「聡乃学習(サトスナワチワザヲナラウ)」  by  小林聡美

「聡乃学習(サトスナワチワザヲナラウ)」

小林聡美

2019年11月25日 第一刷発行

幻冬舎

 

ちょっと、のんびりした気分になりたくて、図書館で随筆・エッセイのコーナーを物色。明るい色合いの背表紙に惹かれ、小林聡美の一冊を手にしてみた。

 

小林聡美さん、1965年、東京生まれ。女優。

著書もいくつかある。

でもやはり、あの独特の空気感の女優としての小林聡美さんが大好きだ。

私の中では、『かもめ食堂』が秀逸!大好きだ。何度見たかわからないくらい、何度も見返した映画。

最初に、小林さんを好きになったのは、フジテレビのドラマ、「やっぱり猫が好き」。バブル経済の真っ只中、ちょっと変わった三姉妹の日常生活のコメディ。このときから、もたいまさこさんと小林さんのコンビは、最高だった。加えて、室井滋がいたのが「やっぱり猫が好き」。

かもめ食堂も、小林聡美もたいまさこさん。そこに、片桐はいりさんの強烈なキャラ。好きだなぁ。

 

で、だいぶ脱線したけれど、「聡乃学習」、ほのぼのと、のんびりと読めた。

息抜きの一冊って感じ。

どうってことのない、日常のエッセイだ。

50歳を過ぎて、すこしずつ、身体にガタが来るのを感じつつ、若者と交わり、自分の身体と向き合い、新たな挑戦を続ける小林さん。かわいらしい感じ。

すごい、美人さん、という感じではないけれど(失礼!)いい感じのナチュラル感というか、良い人ぶらない感じが好きだ。

 

「生易しい田舎暮らし」というタイトルのエッセイの中で、自然に向き合って暮らす人への尊敬の気持ちが記されている。

フィンランドの画家であり、作家であるトーべ・ヤンソンムーミンの作家だ。彼女は、ヘルシンキの東、クルーヴハル島というところで、毎年夏を家族や友人と暮らしていたらしい。そこは、水道も電気もない、、、そんな場所だったらしい。フィンランドなら、美しい自然の森がやまほどあるに、なぜか、小さな島を選んだ。12畳ほどの小屋。海は穏やかな日もあれば、荒れ狂う日もある。どんなことを考えて過ごしたのだろう、、、と思いをはせる。

「ノンちゃん雲に乗る」の作者である石井桃子さんも、1945年に東京を離れて、宮城県にうつり、開拓して農業や酪農を始めたらしい。自給自足の生活。

この二人の女性は、自然と真剣勝負をしたという事が共通。そして、二人とも児童文学の世界で活躍し、かつ、生涯独身だったそうだ。

男性の手助けに頼らず、自然のなかで暮らしていく。精一杯、のびのびと生きていた二人。毎日が真剣勝負で、愉快で豪快で優しい。そんな二人を本当にすごい、とたたえる小林さん。

うん、私もそう思う。

 

児童文学と生涯独身の女性というと、不思議の国のアリスルイス・キャロルもそうだ。なにか、共通するものがあるのだろうか。。。

megureca.hatenablog.com

 

 

 

「五十を過ぎたら順不同」というタイトル。

五十を過ぎたら、先輩も後輩もないから、先輩を気にせず大いにやりたまえ!、という事かと思ったら、「五十を過ぎたら、倒れる順番は関係ない。用心用心。」ということだった、というエッセイ。

 

若いころ、20代のころは50代の人は、超年寄り、、、に見えたものだ。

エッセイの中にに、50歳で召された人たちの名前が並ぶ。

スティーブ・マックイーン、マイケルジャクソン、グレース・ケリー

美空ひばり石原裕次郎三波伸介は、52歳。

おやまぁ、、、私より若いのか。。。

これは、結構衝撃だ。。。。

 

美空ひばりなんて、当時の私にとってはおばちゃんの代名詞だったのに、、、今の私と変わらない・・・。

 

たしかに、40過ぎたら、心筋梗塞も、脳梗塞も、いつ起きてもおかしくない、、、、。

気を付けないとね。。。。

健康第一だ。

 

小林聡美さんは、今は独身だが、かつては三谷幸喜と結婚されていた。1995年の結婚当時、「みんなが遊びに来るような明るい家庭には、あこがれません。二人だけの世界を楽しむ家庭をつくりたいです。」みたいなことをおっしゃっていて、最高!とおもった。

 

いまは、猫との暮らし。

それもいいなぁ、と思う。

 

独身になっても、やはり、小林さんは小林さんの魅力だ。べつに、配偶者がいるかどうかで魅力が変わるような人ではないという事なのだと思う。

 

一人の人として、自立して生きている感じが好きだ。

しかも、ガツガツした感じがしない。

かもめ食堂』を地でいっているかんじ。

『パンとスープとネコ日和』も、そのまんまな感じ。

 

で、「学習」というのがタイトルなのがまたいい。

ガツガツしないけど、なにかに挑戦し続けている人の代表のような感じ。

いいなぁ。

私も、のんびりと、頑張ろうと思う。

 

それにしても、米原万里さん、佐藤優さん、養老孟子さん、、、なぜ、文筆家、女優、、、みんな猫がこんなに好きなのだろう。

私も、好きだけど、飼ったことはない。

動物は、死んじゃったらいやだし。

 

還暦すぎたら、飼ってみようかな、、、。

いや、人生100年で、自分より長生きしてくれることを望むのなら、飼うのは80歳を過ぎてからだな、、、。

犬は散歩が必要だけど、猫なら、80歳でも飼えるかな、、、。

なんて、思ったりして。

 

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