「羊の宇宙」 by 夢枕獏

2005年の新装版。

たむらしげるさんの絵。

挿絵ではなく、絵本。

 

あぁぁぁぁ、こういう世界が好きだ。

私も、物理学者になりたかった。

宇宙物理をやりたかった。

でも、いつの間にかバイオテクノロジーに進んでいた。

 

私も、絵描きになりたかった。

絵本を作りたくなった。

いつか、大人になったら、、、、、って思っているうちに、

絵は趣味になっていた。

まだ、人生150年時代、どうなるかわからないけど。

80歳くらいで、絵本作家デビューをめざそうかな。

 

カザフの少年と白髪の老物理学者、アルベルト。

100歳を超えたアルベルトは、死んだことになって、第二の人生を楽しんでいる。

そして、カザフで少年に出合う。

 

アルベルトが考えるシンプルで美しいもの。

・E=MC**2

・色即是空

どちらも、宇宙の根本原理に対して、同じ答えにいきついている。

なぜなら、真理はひとつだから。

この宇宙において、物質とエネルギーとはおなじものであるから。

 

少年の言葉。

速いっていうことは、意味がないの。

速く街まで行けるようになっても、意味がないの。

速くなった分、余った時間に、働いてしまうんだよ。

速くなるということは、時間が余ることじゃなくて、もっといそがしくなるということなんだ。

 

私の感想。よく知っているじゃないか、少年。

私が速くすることを辞めたのは、50歳を過ぎてからだというのに。

生き急ぐのをやめた。

 

少年の言葉。

この宇宙はね、羊と、羊じゃないものでできてるの。

 

私の感想。よく知っているじゃないか、少年。

 

そう、この宇宙は、私と、私じゃないものでできている。

私じゃないものは、私のことには頓着しない。

だから、私のことは私が考える。

自分の人生は、自分で考えて、自分で決める。

 

思いがけず、図書館で出会った素敵な絵本。

まさか、般若心経がでてくるとは。

 

「色即是空 空即是色」

音が結構好きだ。

およそ形あるものには実体がなく、本来実体がないものこそすべての事物の姿である。

 

少年の言葉。

物質っていうのが時間を入れる器で、時間っていうのが物質を入れる器なんだよ。

物質はね、空間と時間と癖でできているの。

つまみ上げた石が、手を離すのは、石が落ちたがっているから。

上に行きたいって気持ちより、落ちたいっていう気持ちが強いから。

 

私の感想。よく知っているじゃないか少年。

そう、気持ちの強いほうに、物質は流れるんだよね。

人生は、自分の気持ちの強いほうに流れる。

やりたいとか、なりたいとか、口だけで実現しないのは、

その気持ちよりさぼりたい気持ちが強いからなんだよ。

忙しい、って言い訳するのは、

必要ないのに速くして、時間を余らせる代わりに余計に働いちゃっているからなんだよ。

 

生産性向上、30年間言い続けてきた言葉を、手放してみる。

そして、選んだ今の生活が自分に合っている。

本を読める幸せ。

速くすることを辞めたら、時間ができた。

本がたくさん読めるようになった。

 

忙しいが口癖になっている自分に気が付いたら、速く、を辞めてみよう。

早く、はいいね。

早く寝よう。

 

「羊の宇宙」、タイトルもいいな。

よく寝れそうだ。