ティギーおばさんのおはなし
ビアトリクス・ポター さく・え
いしいももこ やく
福音館書店
1983年6月25日 発行
2002年10月1日 新装版発行
2019年11月5日 新装版改版発行
ピーターラビットの絵本ー16
石井桃子さん翻訳の絵本をもとめて、ピーターラビット、シリーズ16。初登場のティギーおばさんは、ハリネズミ。おばさんというか、おじさんっぽいというか、、、。
ティギーおばさんは、本名ティギー・ウィンクルといって洗濯やさん。色々な洗濯ものを請け負っている。本書に登場するのは、ルーシーというおっちょこちょいの女の子。イラストでみると、いやぁ、なんというか、、じゃっかんババ臭い女の子・・・。どうやら、ビアトリクス・ポターは、人間の絵はイマイチらしい・・・。動物はかわいいのに・・。
でもって、ルーシーはしょっちゅう、ものを失くしてしまう。その日は、
「ハンケチとエピロン」を失くしてしまう。(ハンカチとエプロン、ルーシーはちっちゃいからちゃんと発音できないのね。。。)
こまったルーシーは、トラネコのトラちゃん、メンドリのサリーちゃん、コマドリ、みんなにきいてみるけれど、みんな知らん顔。みんなに聞きながら、畑をどんどんあるいて、石の段々を超えて、山の向こうになにか白いものが広げてあるようにみえてきた。さらにどんどん、やまみちを歩いていくと、物干し場と、家の入り口のような扉を見つける。中ではだれかが歌っている。
扉をあけるルーシー。なかは、何もかもが小さくて、天井はルーシーの頭についてしまう。そこに、なんだかへんな格好のおばさんがアイロンをかけていた。
「わたしは、うでききの せんたくやでございます。」
ということで、ティギーおばさんは、様々なお客様からお預かりしたものを洗濯したり、アイロンかけたりしていた。お客様には、ピーター・ラビットや、ベンジャミン・バニーもいる。そうか、そこで、ピーターラビットとつながるか・・・。
洗濯もののなかには、ルーシーのハンカチもあった!
洗濯とアイロンがけが全部すむと、ティギーおばさんはお茶をいれてくれた。おばさんのぼうしやふくのうちがわからは、ヘアピンをさかさまにしたようなものがたくさん突き出ていた。だから、ルーシーは、おばさんのそばにあんまりよりすぎないようにすわってお茶をいただいた。
お茶がすむと、ふたりは、洗濯ものをつつんで、お客様のもとへ届けに行きました。みんな、おばさんにたいそう感謝しました。ピーターラビットやベンジャミン・バニーも。
そして、ルーシーは、包みを抱えてやっとこさっとこ段々を上り、ティギーおばさんにさようならをしようと振り向くと、もうそこにはティギーおばさんの姿はありませんでした。エプロンも帽子もないちっちゃいハリネズミだけが・・・。
おばさんは、ハリネズミだったのです!
そして、最後に
”さて あるひとたちは、ルーシーは石のだんだんの上で、夢を見ていたのだと言います。でも、そうなら、どうして、ルーシーは銀色の安全ピンでとめた3枚のハンカチとエプロンをみつけることができたのでしょう。
それに、私も、ネコノスズという名のやまで、あの入り口を見たことがあるのですよ。それに、あの親切なティギーおばさんは、わたしの ごしんゆうでもあるんです”
おわり。
不思議の国のアリスの短い版みたいなお話だった。でてくる洗濯ものが面白い。めんどりサリーさんの手袋とか、リスのナトキンのしっぽのない燕尾服とか。。。
こうして、これまでのシリーズにでてきた登場人物(動物)がさりげなく登場する。
ピーターラビットの世界。まだまだ、広がりそう。
絵本も楽しい。