「Humankind 希望の歴史 上」 by ルトガー・ブレグマン 

「Humankind 希望の歴史 上」  A Hopeful History
人類が善き未来をつくるための18章
ルトガー・ブレグマン 著
野中香方子 訳

2021年7月30日 第一刷発行  (原書 2020)
文藝春秋

 

上下巻のうちの上を読み終わった。
いい!
いいよ!
好きだ!


すぐに、下巻が読みたい。

でも、図書館で予約して借りた本。まだ、下巻の順番はまわってこない。
買ってもいいかな、、と思っている。
上下を読んだところで、Megurecaに書こうかと思ったけれど、興奮するほど良かったので、取り合えず、上巻しか読んでいないけど、書いておく。

 

2020年、本国オランダでは発売してすぐに25万部突破、世界46カ国ベストセラーとなったという本。上巻は、ユヴァル・ノア・ハラリの推薦の言葉。下巻は、斎藤幸平さんの推薦の言葉。
先週末、人生の大先輩、尊敬する知り合いの本のプロが、これはいい、と言っていた。
やっぱり、買おうかなとおもっていたところに、上巻の予約の順番がまわってきたので、とりあえず、図書館の本で読んだ。


著者のルトガー・ブレグマンは1988年生まれ。33歳か、若い!
オランダ出身の歴史家、ジャーナリスト。ユトレヒト大学(オランダの公立大学)、カリフォルニア大学ロサンゼルス校 (UCLA) で歴史学を専攻。広告収入に一切頼らない先駆的なジャーナリズムプラットフォーム(デ・コレスポンデント)の創設メンバー。文藝春秋からの図書には「奴隷なき道  AI との競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働」というものもある。

翻訳をされたのは、野中香方子さん。ルトガー・ブレグマンの「奴隷なき道」も翻訳しているらしい。 


本のメッセージは、「人間の本質は善である」ということ。


ユヴァル・ノア・ハラリの「サピエンス全史」はどちらかと言うと人間が善であるということに対しては否定的だ。そのハラリが「私の人間観を一新してくれた本」として本書を推薦している。

 

ルトガー・ブレグマンは、広告収入に頼らないジャーナリストプラットフォームを作った、ということからもわかるように、自分自身で見て聞いて納得したことを書いている人なのだと思う。


これまでに報告されてきた、人間の基本は悪であるといったような主張に対し、果たしてそうなのだろうかと思った疑問を、自分で徹底的に調べて解明していく。
数々の心理学の本、教科書に書かれているようなことを、事実をもう1度調べなおし、彼が導いた結論は「 人間の本質は善である」ということ。


本のタイトルにあるように、 希望の本だ。


歴史上の出来事の調べなおし、まだ証言者が生きているならば会いに行って直接調べる、そうしていくうちにあきらかになってくる、これまでの報告の恣意的な偏り。


一般的にも言われることだがメディアの報道というのは基本的には悪いこと、トラブルの報道、人が嫌悪するような内容ががほとんど。人間の良い行いはわざわざ報道されることは少ない。大抵は、殺人事件であったり、詐欺事件であったり、戦争であったり、、、、。
でも、そこには、「人間はこんなに卑劣なんだ」と主張したい思惑に都合のいい証拠だけをならべていないだろうか?と、そこに疑問をもって、再調査をしているところがすごい。


彼が、本のなかで次々に明かしていく、これまでの報道や研究報告の恣意的な偏り。


ギュスター・ルボンの「群集心理」は、群集は危機に対して本性を表し、パニックと暴動になる。その主張を熟読し、利用しようとした、ヒトラームッソリーニスターリンチャーチルルーズベルト、、、、。でも、実際のロンドン大空襲の時に起きたのは、空襲があろうと、人は自分の生活を粛々とつづけていて、暴動なんて起きていなかったという事実。

 

2005年、ハリケーンカトリーナに襲われたニューオリンズ。避難所付近は略奪・強姦・殺人が横行したと報道されたが、実際にはそんなことは起きていなかった。

 

第二次世界大戦の戦場で、多くの戦士は、手に持った銃の引き金を引かなかった。打ったとしても人に向けてではなく、空に向けてだった。


フィリップ・ジンバルドの「スタンフォードの監獄実験」。ミルグラムの「電気ショック実験」。心理学関係の本には、必ずと言っていいほどでてくる実験だが、どちらも、実験主催者の主張とことなる証言が、実験された人たちからでてきた。

 

ほかに、たくさん、これまでに言われていたことの言質をとると、主張したい人に都合よく解釈されたことが報告されていただけ。

 

トマス・ホッブス(英国 1588-1679)の性悪説。「万人の万人に対する闘争」
ジャン・ジャック・ルソー(フランス 1712-1778)の「文明は人を破壊する」という説。
どちらにも、疑問を投げかける。


私たちは、本質的に善人である。
そこから始まる、物事のみたて、認識、のほうが希望の未来が見えてくる。

実際には、いじめがあったり、戦争があったりするのだけれど、
トマス・アクィナスの言葉をかりれば、すべては、その人の「善」から起こるのだ。

megureca.hatenablog.com

 

私たちは、本質的に善人である。
胸をはって、そう言える説があるというのは、なんて、希望の未来なんだ、と思う。


自分自身にも、「善」があるのだと信じられるって、なんて気持ちが明るくなれるんだ。

読んだだけで、ちょっと元気なれる。

やっぱり、明るい本はいい。

 

はやく、下巻が読みたい。