「竹中式マトリクス勉強法」by 竹中平蔵

竹中式マトリクス勉強法
竹中平蔵
幻冬舎
2008年10月10日 第一刷発行

 

佐藤優さんの「人に強くなる極意」で出てきたおすすめの本。図書館で借りて読んでみた。

megureca.hatenablog.com


なるほど、これは、面白い!
2008年の本だけれども、2021年の今でも十分通用すると思う。

 

竹中さんは、1951年生まれ。一橋大学経済学部卒。日本開発銀行、大蔵省財政金融研究所主任研究官、大阪大学経済学部助教授、ハーバード大学客員准教授、慶應義塾大学総合政策学部教授などを経て2001年小泉内閣で経済財政政策担当大臣。2002年に金融担当大臣。2004年には郵政民営化担当大臣を兼務。2005年総務大臣。2004年には参議院議員当選。2006年小泉改革の終焉と共に辞職。その後も各方面で活躍されている。アカデミーヒルズの理事長でもある。

アカデミーヒルズのお薦め本は、私自身、手に取ることが多い。

 

竹中さんの言うマトリクスは、

横軸に、
「人生を戦うための武器としての勉強」
人間力を鍛えるための人と人を結ぶ勉強」
縦軸に、
「天井がある勉強」
「天井がない勉強」
四象限。

 

具体的な四象限のA~Dは、以下のような感じ。

A:記憶勉強
「人生を戦うための武器としての勉強」×「天井がある勉強」
資格試験、TOEIC、入学試験など

B:仕事勉強
「人生を戦うための武器としての勉強」×「天井がない勉強」
経済学、金融工学、英会話など

C:趣味勉強
人間力を鍛えるための人と人を結ぶ勉強」×「天井がある勉強」
茶道、武道の資格、ダイビングのライセンスなど

D:人生勉強
人間力を鍛えるための人と人を結ぶ勉強」×「天井がない勉強」
教養や人間力を高める勉強、古典、音楽など

これらをそれぞれまんべんなく勉強する。
勉強は、無限に広がっていく。

 

なるほど!マトリクスとはそういうことだったのか!
そんな風に考えたことは無かった。

人生も勉強も色々だから、自分が優先すべき勉強は何なのかを知ることが大事だという。なるほど!

そして、自分が優先すべき勉強を見極めるためには、これまでの自分の勉強をこのマトリクスにはめてみるといいという。
たしかに、分かりやすいかもしれない。
今、自分に何が足りていないのか、自分が優先すべきことは何なのか。

 

志があって、ビジョンがあり、その先に短期の目標があるはず、と。
わかりやすいなぁ、と思った。

 

私自身について振り返ってみると、脱サラをした私にとって、思いがけない目標になったのは、英日日英通訳になること、だった。

英語の勉強は、仕事で必要だったこともあり、なんとなく20年以上は続けていると思う。勉強とも思わずに、なんとなくやっていた。
それが、出会った英語の先生が同時通訳のプロフェッショナルで、そいういう世界があることを知った。でも、まさか、自分で通訳を目指そうとはまったく思っていなかったのだが、ちょっと先生の会議通訳の仕事を拝見(拝聴)したときに、人と人のコミュニケーションを仲介できるというのは、すごいことなのだと感じた。そして、そのフィールドの広さにも。ビジネス、サイエンス、政治、様々な場面で通訳というものが活躍している。もちろん、今どきはAI翻訳もあるのだけれど、言葉のニュアンスというのは、自動翻訳では表現しきれないものがある。発話の強弱も、AIにはできない。
そして、通訳を必要としている人の役に立てるって、いいかも、と思ったのだ。


そうすると、人々のコミュニケーションをサポートして価値創出ビジネスの前進をサポートする、という志が生まれ、信頼してもらえる通訳になるというビジョンができて、英語を勉強する、その成果を図るためにTOEICで960点以上をとる、という目標ができた。

 

だから、今の私にとって、英語を勉強するということは、一つの目標として優先してよいことなのだ、と自分で納得した。
なかなか上がらないTOEICの点数も、それだけが目標ではないので、それはそれ、進捗を測るために受け続ける。960点が取れたら、本格的な通訳の勉強ができる、と先生に言われている。ただTOEICで満点をとれたからと言って、通訳ができるわけではない。
それは、よくわかる。TOEICの点数と通訳は全く別の課題がある。ちょっと、いやいや受けていたTOEICだったのだけれど、マトリクスで考えると受ける意味が腹落ちした。


本書には、武中式の極意が、いくつか紹介されている。

勉強法9つの極意
1.常に目標を持て
2.逆算して計画せよ
3.何事も基本がすべて
4.良きライバルを持て
5.メモを持ち歩け
6.時間は作るもの
7.人と群れるな
8.自分のために金を使え
9.良く寝よ


記憶勉強法5つの極意
1.暗記と基礎を繰り返せ
2.早く始めよ
3.資格試験を使え
4.日本は楽だと思え
5.自分でノートにまとめよ

 

英語勉強法7つの極意
1.暗唱せよ
2.辞書を引け
3.真似よ
4.進んで試練を受けよ
5.一番前の席で聞いて一番最初に話せ
6.子供に学べ
7.聞き返して質問しまくれ

どれも、納得の言葉である。

そして、
「バカは何人寄ってもバカである」と、日本開発銀行の先輩、佐貫利雄さんのことばを引用されている。
三人寄れは文殊の知恵、とはいうものの、もしもこの三人が無能だったら??文殊の知恵など到底期待できない。と。

だれとでも仲良くする必要はない。
ある程度の年齢になったら、自分の時間を大切にせよ。
そのためには、ためにならないような人と一緒にいる必要はない。
と。

なかなか、面白い本だった。

若者に向けての、激励?!の言葉もたくさんでてくる。
それでも、大人にとっても、とても参考になる本だと思う。

なかなか、良書。

 

一生勉強。

歳をとると、「人生を戦うための武器としての勉強」が減って、「人間力を鍛えるための人と人を結ぶ勉強」増える余裕ができるように思う。

だから、大人の学びは楽しいのだ。

大人の学びは、贅沢な遊びだ。

 

 

やっぱり、読書は楽しい。

 

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