おおきなかぶ
ロシア民話
A・トルストイ 再話
内田莉莎子 訳
佐藤忠良 画
福音館書店
1962年5月1日 こどものとも発行
2004年3月10日 第116刷
これも、『世界を開く 60冊の絵本』(中川素子、平凡社新書)から。
手にした瞬間、なつかしぃぃぃぃ~~~。
そうそう、この横に長い形だよね。
第116刷って、すごい。
おじいさんが かぶを うえました。
あまい げんきのよい とてつもなくおおきい かぶができました。
おじいさんが抜こうとしても、抜けない!
そして、次々に助っ人が。
おじいさん、おばあさん、まご、いぬ、ねこ、ねずみ、
やっと、かぶはぬけました。
ただ、それだけ、、、、。
おじいさんは、おばあさんを呼び、
おばあさんは、まごを呼び、
まごは、犬を呼び
犬は、猫を呼び
猫は、ねずみを呼び。
みんなが数珠つなぎになってかぶを引っ張っている姿、細かく見ると楽しい。最後がねずみっていうのもいい。いちばん、みんなの中では、ちびっこのねずみだけれど、そのひと力が加わって、みごとにかぶは抜ける。
『おおきなかぶ』は、何度も読んだことがある。しかも、やっぱり、この絵本だ。絵は佐藤忠良だから、日本人がかいたロシア人?!のおじいさん、おばあさん、まご。
最後に、かぶがぬけたことを喜んで肩を組んでおどっているおじいさんとおばあさんは、ほんと、ロシア人っぽい。。。しかも、はしゃいでいるロシア人。って、私が直接知っているロシア人はモスクワの科学者たちだけど、かれらも、嬉しい時は踊る・・・。
かぶの姿形は、日本のかぶといっしょかな?!
かぶの葉っぱの付け根のあたりの描き方は、すばらしく写実的でもある。美味しそうでもある。この絵のすばらしさに、佐藤忠良って、だれだ??っておもって調べてみたら、なんだ!あの彫刻家の佐藤忠良じゃないか!!!
2023年に神奈川県立近代美術館で開催された「生誕110年 傑作誕生・佐藤忠良」企画展のHPに、次のような説明があった。
”戦後日本彫刻史に大きな足跡を残した彫刻家・佐藤忠良(1912−2011)。東京美術学校(現・東京藝術大学)で彫刻を学び、従軍とシベリア抑留を経て復員したのちは、新制作派協会(現・新制作協会)を基点に一貫して具象彫刻の道を歩みました。また、力強く現実感をたたえた素描力を生かし、絵本や挿絵でも広く活躍しています。”
だって!!そして、『おおきなかぶ』についても言及されていた。
彫刻作品の『帽子・夏』は、きっと教科書でもでていたのではないか、と思う。
そうか、、、シベリア抑留を経験しているから、ロシア人をよく知っていたのか・・・。
うん。
すばらしい絵本だ。
ちいさなねずみのひと助けが加わって、みごとにかぶはぬける。
もう一声、もう踏ん張り、もう少し、もう少し。
あらゆることの達成には、最後の一歩がある。
最後の頑張り。
まぁ、、、がんばっても、がんばっても、、、ってこともあるけどね。
下世話な話だと、ゴルフだってドライバーで250ヤード飛ばしても、最後の1パットなくしてそのホールは終わらない。10cmでも外せば、終わらない。。。250ヤードも、10cmも、1打は、1打。
スタートダッシュがどんなに良くても、最後の一歩がないと、ね。
「ラスト1マイル」という言葉もある。どんなに素晴らしい配送網があっても、お客さんの手に届くまでのラスト1マイル。
仕上げの一歩、大事だね。
それが、小さな一歩でも。