「COVID-19 GREAT RESET ダボス会議で語られるアフターコロナの世界」
クラウス・シュワブ、 ティエリ・マルレ 著
藤田正美、チャールズ清水、安納伶奈 翻訳
2020年9月15日 第一版 (電子書籍版)
日経ナショナルジオグラフィック社 発行
COVID-19後の世界は、どういう方向で回復していくべきかについての意見が書かれた本。ただし、2020年9月の発行時点で、著者らもまだまだ現在進行形であり、これからも更新していかなくてはいけない内容ではあるが、との断りつきの発行。
著者のクラウス・シュワブは、1938年 ドイツ生まれ。企業のステークホルダー尊重主義を推し進め、世界経済フォーラムを創設した人。
ティエリ・マルレは、フランス人オピニオンリーダー。
著書の中では、マクロ、ミクロ、個人の視点で、それぞれの課題について話されている。
コロナ後の社会を見据えて書かれた本ではあるけれど、これまでの世界をマクロ、ミクロの視点で見つめなおすにも、一つの情報源となっているのがこの本が売れた理由かもしれない。コロナ収束が見えない中、とりあえずの方向性はしめしているものの、目新しいものではないように思えた。
現代社会は、複雑性、相互依存、スピード重視でなりたっている。そして、コロナの前から、「幸福度」とか「幸福論」といったものは、一つのはやりになってきていたと思うし、それは、資本主義の終焉と言われ始めたこととセットだったと思う。
何事も、ある一つの指標で見た時に、永遠に右肩上がりの成長を続けることはない。
人の身長は、いつまでも伸び続けないし、人口もいつまでも伸び続けない。
停滞期の気配を感じると、人は、「幸福とは?」とか、「生きる意味とは?」と、考える傾向になるように思う。
イケイケドンドンの成長中は、「幸福とは」なんて、考える暇もなく、流れに乗って、気が付けば流され?!、放心するような暇はない。
ふと、時間ができた時、「あれ?私は今幸福なのか?」と、余計なことを考えてしまったりするように思う。
本の中で紹介されていたのが、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相の
「幸福予算」。
精神衛生、子供の貧困や家庭内暴力といった社会問題に対処する予算。
アーダーン首相は、世界で初めて産休を取得した首相、コロナ対策でも大きく評価されている。1980年生まれというから、今40歳。これからも、世界のリーダーで活躍してもらいたい。
日本も「幸福予算」つくれないのだろうか。まぁ、名前だけ「幸福予算」としても、中身の政策が伴っていなければ意味はないだが。
本書で持続可能な経済の原動力となりえる分野として、3つ紹介されている。
・環境にやさしい経済
・社会的経済(看護・介護・保育・教育etc)
・生産・流通・ビジネスモデルのイノベーション
どれも、コロナじゃなくても、そうでしょ?という、至極まっとうなことで、現代社会を考える、という意味で勉強になった。
本書の3つの視点(マクロ・ミクロ・個人)のなかで、個人的にもっとも普遍的なものであり、コロナ以前より潜在的にあった課題が、コロナで表面化されたとおもうのが、「個人」に関する視点。
人間らしさ、心身の健康。
社会のresiliency(回復力)も大事だが、個人のresiliencyも同じくらい大事だと思う。
コロナを恐れるがあまり、軽い鬱症状になってしまった知人もゼロではない。鬱にならないまでも、外出自粛で体調悪化を感じている人も多いはず。
私は、たまたまタイミングとして脱サラをした時期とコロナが重なり、コロナで在宅が増えたのか、仕事を辞めたから在宅が増えたのかわからないような状況だったが、仕事をやめて、人生の優先事項にしたのが運動をすること。
ジムでの運動もするけれど、日常的に体を動かすこと。
駅のエスカレーターは使わない。(基本的に・・・重い荷物を持っているときはつかっちゃう)
体を動かさないと、脳も回転しないし、脳が回転しないと、判断力が鈍る。
マスクやアルコールもいいけど、ウィルスを体の中に入れないためには、手洗い・うがいが基本条件。そういうことを自分で判断できる状態にしておくには、脳を回転させないと。
リスクを管理することは大事だけど、どうなるかわからないからリスクなので、それでも、自分で判断しようとする努力は大切。言われたからやったのに感染した、って、人の責任にしたって、誰も幸せにならない。
自分で判断できるだけの正しい知識と、正しい判断。
科学にも限界があるから、あくまでも、現時点において、ベストと思える判断にはなるけど、自分で考えて行動して、それで失敗(感染)したとしても、人のせいにはしないでしょ。
自分で自分に責任をとる。
そうすることのできる人は、そうするべき。
社会的弱者に対しては、自分で自分を守れる人が、弱者を守るための支援をすべき。
だから、健康体である人は、健康体を維持することが社会的貢献になるのだ。
今は、むやみに病院に行かないことも、医療機関への貢献の一つになりえる。
今回の著書の中にも、「脱成長」に関する記載があったが、「ゼロ成長」とか、「マイナス成長」とか、言葉がよくないなぁ、、、と思う。
「アフターコロナ」という言葉もあまり好きではない。
「21世紀型成長」とか、なんか、いい言葉はないだろうか。
まぁ、抽象的で中身がわからないか。
「横這い成長」、、、って、これもいけてない。
なんか、いい言葉ないかな。
「人新世」の時代なんだから。
自分の頭で考えよう。
「愚」なりに、考えよう。