のねずみチュウチュウおくさんのおはなし
ビアトリクス・ポター さく・え
いしいももこ やく
福音館書店
1972年5月1日 発行
2002年10月1日 新装版発行
2019年11月5日 新装版改版発行
ピーターラビットの絵本ー8
石井桃子さん翻訳のピーターラビットシリーズ、8。7につづいて、またまた新しいキャラが登場。
チュウチュウおくさんは、初登場。ピーターラビットシリーズ3にでてきた、ピーターラビットのお友達だという「トマシナ・チューチュー」との関係は不明・・・。
シリーズ8も、7に続いて、55ページもの大作。
生垣の下の土手にできた穴の中に住んでいる、綺麗好きなのねずみチュウチュウ奥さん。穴の中にはたくさんの部屋があって、奥さんが寝る部屋にはベッドもある。食べ物の倉庫もある。
チュウチュウ奥さんは、家の中に入り込んでくるゴミムシ、テントウムシ、クモ、どんな虫たちもほうきとチリトリをがちゃがちゃならして、追っ払う。
「でていっておくれ! ずうずうしい!!」
あるときには、まるはなばちのバビティー・バンブルが「じじ・びず・びず!」といって、入り込んできた。奥さんは、いまいましそうに
「こんにちは。バンブルさん。つくえをみがくのに、はちのろうなら ゆずっていただいてもいいんですけどね。なんのようがあって、ここにいるんですか?」
って。
「じじ・びず・びずー!」キイキイ声でおこったまるはなばちは、食べ物倉庫のほうへ消えていく。おいかけるチュウチュウおくさん。すると、綺麗なはずの倉庫がコケだらけ。おまけに、3,4ひきのハチがぶんぶんいっている。
「これは ふほうしんにゅうだ!おいださなくちゃ!」
そして、ジャクソンさんにてつだってもらおうかとおもったけれど、
「あのひと あしをふかないから」と。ジャクソンさんに助けを求めるのを思いとどまる。
ところが、おくさんが居間にもどってみると、なんとジャクソンさんがすましてすわっているではありませんか!
ジャクソンさんは、かえるなので、きたならしいどろみずのついたからだで、そこらじゅうをびしゃびしゃに。。。
でも、チュウチュウおくさんは、ジャクソンさんをむげにすることもできず、食事でもてなす。
このあたり、チュウチュウ奥さんとジャクソンさんとの関係は、謎である。
ジャクソンさんは、歯が無いので奥さんがだしたサクランボの種をたべることができない。そこで、奥さんは、あざみのわたげをだしてやる。ジャクソンさんは、自分が好きなのははちみつだと言って、家の中のはちみつ置き場にいこうとする。奥さんは、ジャクソンさんがそこら中につけて歩く足跡をふいてまわる。
どうやら、チュウチュウ奥さんは病的な潔癖症だ・・・・。
ジャクソンさんは途中でみつけたムシをたべながら、ずんずんおくへ。そして、はちと出くわすと、はちとケンカを始める。
あきれた奥さんは、木の実のくらにとじこもってしまう。
ジャクソンさんは、ハチにさされても、いっこうにへいきらしいので、ほっておいた奥さん。
しばらくして、くらからでてみると、もうだれもいない・・・。
家じゅう、はちみつだのこけだの・・・散らかり放題。
おくさんは、ジャクソンさんがかってにはいってくれないように、玄関を少し狭くしました。
そして、何日もかけて家の中をすっかりかたずけ、5ひきの小さなねずみを呼んでお茶会をしました。ジャクソンさんは、よびませんでした。玄関が小さくなってはいれなくなったジャクソンさんへは、みんながまどからドングリのコップで一杯の甘い水をあげました。
ジャクソンさんは、
「さて、やれやれ、チュウチュウおくさん! あなたのごけんこうをいわって、いただきます!」といいました。
おわり。
潔癖症のチュウチュウおくさんと、自分が何時も濡れていて嫌われていることに気づいていないジャクソンさんのおはなし。チュウチュウ奥さんは、ジャクソンさんがハチをおいはらってくれるから、邪険にもできない、、ってこと。
ドングリのカサを逆さにしたグラスで乾杯しているねずみとジャクソンさんの姿が可愛い。。。
ねずみとカエルの世界にも、せちがないものがあるのね・・・。
それにしても、ピーターラビットにでてくる主人公は、みんなちょっと変なところがある。でも、いるいる、こういう人って、、、、感じ。世の中そういう人だらけってことか。
うん、ピーターラビット、楽しい。