「この一冊、ここまで読むか!」  by 鹿島茂 他

「この一冊、ここまで読むか!」 

鹿島茂

祥伝社

2021年2月20日初版第一刷発行

 

図書館で借りた本。

コロナの自粛で、返却日が延長されたので、4月に借りたような気がするけど、読んだのは6月。

でもって、なぜ借りたのか?忘れていたのだけれど、

たぶん、

内田樹」で蔵書検索かけて、比較的新しい本だったのに、予約の待ち人数がそんなに多くなかったので借りた気がする。

 

鹿島茂さん、知らなかった。

「まえがき」によると、「ALL & REVIEWS」というインターネット無料書評閲覧サイトを運営している人とのこと。ちらりとサイトをのぞいてみたけれど、幅広くいろんな分野を掲載しているみたい。

 

本書は、ホスト(鹿島さん)とゲストとのノンフィクションの本を取り上げた対談を書籍化したもの。

 

なかなか、充実していた。

合計、6冊の紹介。

 

ゲスト:楠木建

本: NETFLIX コンテンツ帝国の野望  ジーナ・キーティング著 2019年6月

 

ゲスト:成毛眞

本: 絶望の人類史 更科功著 2018年1月

 

ゲスト:出口治明

本: 論語 金谷治 訳注 1963年7月

 

ゲスト:内田樹

本: ルイ・ボナパルトブリュメール18日  カール・マルクス著 植村邦彦訳

柄谷行人付論 2008年9月 

 

ゲスト:磯田道史

本: 日本を襲ったスペイン・インフルエンザ 速水融著 2006年2月

 

ゲスト:高橋源一郎

本: 9条入門 加藤典洋著  2019年4月

 

どの本も面白そうだった。

けど、対話から発生する、様々な情報とそこに出てくる参考図書がまたまた興味深い。

あぁ、こうやって、本を紹介する本というのは、また、どんどん読みたい本が芋づる式に増えてしまうのだ。

 

今回の本の中で、特に読んでみたいと思ったのは、

NETFLIX コンテンツ帝国の野望」と、「ルイ・ボナパルトブリュメール18日

結局、楠木さん、内田さんのお勧めに弱い私。

出口さんの本はもちろん好きだし、「論語」は、まともに読んだことがない、というか理解できたと思ったことがないから、読み直したいとも思う。

 

けど、無職1年になろうとしている私としては、そろそろビジネスの世界に戻ることを考えたいと思うので、NETFLIXに興味のアンテナがピンピンとたつ。

私自身は、NETFLIXを利用したことはないけど。

旧作の映画は、いつの間にかまんまと契約させられていたAmazon Primeで間に合わせている。

 

ビジネス、という視点で言うと、

鹿島さんが書かれたという、「渋沢栄一」も、気になる。

今年の大河ドラマ、ちょっと見ようかと思ったけど、やはり、テレビを見る習慣のない私は、気が付けば日曜の夜はおわっていて、1回みただけ。

やっぱり、テレビドラマだとまどろっこいから、本を読んだ方が速い。

 

渋沢栄一の「論語と算盤」は、何年か前に読んで、当時はバリバリのサラリーマンだったので、とても印象的だった。

そうなのだよ。

お金を稼ぐというのは、決して卑しいことではない。

内田鑑三だって、言っている。

まずは、金を稼げと。

そして、世の中にその分を還元せよと。残せと。

(私なりの「後世への最大遺物」の解釈)

 

ルイ・ボナパルトナポレオン3世

よく知らなかった。

私が、ナポレオン3世という名前を記憶したのは、ワインの勉強中。

1855年のパリ万博の時にボルドー格付けを命じた人。

島流しにあっていた人。

取ってつけた格付けだったわりには、今もボルドーのシャトーはその格付けのままだし、とんでもない皇帝だったといわれても、はぁ、やっぱりね、という感じ。

 

でも、内田さんとの対話だけでなく、

出口さんとの「論語」の対話の中でも、シャルル・ルイ・ナポレオン・ボナパルトが出てきたので、ちょっと、マルクスの書いたボナパルト、読んでみたくなった。

マルクスが、そんなものを書いていたことも知らなかった。

内田さんは、マルクスはレトリックがうまい、という事を言っている。クロード・レヴィ=ストロースが論文を書く前にとりあえず、『ルイ・ボナパルトブリュメール18日」を本棚から取り出してぱらぱらと数ページめくる。そうすると『頭にキックが入る』と。

なるほどね。

文章を書く前のエクササイズに、読むにもいいかもしれない。

そして、マルクスアメリカとの間のことも、ちょっと学んでみよう。

マルクスと、リンカーンが同世代って、歴史の授業では習わない。

学校の予習復習より、本を読んだ方がいい。

とにかく、読んでみよう。

 

出口さんとの対談の中で、「鼎の重量を問う」という言葉が出てくる。これは、ここ数か月で、どこかの本でも目にした。統治者を軽んじるということ。

でも、どの本で、誰の本で目にしたのか忘れてしまった・・・。中国関係のはなしだったか?

本と本の点がつながらないけど、、、言葉の記憶はつながる。

「鼎」なんて、知らなかった。その時調べた。

まぁ、権力という言葉の代わりにここでは使われている。

 

他の本も、それぞれに面白そうだった。

 

世の中には、色々な考えの人がいるのね。

でも、書籍になると、同時代に生きていなくても、後世の人が目にする可能性がある。

本にするって、すごいことだ。

 

そうだ、内村鑑三だって言っている。

文章というものは、誰でも残せると。

 

本の紹介本。

終わりなき旅だけど、気になるものは読んでみよう。

 

時々、点と点がつながる。

その快感が、読書の楽しみ。