小さな国のつづきの話 コロボックル物語⑤
佐藤さとる
講談社
1983年9月20日 第1刷発行
2015年3月3日 第24刷発行
コロボックル物語、最終章。これで5冊のシリーズおしまい。
表紙は、6人ものコロボックルが描かれている。
表紙の裏には、
” 図書館に勤めている 杉岡正子(すぎおかまさこ)がコロボックルの娘ツクシンボとトモダチになった。
ツクシンボは、コロボックル通信社の優秀な通信員で世界中をまわって旅行記を書きたいと思っている 元気な女の子。正子も、説明しにくいのだけれど、 どこか変わっている「ヘンな子」。 とてもおもしろい組み合わせだった・・・・。
二人の登場で、コロボックルの世界はさらに広がっていく。 コロボックル物語も、この巻でついに完結!” とある。
もくじ
第一章 小さな神さま
第二章 わたしはコロボックル
第三章 みんなのトモダチ
第四章 めぐりあい
第五章 思いがけないこと
あとがき
感想。
あぁ、、、とうとう、おわってしまった。
でも、最後、コロボックルは、他の小さな人たちと出会うのだ。すみれ色の髪をもつ、チィサコ族と知り合い、交流を広げていく。
著者とせいたかさんとの秘密も明かされる。著者とせいたかさんは同一人物ではない。それ以上のことはやっぱり、内緒。
第5巻ででてくるのは、大人になったおチャメさん。第1巻では、まだ生まれてもいない。第2巻で、せいたかさんとママ先生が結婚してうまれたのが、おチャメさん。おチャメさんの弟のムックリくんが通う図書館で働いているのが、「杉岡正子」で、正子は、おチャメさん(大人になって、今はおチャムさんと呼ばれている)の中学校からの同級生だったのだ。
正子は、子どものころからぼんやりしてるところのある、ちょっと変わった子で、おチャムさんやムックリくんが子どものときからコロボックルを見慣れているように、正子も小さな人をみてもおどろかないところがあった。そして、ツクシンボにトモダチに選ばれる。
最終巻となる第5巻では、コロボックルのトモダチとなった人たちが、お互いに通じ合い、お互いにコロボックルのトモダチである秘密を共有する世界が広がっていく。
これまでに出てきた懐かしい登場人物たちが大きくなっていて、大きな時間の流れを感じる。
コロボックル物語③ででてきた、ミナト電気商店の息子・おチャ公は、空からおちてきたコロボックル・ミツバチ坊を鉛筆削りの中に閉じ込めた少年。
そのおチャ公は、大学4年生になっていて、サクランボを助けることに協力したおチャメさんとは、今でもお友達のイサオ。鉄道模型のお店でアルバイトをしているイサオは、鉄道ファンのムックリくんともおともだち。
そして、おチャムさん、ムックリくんを通じて、杉岡正子は、イサオとも友だちになる。ううん、ちがった、恋人同士になる。コロボックルのトモダチ同士の友だち。
ケーブルカーにのって旅の冒険をしていたツクシンボ(正子のトモダチ)は、偶然にもコロボックルとは見かけの異なる小さい人にであう。そして、コロボックルの世界も、友だちの和が広がっていく。
そして、ツトムと正子は、後に結婚することになった、というはなしが著者から明かされる。
「コロボックル物語のほうは、これでおしまいだが、コロボックル小国はこれからも末永く栄えていくちがいない。。。」って。
この、著者の語りと、せいたかさんの存在と、、、本当に、コロボックル小国がどこかにあるのだろう、、、という気がしてくる。
このシリーズは、小学生の頃、子ども会の回覧本として読んだような気がする。あるいは、学校の図書室の本だったか・・・。子どものときに読んだ内容の記憶は、まったくなくなっていたけれど、読んでいてどこかに懐かしさを感じる。懐かしい。初版が昭和だからかな?舞台も、昭和っぽい。図書館での正子の仕事の描写なんて、図書カードとか、児童書コーナーの様子とか、なんとも、昭和。小学生の頃、図書館というのは、バスに乗らないといけない場所にあって、ちょっとしたお出かけだった。近所には図書館の出張バスみたいのがくることがあったと記憶している。
図書館のにおいが、懐かしい。
今も図書館愛用者の私だけれど、図書館も大きく変わった。本の検索はWebでできちゃうし、予約だって簡単にできちゃう。でも、図書館にしても、本屋さんにしても、やはり思いがけない本に出合える場所で、無くなってほしくないなぁ、と思う。
なんとなく、読書の原点を思い出したような、懐かしいシリーズ。
読んでみてよかった。
はじまりは、『よむよむかたる』だった。
本にもつながりがあるのが、楽しいね。
コロボックル物語は、それぞれが独立したお話ではあるけれど、登場人物が成長していくので、それを楽しむという読み方も面白い。楽しいお話なので、あっという間に読めるし。
久しぶりに、シリーズものの小説を読んだ気がする。
そして、ファンタジーの世界だけれど、シンプルで、読みやすい。頭の休憩になるって感じかな。
やっぱり、読書は楽しいね。