんと、原文を読んだら、もっと、手に汗握る!!!って感じなのだろう。
なるほど。アメリカ文学の名作か。本当は、ストーリからは脱線する話も盛りだくさんだそうだ。
いつかは、ちゃんと、全文、読んでみよう。まぁ、日本語でいいか。

老人と海』と似ていなくはないけれど、やっぱり、、、みんな死んじゃうから、ちょっと違う。もっと、海の冒険ストーリーといっていいと思う。

面白かった。 

 

そうそう、スターバックって、勇気と親切心にあふれた素晴らしいアメリカンナイスガイとして描かれているのだが、あのシアトルコーヒーショップ「スターバックス」の店名は、この勇気あるナイスガイ、スターバックからきているのだそうだ。

 

雑学・・・。

 

読書は楽しい。