『デューン 砂の惑星 [新訳版](下)』 by  フランク・ハーバード

デューン 砂の惑星 [新訳版](下)
フランク・ハーバード
酒井昭伸 訳
早川書房 ハヤカワ文庫SF
2016年1月25日 発行
2021年10月25日 5刷
Dune (1965)

 

(中)の続き。

megureca.hatenablog.com

 

(中)では、映画『Dune PART2』の途中まで。映画と原作では、出来事がちょっと前後しておきていたりするのだけれど、PART2は、え~~~ここでENDなわけぇ?!という、終わり方だった。そして、その続きは??

 

裏表紙の説明には、
” そして、ついに復讐の時が来た。 フレメン の一員と認められたポールは、その超常能力から、 預言者ムアディップとして フレメンの全軍勢を統率する立場になっていた。 ハルコンネン家の圧政とポールの指揮下の フレメンの反撃に、 惑星アラキスは揺れる。状況を危惧した皇帝とハルコンネン男爵は軍隊を引き連れ、再び惑星へと降り立つが・・・・。映画化・ドラマ化され生態学SF の先駆けとしても知られる 伝説的傑作。解説/水鏡子。” とある。


感想。
いやぁ、、、面白かった。しかし、映画は、、、、後どれほど引っ張るのだろう?というくらい、(下)は、最終局面があっという間に終わってしまう。。。ように感じられた。
でもって、本のいいのは、ポールとジェシカの物語が終わった後に、 「附録」という解説バージョンのようなページが続くのだ。

 

附録Ⅰ: デューン生態学
附録Ⅱ:デューンの宗教
附録Ⅲ:ベネ・ゲセリットの動機と目的に関する報告書
附録Ⅳ: アルマナーク・エン=アシュラーム(王侯貴族名鑑より)抜粋
用語集
となっている。

小説本文を読まなくても、この附録と用語集を読んでから映画をみれば、随分と理解が違うと思う。

 

本を読んだ後ですら、附録、用語集をよんで、そうか!そいういうことか!!っていう気づきが。。というか、なんてマニアックな、、、、物語にはほとんど存在感がなかったようなことまで、背景を構想したうえでのものがたりだったのか!と分かる。

だいたい、、ベネ・ゲセリットだって、映画だけ見ていたらあやしい新興宗教か?!とおもうような、謎の集団。それが、遺伝的に世界を制覇しようとしていたとは、、、とか。

 

以下、ネタバレあり。

 

人々を率いる立場となって、フレメンと行動をともにし始めたジェシカとポール。ハルコンネン男爵からの圧政と戦うために立ち上がるフレメンたち。そして、、、本の中では、ポールとチェイニーとの間には、息子レト2世が生まれている。

 

また、(中)の中でも出てきたのは、元アトレイディス家の家臣であったスフィル ・ハワトは、そもそも、ハルコンネン家のアトレイディス家への襲撃は、ジェシカの裏切りによる、という思い込み。ジェシカが、実は、ハルコンネン男爵の娘であったということも、(中)の中で明かされている。つまり、ポールは、父親を殺した憎き敵であるハルコンネン男爵の孫なのだ。そして、本当は、ユエ医師の裏切りが原因。

 

途中、ポールたちフレメンと再会したガーニー・ハレックもまた、ハワトと同じようにジェシカの裏切りと勘違いしていたのだが、それは、誤解が説けて、フレメンらと一緒にポール率いるフレメン団に加わる。

そして、悪との戦いへと発展していく。

 

(下)では、最後の最後に、ハワトもまた、ジェシカの裏切りではなかったことをしり、、、ハルコンネンへの恨みを募らせたうえ、自害。。。

 

その戦いの間に、ジェシカは、ポールの妹アリアを生む。アリアは、胎児のときにジェシカが飲んだ「命の水」(砂蟲の排出液)を飲んだことも影響し、ジェシカがベネ・ゲセリットで学んできた、過去の歴史を全て記憶して生まれてしまう。その超人的記憶、幼児が経験したはずのないことまで口にし、大人でも口にしないような難しいことを話すアリアは、周りから畏怖の念でみられ、集団から浮いた存在となる。

ポールは、アラキスを護るためには、自分が皇帝として君臨すべきと考える。それは、ジェシカが正妻とならなかったのと同じような政略結婚への道。そして、ハルコンネン男爵の攻撃を防御して、皇帝すらもポールの意のままに動かそうとする。

ハルコンネン男爵の甥、フェイド=ラウサを決闘のうえ倒し(映画だとPART2で出てくる)、皇帝に、娘をアトレイディス家に嫁がせることを約束させる。(これも映画PART2)。

そして、チェイニーは、ジェシカと同じような立場におさまる。。。

で、、、なんと、物語はTHE END.

 

皇帝の娘こそ、イルーランで、(上)の中で、時々引用文献のようにでてきた語り部。そして、イルーランもまた、ベネ・ゲセリットなのだ。。。深い!実は、ベネ・ゲセリットの物語でもあったのだ。

 

戦いの途中で、レト2世は、殺されてしまう。アリアは、ハルコンネン軍に拉致されるが、自ら毒針でハルコンネン男爵を殺す。

なんとまぁ。。。。

 

いったい、映画のPART3は、どういう構成になるんだろう?!?!と、気になる、気になる。。。。

最後は、嫁姑、チェイニーとジェシカが、ともに手を取り合って、めでたしめでたし、、、みたいな感じなのだ。

で、その後の附録が、面白い。

いやぁ、、、、なるほどねぇ。
こりゃ、本が面白い。

附録で説明されるネタバレが面白い。生態学SFという意味も、アラキスを水の惑星に何百年単位で変えていこうという計画があったという説明で、よくわかる。

唯の宇宙戦争ものではない面白さは、本を読んだほうがよくわかると思う。

原作はいいねぇ。
そのうえで、やっぱり、映画は映画で、あのスケール感は楽しい。
あぁ、面白かった!

原作よんで、よかった!