「ヤバい経済学」 by スティーヴン・D・レヴィット、 スティーヴン・J・タブナー

「ヤバい経済学」 

悪ガキ教授が世の裏側を探索する。

ティーヴン・D・レヴィット、 スティーヴン・J・タブナー 著

望月 衛 訳

東洋経済新報社

2007年5月10日 発行

(原書は、2005年。 発売1年で150万部のベストセラー)

 

知人がお勧めだというので読んでみた。
第一の感想は、アメリカの経済学の本だ!っていう感じ。


うむむ。
古いから、なんか、あんまり、品がない?!感じ・・・。
それが、ヤバい、とタイトルになっている訳なのかも。

原題は、Ferakonomics; A Rogue Ecomomist Explores the Hidden Side of Everythhing

 

著者は、二人になっているけれど、基本は、経済学者のスティーヴン・D・レヴィットの論文をもとに、ジャーナリストのスティーヴン・J・タブナーが本に仕上げている感じ。

 

覚書として、書いておく。

 

当たり前だけれども、出てくる事例は、全部アメリカのお話。
家の売買の習慣。黒人奴隷問題。人種差別問題。人工中絶問題。子育て。
アメリカの習慣をもとに語られている。

まぁ、当たり前だよね。

 

でも、面白かった?!というか驚いたのは、一つ事例として、日本の相撲の八百長が出てきた。私が知らなかった話。

バカの壁。興味がなかったのね。

 

神聖なる相撲界において、八百長があった。

八百長をした人には、それだけのインセンティブがあった、っていう話。

でもって、八百長を告発した元・大鳴戸親方(元関脇・高鐵山)が愛知県内の病院で死亡した事件について、言及されていた。

1996年4月14日「大鳴戸事件」という事らしい。

私は、あまり記憶になりけど。

告発にかかわった二人が、同日、病院で死亡、、、、。

あやしいだろう、それ。。。

私も、本に出てきたから、

「相撲・八百長・死亡」で検索しただけだけど。

 思わぬところで、相撲の黒い?!歴史を勉強しました。。


結局、人は何かのインセンティブで動く。
経済とインセンティブは切っても切り離せない。


インセンティブに関する話はいくつか出てくるのだけれども、結局、著者が言いたいのは、経済がどん尻でなければ、社会的インセンティブの方が経済的インセンティブよりも人の行動を左右する可能j性が高いということ。


なぜ選挙に行くのか。

自分の一票で政治が変わるはずなんかないってわかっているのに。
実はそこにあるのは経済的インセンティブよりも、「私は選挙に行くちゃんとした人」と思われたいという社会的インセンティブなのではないか、と著者は言う。

 

アメリカの犯罪が減った理由を、警察官の人数が増えたからとか、ドラッグの 取り締まりが厳しくなったからとか、世の中は色々言うけれども、要するに犯罪をする人が少なくなった。

かつて、たくさんいた犯罪者はどこに行ったのか。
著者の説は、犯罪者そのものが生まれなくなった。
つまり人工中絶が認められるようになったことで、望まれずに生まれてくる子供が減り、貧困で苦しい生活を強いられる子供達が減った。

そのことが犯罪者が消えた理由であると。

 

これは、やばいだろう。

生まれてくるときに、犯罪者になることが決まっていたって言っているようなもんだ。

こういう本が、アメリカではベストセラーになったのね・・・。

 

他にも、それ言うか?という著者の自論の展開。

 

子供の学校の成績(テストの点)と強く相関している要因。
・親の教育水準が高い → 成績良い
・親の社会・経済的地位が高い  → 成績良い
・母親は最初の子供を産んだ時30歳以上だった → 成績良い
・生まれた時未熟児だった → 成績悪い
・親は家で英語を話す → 成績良い
・養子である → 成績悪い
・親が PTA の活動をやっている → 成績良い
・家に本がたくさんある → 成績良い

 

子供の学校の成績(テストの点)と関係がありそうで、ないもの
・家族関係が保たれている
・最近より良い界隈に引っ越した
・その子が生まれてから幼稚園に入るまで母親は仕事につかなかった
・ヘッドスタートプログラム(アメリカ政府の育児支援制度)に参加した
・親はその子を呼ぶ美術館へ連れて行く
・よく親に打たれる
・テレビをよく見る
・ほとんど毎日親が本を読んでくれる

 

ほんとかよ?
そりゃ、そういっちゃぁヤバいだろう、という感じ。

細かく、なぜそうなのかが書かれているけれど、読んでいてやや不快感が・・・。

どんだけ偏った見方だよ!と思わなくもない。

 

著者が言いたいのは、親がどういう風に子供に接するか、という事(行動)より、親がそもそもどんな人間なのか、という事実のほうが子供の成績に影響を与えると。

つまり、遺伝。

 

確かに、統計的にはそうなのかもしれないけれど、統計でかたるのが経済学の限界か。

 

こういう本、経済の調子のいい時だと売れるのかなぁ。

リーマン前のアメリカだもんね。

 

本書からの学び。

経済的インセンティブより、道徳的インセンティブに人は動かされる。

 

性善説っぽいから、これも、経済の調子のいいことが前提かもしれないけど。

 

確かに、なんで、選挙に行って投票するの?と、聞かれると、

自分の一票が政治を動かすかもしれないなんてことは思っていないけど、

選挙権を行使した、という、「常識的社会人らしいことをした」が欲しいのかも。

いやぁ、世の中よくしたいと思っているけどね。

 

世の中をよくしたいというのは、

まずは、社会というより、身近な家族や友人たちの幸せのほうが大事。

もっと、言ってしまえば、自分の幸せのほうが大事。

 

あぁ、人間は利己的な遺伝子でできているのだ。

いいじゃない、利己的でも。

まずは、自分をちゃんといたわろう。

命がないとね。

それから、経済を回そう。

 

大人の対応。

わざわざ、言わなくてもいいこともある。