コミック版 日本の歴史65 幕末・維新人物伝 木戸孝允
水谷俊樹 原作
中島健志 作画
ポプラ社
2018年8月 第一刷
小学館の『学習まんが人物館 木戸孝允』に続いて、ポプラ社のこちらも。同じ人物を描いていても、微妙にニュアンスの違いがあったりするのが面白い。本書も、一時間もかからずにあっという間に読める。これは、楽しい。
本書での木戸孝允(桂小五郎)の説明は、
”長州藩士。 吉田松陰と交流し、その思想に影響を受け日本を一つにしようと考える。藩の中心人物となり、やがて坂本龍馬の仲介で西郷隆盛率いる薩摩藩と薩長同盟を結び、協力して倒幕を成し遂げる。明治新政府でも廃藩置県などに活躍。”
とある。
幕末の勉強に、再度覚書。
・桂小五郎が生まれた(1833年)ころの出来事。
1833年(天保4年) 天保の大飢饉が始まる。
深刻なコメ不足から「大塩平八郎の乱」が勃発。
海外では、清国がイギリスにアヘン戦争で敗戦。不平等条約を結ばされる。
・桂小五郎が、江戸の神道無念流の練兵館にいった(1852年)ころの出来事。
1853年 ペリー来航(浦賀沖)
佐久間象山と吉田松陰は、黒船の大砲(ペクサン砲)をみて、敵を知るべき!と考える。
小五郎は、品川沖の台場建設現場で江川太郎左衛門の従者となって学ぶ。
・ペリー来航への日本の対応
老中首座・安部正弘は大名・幕臣・庶民に至るまで広く意見を求めた。小五郎は、最初のペリー来航の際に大森警備について、幕府は長州藩に詳細は明かさないなど日本は一つにまとまっていないことを感じていたので、地理に詳しい農民も兵士にとりたててはどうか、と提案するが、年貢をさげるなどの財政手当のめどがつかず、却下される。
・幽閉生活中の吉田松陰
松下村塾を開く。
高杉晋作(20歳)、久坂玄瑞(19歳)、伊藤俊輔(博文 18歳)に、尊王攘夷を説く。
のちに、高杉晋作は、幕府使節随行員として上海に渡航して清国の惨状をまのあたりにし、攘夷を目指す。長州藩で奇兵隊を組織。
久坂玄瑞は、「禁門の変」で自刃する。
・吉田松陰のテロリズム
松陰は、長州藩をあげての、間部詮勝(安政の大獄を指揮している井伊の腹)暗殺を企てる。小次郎、高杉、久坂は無謀だと反対。松陰は、江戸の伝馬町牢屋式で処刑される。小五郎と伊藤は遺体を引き取り、小塚原回向院に埋葬。
・長州藩と水戸藩の密約
桜田門外の変で井伊直弼が水戸藩と薩摩藩浪士に暗殺され、幕府はボロボロ。小五郎は、諸藩が団結して国難にとりくむべしとして、水戸が幕政の障害を取り除き、長州がその後の改革を引き受ける、という「丙辰丸の盟約」を結ぶ。しかし、その後も各藩バラバラの動きが続く。
・京都の乱れ
政治の舞台は、天皇のいる京都へ。幕府の要人、佐幕派の人々が「天誅」の名のもとに次々と犠牲になっていた。
・1862年 生麦事件。 薩摩藩の藩士が、薩摩藩主・島津久光らの大名行列を馬に乗ったまま横切ったイギリス人を殺害した。それをしった長州藩は、我々も攘夷だ!と盛り上がる。高杉晋作と久坂玄瑞らが江戸品川のイギリス公使館を焼き討ちに。小五郎は、行き過ぎた攘夷運動に難をとなえる。
・急進的攘夷運動を是としない小五郎は、福井藩政治顧問・横井小楠に今後の日本の在り方について相談する。小楠は、今は国が一つになるべきだ、と。
・小五郎は、諸藩の取りまとめに奔走する。尊攘派公卿・三条実美とも提携。1863年幕府が攘夷実行を受け入れる。しかし、攘夷実行の期限に攘夷を実行したのは長州藩だけで、幕府も他藩も同調せず、、、。日本はバラバラ。
・孝明天皇は攘夷はしたいけれど自分で動く気はない。かつ、長州のような急進派の攘夷派を疎ましく思い始める。そして、8月18日の変で長州は京から追放された。小五郎は、長州追放の幕府中心人物は、一橋慶喜にちがいない、と思う。長州藩は京都における発言力奪回に執念をもやす。幕府はこれを警戒して、京都守護職(会津藩主・松平容保)の下に「新選組」を組織。
・長州vs慶喜の戦い勃発。禁門(蛤御門)の変。久坂玄瑞、無念の戦死。長州藩は、朝敵とされる。
・桂小五郎が長州にもどり、伊藤俊輔と共に長州藩を朝敵から日本の舵取りへと変化させる。長州藩の軍制改革は、大村益次郎にまかされる。そして、坂本龍馬の仲介による薩長同盟へ。
・1967年11月15日 坂本龍馬、京都の近江屋で暗殺される。
・1967年12月9日 朝廷が王政復古の大号令。新政府樹立。孝允は朝廷に登用される。
・1968年3月14日 明治天皇による、五箇上の御誓文の発布。
・1969年 版籍奉還。薩摩、長州、土佐、肥前佐賀の4藩主が連署して版籍奉還の上奏。
・新政府の急進的改革に不満をもった士族による反乱が勃発。横井小楠や大村益次郎も兇刃にたおれた。
・1871年木戸孝允は岩倉使節団として横浜港を出発。アメリカ、ヨーロッパを視察した後1973年ドイツ帝国宰相ビスマルクと会見。
・帰国した木戸や大久保は、西郷らの朝鮮出兵派と対立。西郷らが新政府からぬけていく。その後も、不平士族の反乱が乱発。西南戦争のさなか、木戸は病に倒れる。
同じ木戸孝允の物語だけれど、周辺の登場人物がすこしちがっていて、違う視点からも歴史を見ることができた気がする。情報ソースは、複数あったほうがいい。多分、他社の歴史漫画本を読むと、また違う出来事がクローズアップされているのかもしれない。
本だと、たとえ文庫本でも1時間以上はかかるけれど、マンガだと読むのが速い分、複数の本を一気に読めて比較しやすいからいいかも。もっと児童書、マンガ本を活用しよう!ただし、情報の真偽は、普通の本と同様に自分で判断すべし、、、かな。
う~ん。幕末、深いなぁ・・・。受験対策と関係なく、どんどん読みたくなる・・・。
好奇心は、どんどん満たしていこう。
読書は楽しい。