『ユーモアは最強の武器である』 by ジェニファー・アーカー、ナオミ・バグドナス 

ユーモアは最強の武器である-スタンフォード大学ビジネススクール人気講義
ジェニファー・アーカー Aaker Jennifer 
ナオミ・バグドナス Bagdonas Naomi 
神崎 朗子 訳  
東洋経済新報社 
2022年9月 22日 第1刷発行
2023年5月9日 第11刷発行
Humor, Seriously   Why humor is a secret weapon in business and life(2021)

 

1年以上前だろうか、友人が、面白いと言っていた本。図書館の予約がすご~~い数だったので、先に借りられたEnglish版を読んでいたのだけれど、一応、 翻訳本も予約をそのままにしていて 順番が回ってきたので借りて読んでみた。

 

スタンフォード大学ビジネススクール人気講義、というのが、いかにもキャリアポルノ的ではあるのだが、英語も読みやすかったので、一応、理解の確認という感じで翻訳本を読んだ。

 

著者の二人は、女性。

ジェニファーは、 スタンフォード大学ビジネススクールのゼネラル アトランティック プロフェッサーで行動心理学者。 目的と意義が個人の選択に及ぼす影響や、長期的な幸福をもたらすお金と時間の使い方、 テクノロジーが人間の幸福にプラスの影響をもたらす 可能性に関する研究の第一人者。

もう一人のナオミは、スタンフォード大学ビジネススクール 講師、エグゼクティブコーチ。 フォーチュン 100社の大企業の経営陣、取締役、 パートナー向けのインタラクティブなセッションを考案・ 促進する戦略コンサルタント会社を経営。 リーダーたちが個人的あるいは 組織的な変化を起こすにあたって、 創造性や 革新性を引き出し 進歩を妨げる 障壁を取り除き、 企業文化や ビジネスに 永続的なインパクトをもたらす 手助けをしている。

と、ばりばりビジネススクールパーソン

 

二人が本書をもとにしてインタビューなどに答えている動画もYouTubeにたくさんある。本書を読まずとも、インタービュー動画でも、概要はわかると思う。

youtu.be

 

表紙をめくると そこには、「本書が伝える事実」とあり、
ユーモアを発揮する人は、知的で有能で親しみやすい印象を与える

ユーモアのある職場は、創造性や生産性が高い

ユーモアは、つながりや 信頼を育み ストレスや逆境を乗り越える力となる。

ユーモアは、 生まれつきの才能ではなく 習得できるスキルだ。

ビジネスや 人生のあらゆる場面で「ユーモア」はあなたの力となる。”
と。

 

目次
序文  ユーモアが私たちを 人間らしくする
はじめに   真面目さと陽気さ
第1章  ユーモアの4つのタイプ
第2章  ユーモアの脳科学
第3章  プロのコメディアンのテクニック
第4章  ユーモアを仕事に活かす
第5章  ユーモアとリーダーシップ
第6章  職場で陽気な文化を作る
第7章  ユーモアのグレーゾーンを切り抜ける
第7.5章 ユーモアは人生の秘密兵器
あとがき
ユーモアタイプ ミニクイズ
原注
索引

 

感想。
なるほどね。
そりゃそうだろうって、事ばかり。。。ではある。別に、英語版を読んでいたからということではなく、英語を読んだ時から、ふ~~ん、そりゃそうだ、、って感じだった。

こうして文字にしないと、ビジネスコーチに言われないと、受け入れがたいという人もいるのかもしれない。ビジネスに、ユーモアが必要だなんて、、、。

 

かちかちの真面目チャンより、多少のユーモアがある方が楽しいに決まっている。どんな仕事も、楽しみながらやった方が生産性が高いに決まっている。と、わたしがもともと真面目ではないということか?

真面目とユーモアは両立すると思うけど。

というか、真面目に議論しているからこそ、ユーモアのある発言ができる。どうでもいいと思っていたら、でてくるのはユーモアではなく、辛辣な皮肉かもしれない・・・。

と、とはいえ、こういう本がロングセラーで、ベストセラーなのは、だれもが「武器」になるものをユーモアに求めているということなんだろう。

 

たしかに、大人になると子どもの時ほど大笑いする回数は減っているかもしれない。

本書によれば、
” ギャラップ調査では、 人々が1日に笑う/ 微笑む回数は、23歳頃から急激に減り始める。”のだそうだ。

平均的な4歳児は、一日に300回笑うらしい。
ははは、、、たしかに、、、。
オトナで、一日300回笑っている人は、なかなかいないだろう・・・。

 

おとなには、ユーモアに対する思い込みがあるという。

1  ビジネスは真面目(シリアス)であるべきという思い込み。
2 うけないという思い込み
3  面白くなくちゃいけないという思い込み
4  生まれつきの才能という思い込み

これらは、全て思い込みである、という。ビジネスにもユーモアは必要だし、不適切なジョークでなければ、おおうけしなくてもそこそこ受け入れられる。自分がおもしろくなくちゃいけない、ということよりは、ユーモアがわかる人間、とわかってもらえることが大事。そして、コメディアンだって、毎日練習をつんで、笑いに磨きをかける。素人だって、ユーモアのセンスを磨くことはできるのだ、という。

ふと、成瀬のM1挑戦話を思い出す。

megureca.hatenablog.com


脳科学的にいって、ユーモアのわかる人間の方が、「知的にみえる」らしい。かつ、実際、 知的能力測定とユーモアを発揮しユーモアを解する能力があることは、相関関係があるという。

たしかに、面白い人って、頭の回転が早い。

よって、ユーモアは、噓偽りのない「知性の証」なのだと。

 

へぇ!!
うん、うん。
たしかにねぇ。こういう、何かの根拠に基づいて説明されているページは、興味深い。

そして、人が何に対して笑うかで、その人の知的度がわかる、、とまでいっている。なるほどねぇ。

 

第1章で、ユーモアの4つのタイプが紹介されているが、自分がどのタイプに相当するのかを確認する「ユーモアタイプ ミニクイズ」が最後についている。

12個の質問が並ぶのだが、
1. 私のユーモアのセンスは健全で元気が出る感じ。 私はよく笑う方だ。
とか、、、

2. 面白いことを言いながら、よく微笑んだり、笑ったりする。

とか、、、

 

なんというか、これを主観的にやったところで、どれほどタイプわけができるのか疑問?と思ったので、やらなかったけれど、こういった質問で、ユーモアのタイプは、

マグネット(親しみやすい・表現力豊か)
スナイパー(攻撃的・さりげない)
スタンダップ(攻撃的・表現力豊か)
スイートハート(親しみやすい・さりげない)

に分けられるのだと。
つまり、横軸に 親しみやすい~攻撃的、 縦軸に 表現力ゆたか~さりげない
とした四象限で分類するということ。

 

たぶん、同じ人でも、その場面によって少しずつちがうのではないだろうか。
何十年来の同級生と一緒のときと、職場での自分は、親しみやすさはちがうかもしれない。だから、どのタイプだからどうということもないのだけれど、ただ、ユーモアにもいろんなタイプがあるということ。まぁ、場面に応じて自分が変わるというのは、日本人の特徴だというけれど、やっぱり、外国人であっても子どもと接しているときと、仕事中では、変わるだろう。

物静かだけれど、時々ぼそっと面白いことを言う人もいれば、騒がしいけれど、自虐ネタしか言えない人もいる。どっちか知的かと言えば、、、まぁ、それもひとの主観かな。

 

まぁ、真面目になりすぎに、ときにはユーモアを交えてコミュニケーションしましょう、という本。

 

真面目に読むより、それこそ楽しんでさらーーっと読むのがいい。

 

自分はユーモアがないとか、考えなくていい。ただ、読んでみると、ちょっと軽い気持ちになると思う。ユーモアのスキルアップみたいなところは、ちょっと痛い・・・。別に、、、そこまでしなくても、、とも思う。How toがでてくると、とたんにキャリアポルノっぽくなっちゃうのが、ちょっと残念な感じ。けど、手っ取り早いHow toを求める読者もいるのだろう。

 

ムリして、楽しい人になる必要はないし、自然体ででてくるユーモアでいいと思けどな。そして、それはだれかのユーモアに微笑むことができるという余裕でいいようにも思う。

 

ユーモアを言わない人より、ユーモアに反応しない人の方が、ちょっと、、、こわい、と私は思う。

 

人は悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しい、、、と言われるのと同じで、楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しい、、ととらえれば、そりゃ、笑顔の回数が多いほうがいい。

嫌なことを考えて仏頂面で電車にのるより、微笑むことのできる何かを考えて電車に乗った方がいい。

意識して口角をあげているうちに、笑顔が癖になる。

への字のぶちゃいくなおばちゃんより、口角の上がったおばちゃんでいよう。

 

そう、たしかに、ユーモア、笑顔は、最強の武器かもね。

 

人生における最悪とおもわれる出来事も、時間がたつことで笑い話にできる。それがひとつの悟りかも。まぁ、生きているだけでもうけもん。だったら、楽しく生きよう。

 

失敗は成功のもと。そして、笑いのもとになる日はやってくる。

そして、笑いこそが心身の健康の元。

そうおもうと、やっぱり、ユーモア、というか笑うということが最強の武器だ。

 

笑顔の人、姿勢のいい人、清潔そうな人、健康そうな人。

人は、そういう人に敵意を抱きにくいしね。

ユーモアは、ルッキズム対策にもなるってことかもね。

 

楽しい読書も最強の武器になるかも、ね。