『こねこのトムのおはなし』 by ビアトリクス・ポター 

こねこのトムのおはなし
ビアトリクス・ポター さく・え
いしいももこ やく
福音館書店
1971年11月1日 発行
1988年4月1日 新版発行
ピーターラビットの絵本ー4

 

石井桃子さん翻訳のピーターラビットシリーズ、4。4では、うさぎはでてこない。主人公はねこになっている。シリーズ1~3が第一集で、4~6が第二集。ガラッと変わる感じかな。一応、3の続きではあるけれど。ピーターラビットの絵本というタイトルはそのままだけれど、登場人物(動物)が変わる。

 

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”あるところに、3ぴきのこねこがいました。”
とはじまる。

 

名前は、ミトン、トム、モペット。お母さんの名前は、タビタ・トウィチット

 

ある日、おうちにおかあさんのお友達がくることになったので、おかあさんはこどもたちをあらって、毛にブラシをかけて、しっぽとひげをくしでとかしてやる。

 

”でも、トムはたいへんいうことをきかないこで、その間におかあさんをひっかきました。”

 

娘のモペットとミトンは、ひらひらの襟をつけたよそゆきの服をきせられる。
トムもタンスからだした綺麗な服をきせられたけれど、トムはたいへんふとっているうえに、だいぶ大きくなって、パンパン。服のボタンがはじけとんでしまう。ぼたんをつけなおしたおかあさん。トムはぱつんぱつんのまま服をきる。

 

友だちを迎える準備に忙しいおかあさんは、3ぴきを「外であそんでらっしゃい」と外においだす。きたないところいって、汚さないようにと注意して。
ついでに、
「めんどりのサリーさんや、ぶたごやや、アヒルのパドルダックさんたちのそばには、いくんじゃないの!」と。

ところが、外にでたとたん、こねこたちは、好き放題。ひらひら襟はとれちゃうし、トムのボタンはとれちゃうし。3ぴきとも、たいへんこまってしまう。
すると、近くをアヒルのパドルダックさん家族がぴた、

ぱた、ぱたり、ぱた、ぴた、ぱた、よたり、ぱた!と歩いていきた。

 

めすのレベッカトジマイマがトムの落としたぼうしとモペットの落とした襟をひろってあたまにかぶっている。その姿がおかしくて、3ぴきは笑いころげる。
モペットもミトンもトムも、激しく笑ってうごいたものだから、きていたものは全部ぬげちゃう。さぁたいへん。

 

こねこたちは、ドレーク・パドルダックさんに、トムが洋服を着るのをてつだってもらおうとするけれど、ドレークさんはそれを自分で着てしまう。でも、ぜんぜん似合わない。
そして、あひるの家族は、それぞれにこねこの服をきたまま行ってしまう。

 

そのすがたを見送るなにもきていない3ぴき。そこにタビタおかあさんがやってくる。

「もうすぐ、おかあさんのお友達がいらっしゃるのです。こんなかっこうではみっともなくて、お客様の前にはだせません。おかあさんは、恥ずかしく思います」といって、こどもたちをパンとはたいて、家に連れて帰った。

 

悪いことをした子どもは、2階に追い上げられ、お客様には、「こどもははしかでねています」という。うそをつくおかあさん・・・・。

ところが、こどもたちが2階でおとなしく寝ている訳もなく、、、、お茶会のせきには、2階からのものすごい音が・・・。

 

”いつかきっと わたしは、 またべつのほんをかいて、こねこのトムのおはなしを あなたがたに することに なるだろうと思いますよ”
と締めくくられる。

 

一方で、トムたちの服をきて池をおよいだあひるたちは、ぜんぶぬげちゃって、ずっと、池の中の服をさがしていたとさ・・・。


またまた、こわいお母さんの話。

 

なんだか、このお話はよく覚えている。いやぁ、トム、それはまずいだろう!みたいな。子どもながらに、この後おかあさんに叱られるに違いなく、、、、ドキドキハラハラして読んだ気がする。

しかし、お客様に嘘をつくおかあさん。なかなか、、、シュール。

でも、絵本の中で、

”おくさんが そんなことをいったのは、残念ですね。だって、それはほんとではありませんもの”

と、子供たちがはしかだと嘘をついたところででてくる。

 

ピーターラビットの絵本は、子供達への教訓だけではなく、親たちへの教訓でもあるということだろうか。絵本をかうのは親だしね・・・。だから、おそるべきロングセラーなのかもしれない。


絵がまたいいんだね。

「次作に続く」的な終わり方も、絵をみると、いかにもお母さんの雷がおちそうな、、、。

 

絵本は楽しい。