『ヤマザキマリの世界逍遥録』 by  ヤマザキマリ

ヤマザキマリの世界逍遥録
ヤマザキマリ
株式会社 JAL ブランドコミュニケーション 発行
株式会社 KADOKAWA 発売
2021年3月31日

 

本書は JALグループ機内誌『SKY WARD』で連載した「ヤマザキマリの世界逍遥録」2018年5月号から2020年10月号掲載分と、JALカード会員誌・機内誌 『AGORA』 2019年7月号8・9月号に掲載の「タイ北部紀行」全5編を再編集しまとめたもの。

最近、コロナですっかり飛行機に乗ることもなくなり、AGORAの発行頻度も低くなって、あまり目にすることのなくなったJALの雑誌たち。
本書は、中身がそうとは知らずに、図書館で目に入ったので借りてみた。

 

マリさんが世界のあちこちを旅した記憶。
ちょっとだけ、旅気分へ・・・。

テーマは、
温泉
文化
動物

タイ北部
家族
グルメ
遺跡
と、7章からなる。

マリさんは、旅ではなく、暮らすために世界のあちこちに住んでいるので、旅の記録というより、その土地の記録、と言った方がいいかもしれない。
どれも、さらーーっと読めて、いいかんじ。
マリさんの挿絵がまたいい。

 

温泉、日本の支笏湖の話に、イタリア、カンパニア州の地獄谷。
支笏湖は、道産子のわたしにとっても、故郷のような、、、身近な温泉場。札幌から程よい旅行気分を味わえる距離だし、ある意味、何もない、、、田舎なところがいい。マリさんは、丸駒温泉というところによくいったそうだ。あぁ、温泉へ行きたい。。。。
北海道にも行きたいけど。

 

イタリアも、日本と同じ火山国。ナポリ近郊と言えば、ポンペイヴェスヴィオ火山が記憶に新しいが、カンパニアで「地獄谷」と呼ばれる、硫黄の温泉岩盤浴だそうだ。テルマエロマエでも、岩盤浴が兵士を癒していたっけ。

 

動物編では、登別温泉のクマ牧場がでてくる。あったね、クマ牧場。巨大な熊だけど、ちょっと痩せてて、やさぐれた感じの熊がいたっけ。わたしも、何度か行ったことがある。マリさんがお母さんと一緒に久しぶりに行って、お母さんが、「今はこんなだけど、小さい頃は皆、可愛い小熊ちゃんだったのよねぇ、、、」とつぶやいた、という話が笑える。わかる、わかる。パンダだって、ちっちゃい時はめっちゃ可愛いけど、大きくなると、単なるぐうーたら、、、、。成都のパンダ動物園に行ったことがあるわたしは、そう確信している。パンダがうじゃうじゃいると、もう、ちっこいのしか可愛いと思えなくなる。

 

文化編は、パリのルーブル美術館、リオのダンスホール、フランス・アングレームの国際漫画祭、シカゴのブルース・フェスティバル、イタリア・シチリア・ファビニャーナ島の漁師たち、キューバハバナヘミング・ウェイゆかりのBarでフローズンダイキリを楽しむ、などなど、、国際色豊か。

 

グルメも、ポルトガル、イタリア、スペイン、フランス、、、、と、どれも美味しそう。リスボンイワシイタリアのポルチーニアレンテージョ(ポルトガル)の「黒豚の秘密」フィレンツェのランプレッド(ギアラ・牛の第四胃の料理)、、、etc。

 

そうそう、ポルトガルの海岸沿いは、イワシ、アジといった青魚やタコを食べる文化がある。塩を振っただけで炭火で焼くイワシ・アジは、日本人にはたまらなく美味しい。ポルトガルと言えば、鎖国時にも貿易をしていた国だし、日本人には馴染みがあるのだ。数年前にリスボンに遊びに行った時、いったい何尾のイワシ・アジを食べつくしたことか・・・。そして、イワシがたくさん描かれたランチョマット、イワシの絵柄のTシャツまで買って帰ってきてしまった。いまだに、愛用中・・・。青魚、好き。。。


アレンテージョ「黒豚の秘密」って、どんな料理なのか、本文中には出てこない。でも、マリさんがポルトガルに行く人がいると、必ず食べてきて!と勧めるのが「黒豚の秘密」という料理らしい。アレンテージョとは、ポルトガルリスボンから南東の地方で、スペインとの国境付近に小さな古都モンサラッシュという街がある。オリーブ畑やコルク樫の大農園の広がる穀倉地帯で、アレンテージョD.O.C.は、ワインの勉強でも注目の産地としてよく出てくる。土着品種で、黒ぶどうのトリンカディラは、国内でも第5位の生産量。黒豚も特産で、ドングリを食べて育った黒豚は、D.O.P.にも指定されていう。イベリコ豚の仲間?かな。で、大自然の中で育った黒豚は、「のんびり幸せに育っているから、美味しいんだ」と。
あぁ、。そうだろうなぁ。。。。

で、黒豚の秘密って、どんな料理なのか調べてみたら、どうやら普通に黒豚のステーキみたい。豚そのものが美味しいから、きっと、焼いただけで美味しいのね。
赤ワインと合いそう。
あぁ、食べたい。飲みたい。


遺跡は、スペイン、ギリシャから、中国まで。ギリシャクレタ島、ミノア文明といえば、ヨーロッパにおける最初の文明の一つ。島の中には、今でも美しい宮殿や都市の痕跡が残されているそうだ。行ってみたい。クレタ島はオリーブオイルの名産地とも言われている。オリーブオイル専用の貯蔵陶器の甕が残されていて、当時もオリーブオイルは、貴重な「黄金の液体」として大事にされていたそうだ。マリさんの挿絵によるその甕は、マリさんの身長より大きい。一斗缶どころか、ドラム缶よりも大きいって感じだ。すごい。

 

タイ北部の話は、チェンマイやその北の町々。それは、自然もあるし、人も優しいし、水と緑と、、、癒しの街だと思う。長く滞在されたようで、羨ましい。

私は、バンコクに5年間赴任していたことがあるのだが、その間、チェンマイへは何度か遊びに行った。バンコクとは異なる、独特ののんびりした雰囲気。気候もバンコクよりは明らかに涼しいので、日本人には海外移転拠点としても人気がある。

かつてのタイ人の同僚には、自分はチェンマイに土地をたくさん持っているから、その土地を好きに使っていいよ、と言われている。いや、ほんとに移住しても楽しいだろうと思う。でもまだ、隠居生活をするつもりはないから、移住するにしても、まだ先でいいかな、、、。5年も過ごしたタイなので、今でもちょっとはタイ語もわかる。海外に住むときの一番の壁は言葉の壁だろうから、やはり、若いときに覚えた言葉の国で隠居生活は、悪くないかも。。。ま、まだまだ、日本で働きつつ楽しみたいことの方が多すぎる。

 

ヴェスヴィオ火山、ミノア文明、アレンテージョの豚、、どれも、ワインの勉強で出てきた。ワインはその歴史が長く、かつキリスト教と共に世界に広がっていったから、思いがけず地理や歴史の勉強にもなる。

勉強したことが、別の話と繋がると楽しい。アレンテージョなんて、ニッチではないだろうか。

 

あぁ、グルメの旅に行きたい。

それにしても、飛行機に乗っていない。仕事でも遊びでも、年に数度は海外にいっていたコロナ前を思うと、信じられないほど飛行機に乗っていない。。。。
さて、今年は、2022年は、、、行けるのだろうか。 

コロナが無ければ、2020年は海外放浪の一年にするつもりだったのに、、、。

まぁ、かわりにできた時間でワインの勉強をして、資格もとったのだから、それはそれでよかったのだろう。旅にでれなければでれないで、時間はつかいよう・・・。

一応、6月にシャンパーニュへの旅を計画中なのだが、はたして、、、、。

せめて、国内の旅行は、心置きなく行けるようになるといいと思う。

と、3月の旅行もオミクロンのせいで、中止としたところ。

 

コロナになんか、負けないぞぉ!と、思う一冊。

 

時間は使いよう。

次の旅がより充実するよう、今のうちにいろんな雑学をインプットしておこう。

 

読書は楽しい。

旅行記も好き。

 

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ヤマザキマリ 世界逍遥録』