星から落ちた小さな人 コロボックル物語③
佐藤さとる
講談社
1985年11月13日 新版第1刷発行
2013年9月9日 第19刷発行
シリーズ②の続き、③。
こんどは、コロボックルが空を飛ぶ! 表紙には 忍者の格好のように 全身を覆う服をまとい、背中に羽根を背負ったコロボックル。その羽根は背中で滑車につながり、そこからのびた紐は、 ペダルのように足にかかっている。
これは! コロボックル、空を飛んだか!科学もどんどん発展していくコロボックルの国。
表紙の裏の袖には、
”「矢じるしの先っぽの国、コロボックル小国」は、 人間の世界からいろいろなことを 学んで、めざましくかわりはじめていた。
学校をつくり、 新聞を発行し、科学も学んだ。 ただ、 なるべく人間とかかわらないように、ひっそりとくらしていた。
だが、 新型飛行機の試験飛行の日、コロボックルの一人がついに人間に見つかってしまう。 コロボックルのことなど何も知らない少年に・・・・。”とある。
きゃぁ!コロボックルのピンチ!
表紙をめくると、カラーのイラストが1ページ。 鉛筆削りの 削りカス入れの中に、 1人閉じ込められたコロボックル。 そして外から心配そうに中を見つめる4人のコロボックル・・・。削りカス入れの入り口は、セロテープでとめられ、本体とケースが針金でぐるぐる巻きに・・・・。
ちなみに、この絵を見て今の子どもたちは鉛筆削りって、わかるのかな?!?!
「はじめに」によると、今回のお話は「ミツバチ事件」というコロボックルの歴史の一幕。
目次
第一章 空飛ぶ機械
第二章 この世にただひとりとなるべし
第三章 臨時マメイヌ隊員
第四章 あまがえる作戦
第五章 夕焼雲
あとがき
感想。
こりゃ大事件だ!コロボックルぴーんち!
コロボックルのひとりが、人間の少年につかまってしまう。
でも、せいたかさんとママ先生の娘、おチャメさんの助けもあって、無事に少年のもとから、コロボックルの国にもどったコロボックルのお話。おチャメさんは、まだコロボックルのことは両親から聞かされていない。でも、ずっとそばで生活していたから、ちゃんとわかっていたんだね。耳元でささやくコロボックルの声もちゃんと聞こえていたみたい。
めでたし、めでたし、のおはなし。
小型飛行機の試験飛行中の「ミツバチ坊や」と呼ばれる テストパイロットコロボックルと、そのテストの様子を観察していたヘリコプターのような機械に乗っていたサクランボ技師ことサクラノヒコ。サクランボが、「もず」に狙われてピンチとなったところを、ミツバチ坊やがもずに体当たりして救う。でも、二人とも落下。サクランボ坊やも、ミツバチも、駅前のにぎやかな大通りに放り出されてしまった。
サクランボは、こわれたヘリコプターから降りると、急いで、ミツバチ坊やが落ちたと思われる方に走ってさがしてみるけれど、見つからない。小山に帰ったかもしれないと思い直して、ひんまがったヘリコプターのつばさをグイッと直して、小山に帰った。でも、ミツバチ坊やは小山には帰っていなかった。
ミツバチ坊やは、気を失っていたところを 新聞配達の少年につかまってしまったのだ。 少年は、エク坊にお願いして新聞配達を手伝わせてもらっているミナト電気商店の息子だった。エク坊より年下の小学生。
どうやら、人間につかまってしまったらしいことを悟ったミツバチ坊。ここは、コロボックルの掟で、「この世にただひとりとなるべし」を守る。つまり、何があっても仲間のことを他言しないということ。
少年の部屋の鉛筆削りの中に閉じ込められたコロボックル。少年は大発見をしたとおおはしゃぎ!でも、だれにも内緒。だって、自分だけの秘密をいつか発表して大金を稼ぎたい。
コロボックルの国では、ミツバチ坊やの捜索隊が出動。 試験飛行していた あたりに行ってみるけれど、 ミツバチ 坊やの姿は見つからない。 ひょっとすると 鳥に食べられてしまったか、 ネズミに食べられてしまったか、、、 もう死んでしまっているかもしれない。捜索にでたマメイヌ隊は、ミツバチ坊やの姿を発見することはできなかった。
そんなマメイヌ隊に自分たちも加わりたいと思っていたのが双子の サザンカノヒコ。サザンとザンカだった。サクランボの妹サクラノヒメ(オハナ)と共に、まだ子どもの3人は本来なら小山の外へ出ることは許されない。でも、ミツバチ坊やを心配する心は兄たちと一緒。サザンとザンカは勝手に小山を抜け出し、どうやら、ミツバチ坊やが人間の子どもにつかまっているらしいことを察する。オハナを通じて、チビ三人がマメイヌ隊の助手として活躍できるようになる。そして、とうとう、少年の家にいるミツバチ坊やを発見。
でも、鉛筆削りに閉じ込められたミツバチ坊やを簡単に救出することはできない。しかも、少年は、どうやらエク坊に捕まえた宇宙からの新種生物(少年は、コロボックルを宇宙からやってきた小人だと信じている)を見せびらかすつもりみたい。ほかの人間にも見られたら、大変。
オハナは、鉛筆図削り器の穴から「アマガエルの皮」を投げ込む。「もしも、他の人間がやってきたら、これを着てアマガエルのふりをして」
アマガエル作戦は大成功。少年がエク坊が家につれてきて、捕まえた新種生物をみせようとしたら、そこにいたのはアマガエルだったのだ。あれ?おかしいな?でも、少年はエク坊に言い訳はしなかった。そして、エク坊が帰るとアマガエルはまたコロボックル、新種生物に戻っていた。
少年は、お金儲けのために見世物にしようとか思ったのがいけなかったのかな、とか、色々考える。でも、大事な自分の宝物だからと、ますます頑丈に蓋をした缶のなかに鉛筆削りごとミツバチ坊やを保管する。コロボックルたちの、ミツバチ坊や救出大作戦が決行される。
せいたかさんも、何食わぬ顔でミナト電気商店へいって、少年と会話を試みる。おチャメさんは、なんと、少年と同じ小学校だった。そして、おチャ公とよばれている少年に言う。
「あんた、なにかつかまえて、うちにかくしているでしょ。」
驚くおチャ公。
「にがしてやってちょうだいよ。とてもこまってるんだって。」
おチャメさんは、コロボックルの代弁者になっていた。誰に教えられたわけでもないに!
そして、結局、おチャ公はコロボックルをおチャメさんに渡す約束をして、ちゃんと、コロボックルを手放した。でも「ときには、僕のところに遊びに来てほしい」って、伝えてほしいと頼む。コロボックルの世話役が答えられずにいるおチャメさんの耳元でささやいた。「ひきうけなさい」。
「いいとも、約束するよ」
おチャメさんは、コロボックルの姿をしっかりと目にした。
少年とふたり、並んで夕焼け雲の照り返しをいっぱいにあびていた。
おしまい。
無事にコロボックルの国に帰れてよかったね。
どうやら、コロボックルの味方になってくれる人間が、一気に、おチャ公とおチャメさんと2人増えたみたいだし。
コロボックル小国がながく幸せでありますように!
