『ちいさな ちいさな ヤクのガーティ』  by ルー・フレイザー、ケイト・ヒンドリー

ちいさな ちいさな ヤクのガーティ
ルー・フレイザー 文
ケイト・ヒンドリー 絵
原泉 訳
岩崎書店
2022年12月31日 第1刷発行

 

世界をひらく60冊の絵本』(中川素子、平凡社新書)の 「第四章 家族の愛に包まれる」からの紹介本。図書館で借りて読んでみた。

 

『75億人のひみつをさがせ』と同じ、岩崎書店の絵本。

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でも、私は、こっちの方がずーーーっと好き!! 図書館で借りてからすぐ、時間つぶしに入ったカフェでよんだのだけれど、おもわず、じわぁぁぁぁっと涙が出てきてしまった。
ガーディ、良かったね!!良かったね!って・・・。
やはり、家族愛ものに涙腺が緩みがちな私・・・。

絵も可愛い。
これ、すきー!!っていう絵だった。アニメチックだけれど、こういう絵、好きだ!!よくよく見ると、細部にまで筆がいきとどいている感じ。それでいて、親近感がわいてくる身近な感じ。ヤクなんて、みたことないんだけどね。

 

本作は、作者ルー・フレイザーの絵本デビュー作らしい。イギリスのハンプシャー在住。絵のケイト・ヒンドリーは、 ファルマス 芸術大学で イラストレーションを学ぶ。印刷物のデザイナーやグリーティングカードのイラストの仕事をした後、絵本や児童文学の挿絵を専門で手掛けるようになる。 イギリスのブリストル 在住。

あぁ、、、この人のイラストのグリーティングカード、見てみたい。

 

お話は、至ってシンプル。
”ゆきがふりつもる たかい山で ヤクのむれが くらしていたよ。

ヤクって、 ウシみたいだけど 毛がふさふさした どうぶつでね。
おおきいのも ちいさいのも いたけれど、
ガーティは いちばん ちっちゃな ヤクだった。”

って、始まる。


そして、五頭の大きなヤクにかこまれて、その足元に小さなヤクが一頭。カラフルな毛糸の帽子みたいのをかぶっている。かわいい。

ガーティは、毛がふさふさしているのは、みんなと一緒だけど、とにかくチビだった。軽いから、雪に沈むこともなく、高い山もへっちゃら。
でも、ガーティは大きくなりたかった。

 

おかあさんは、
「 ちいさいことは わるいことじゃないわ
いろんな ヤクがいて いいの。
それに あなたも いつか おおきくなるんだから、
ちいさい いまを たっぷり たのしんでちょうだい」
と、優しく言う。

 

でも、やっぱり、ガーティは大きくなりたかった。
だから、作戦をたてた。
たくさん食べて、運動して、身体をきたえた。
本もたくさん読んで、あたまのなかみを おおきくしようともした。

 

でも、ちっとも、、、おおきくならない・・・。
メソメソ・・・。
しょっぱい涙が、雪の上にぽとぽと・・・。

 

そのとき!
「ガーティ おねがい! 急いで!」

山のてっぺんで、動けなくなってしまったこどもが!
大きなヤクは、雪に沈んで山のてっぺんまでこどもを助けに行くことができない。

「あのこを たすけにいけるのは、ガーティ あなただけ!
ちいさくて かるいし、山のぼりも 上手だもの!」

 

「わたしが? やくにたてるの?」

 

そして、こどもをたすけに、ゆきでおおわれたさかみちを、
とっとこ とっとこ ぐんぐん ぐんぐん
いっしょうけんめい のぼっていって、、、、
ガーティは、自分より小さなヤクがくぼみで震えているのを見つける。

 

「だいじょうぶ。 わたしに しっかり  つかまってね」

 

そして、ガーティは助けたヤクをせなかにのせて、雪道を一気にすべりおり、みんながまっているところへまっしぐら。

 

「ガーティ、やったね!」
みんな、大喜び。

そのよる、かあさんは、ガーティをだきしめて、ささやいた。

「あなたも いつか おおきくなるって、かあさんにもわかってる。
でも ちいさい いまだから できることもあるって、わかったでしょ?」

 

ガーティは月を見上げて微笑んだ。
「いまの おおきさが、 いまの わたしに ぴったりなんだわ。
 わたしは わたし」

THE END

 

山の頂きで、夜空をみあげて、微笑むガーティの姿でおしまい。

あぁ、、、なんて、いい話でしょう。
こういうの、大好き。

ちびはちびで、ちびコンプレックスがあるのよね。
わかるよ。ガーティ。
私も、ずっと、チビだった。


大人になって、態度がデカく?!?なって、あまりチビとおもわれなくなったけど、でも、やっぱり、実は、そんなに大きくない。

 

かつて、サラリーマン時代、まだ、個人情報うんぬんなどといわれない時代、会社の顔写真集があった。そして自己紹介に、将来生まれ変わったら何になりたい?という質問コーナーがあった。

「背の高い女の人」
と書いた。

でもね、今の大きさは今の大きさで、好きだけどね。
昭和生まれとしては、標準よりちょっとチビ。でも、着るものに困る程チビなわけではないし・・・。

でもね、子どものときは早く大きくなりたいって、おもっていたなぁ・・・。

 

でも、小さいから活躍できることもあるって、、、、いまならわかるんだけどね。

 

ガーティ、活躍できてよかったね!

ガーティが、一生懸命食べても、運動しても大きくなれなくて泣いちゃうところで、私も涙・・・。そして、活躍してこどものヤクを助けた姿に、涙・・・。

 

あぁ、、、いい絵本だった。

 

『世界をひらく60冊の絵本』では、コンプレックスを乗り越えたガーティもすごいけど、そういうチャンスをガーティにあたえたお母さんもすごい!って。
家族の愛だわぁ・・・。

 

絵本は、楽しい。