米原万里さんの「グルジアの居酒屋」というタイトルのエッセイから。
実は、日本ソムリエ協会の教本にも出てくる、世界有数の葡萄の産地。美味しいワインやブランデーがたくさんある。
東欧好きの友達は、次に赴任するのはジョージアがいい、と言っているくらい、住みやすい街らしい。
首都トビリシ。私も、ワインの勉強をするまでは知らなかった街。
コーカサスの真珠と呼ばれる。
ジョージアは、気候も温暖で古くから文明が栄えていた。
ワインの歴史だって、6000年前に、ジョージアから始まった、とされている。
今でも、多数の民族が入り組んだ形で、宗教も多様なのであろう。
そんなグルジアからのエッセイ。
ある時には、
「ようこそ。当店におきましてはお客様は神様です。お客様のご希望は法律であります。それを遂行するためにこそ、スタッフ一同は日夜励むものであります。例えば、よく杯にタバコの灰や吸い殻をお捨てになるお客様がいらっしゃいますが、そういう方には、さらにご要望に添えたく、灰皿にワインをお入れしてお持ちいたします。」
とまぁ、ユーモアに富んだ、でも切実な訴えが書かれていたりしていた。
そんなグルジアも、1991年のソ連崩壊前後から、国内の大小の民族間の紛争や権力闘争などで、人々の生活は不安定なってしまう。
10年ぶりに万里さんがトビリシを訪れたところ、戦火の後は痛々しいものの、件の居酒屋は健在!
そして、掲示板も健在!
「飲酒が宗教を信仰するより優れている8つの理由」
1、未だ酒を飲まないと言うだけの理由で殺されたものはいない。
2、飲む酒が違うと言うだけの理由で、戦争が起こった例は無い。
3、判断力のない未成年に飲酒を強要することは法律で禁じられている。
4、飲む酒の銘柄を変えたことで、裏切り者呼ばわりされる事は無い。
5、しかるべき酒を飲まないと言うだけの理由で、火あぶりや石攻め刑に処せられたものはいない。
6、次の酒の注文をするのに、2000年も待つ必要は無い。
7、酒を売りさばくためにインチキな手段を講じるとちゃんと法律で罰せられる。
8、酒を実際に飲んでいると言う事は、簡単に証明することができる。
そう、酒を宗教に置き換えれば、、、8つのどれもが反対の意味になる、という事なのだろう。
苦境の中でもユーモアを忘れない、人間の生きる力にちょっと勇気がでる。
でも、
なんとも、苦々しくも笑ってしまう8つの理由。
宗教というものは、まったくもって難解である。
私にとっては。
昨今のイスラエルとパレスチナの悲劇も、目を覆いたくなるような悲劇も、宗教ゆえん。
なぜ、人々に救済をもたらすはずの宗教で、人はこんなにも残酷になれてしまうのか?
生きるための信念、あるいは宗教はあった方がいいと思うけれど、それを他人に強要するのは間違っていると思う。
はっきり、間違っていると思う。
たとえ、それがわが子であったとしても。
自分の人生は、自分で考えて、自分で決める。
それができる大人になるまでは、だまって見守ればいい。。。
そうしたい。
そうして欲しい。
美味しいワインが飲みたい気分になりつつ、本当の「自由」とは何なのかを考えてみる、皐月の曇り空。。。