『冲方丁のこち留』 by 冲方丁

冲方丁のこち留
こちら渋谷警察署留置所』
冲方丁
集英社インターナショナル
2016年8月31日 第一刷発行

 

図書館の店でふと「冲方丁」の文字が目にとまったので借りてみた。

まさか、ノンフィクションの告発本?!とは知らずに。


冲方丁さんと言えば2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞を受賞された方。『天地明察』は本当に面白くて、凄い作家が出たものだと思った。江戸時代に日本初の暦作りに挑戦した実在の人の物語。 岡田准一主演で、映画にもなったはず。 

 

表紙の裏には、
「2015年8月、各マスコミがいっせいに報じた人気作家、まさかの 「DV 逮捕劇」。9日間にわたって渋谷警察署の留置所に閉じ込められたのち釈放、不起訴処分が下された。この体験を通じて冲方氏が失望を禁じ得なかったのが、世間の常識などいっさい通用しない警察、検察、裁判所の複雑怪奇な実態だ。誤認逮捕や冤罪を生み出しかねない「司法組織の悪しき体質」を変えるには? ベストセラー『天地明察』の作家が世に問う、日本の刑事法の不条理な現実。」
と。

 

そういえば、なんとなく、記憶にある逮捕事件。え?あの人のよさそうな人がDV???わかんないもんだなぁ、、、くらいに思っていて、その後、不起訴になったわけだし、あっという間に私の記憶からは消え去っていた。

でも、本書を読んでいたら、思い出した。確かに、そんなことがあったなぁ、と。結局、無罪放免で、とんだ名誉棄損だ、、、。

 

「8月21日午後7時頃、事務所があるマンションのエントランス前で妻と口論になった際妻の顔を右手拳で一発殴って前歯損傷の疑い」ということで、渋谷警察署の留置所にとじこめられることになった冲方さん。

なんでも、東京・秋葉原で「冲方サミット」と題したファンとの交流イベントを開催していた直後。イベントの打ち上げで盛り上がっていたところに、いきなりやってきた警察。
「奥様のことでお聞きしたいことがあるので、署まで御同行願えませんか」と。
テレビの刑事ドラマみたい。。。。
で、冲方さんは、妻に何かあったのかと思い、まさか、自分が被疑者として同行を求められているとは、かけらも思わなかった、、、と。


そして、覆面パトカーに乗せられた瞬間から、、、9日間にわたる理不尽かつ不可解な留置所生活が幕開けた、、、と。

冲方さんが奥さんを殴ったなどという事実はなく、最終的には不起訴で釈放されることになる。

奥さんとは、確かにケンカもしないほど冷めた中になっていたのかもしれないけれど、、、。奥さんは、冲方さんを訴えてない、と言っているのに、解放してもらえず、9日間・・・留置所。結局、何がどういうことかわからないけれど、誰かが、「DVがあった」と訴えると、警察は証拠がなくても逮捕できるそうだ・・。恐ろしい。

 

なんの証拠もないのに、9日間も留置所・・・・。
ありえない!!!
ほんと、ありえない!!
と、思う事が書き綴られている。

読んでいて、腹が立って、熟読できなくなるくらい、警察も検察もどうかしている。

結局、逮捕というのは、警察のお手柄なので、逮捕できるものはなんでも逮捕する?!?!ひどすぎないか???権力乱用だろう…と思ってしまう。

 

何の落ち度もないのに、いきなり社会から隔離されて留置所

でも、さすがは、作家?
これは、もう、笑うしかないな、、、という覚悟で受け止めたという。
途中、母親も留置所に面会に来ているのだが、その母親も腹がすわった、、、というのか、自分の息子の無実を信じているから、絶対になんとかなる、、と、取り乱すこともなく。。。

 

最終的には、無罪放免なわけだけど、人の人生の9日間、留置所に閉じ込めておいて、不起訴だからもうかってにしていいよ、って。本当に、ヒドイ。

厚労省村木厚子さんの時もそうだ。

 

最後に、『それでもボクはやっていない』の周防正行さんとの対談が掲載されている。

冤罪って、人の人生を人が勝手に踏みにじって、、、おとがめなしって、、、、。

 

警察の人って、こういうの、どう思っているんだろうか?

逮捕はたんなる身柄拘束、くらいにおもっているのだろうか?

 

理不尽だ。

そういうの、好きじゃない。

 

冲方さんは、こうして本に書くことで身の潔白を世の中に伝えられるけれど、普通の人なら、単なる疑いで逮捕されて仮に不起訴でも、釈明のチャンスはない・・・。

 

日本では、アメリカのように黒人であるというだけで警察に殺されることはないけれど、、、。

 

世の中、、間違っていることたくさんあるよなぁ、と思う。

正義とはなにか?

 

しかし、本のために、渋谷警察署の前で写真をとったのか?

シュールだ。。。

 

世の中、理不尽なことはたくさんある。

公平でも公正でもないこともたくさんある。

それでも、そんなものにめげてはいけないのだ。

世の中が悪いと言った瞬間に他責。

自分で切り開く力のある人は、自責で道をひらくのだ。

きっかけがあれば、ちゃんと道は開ける。

 

急ぐ必要はない。

人生は、早い者勝ちじゃない。

 

比べるものではないけれど、ウクライナの受けている理不尽さに比べたら、、、、。

 

なかなか、思うようにいかないこともあるけれど、

自責で突破!

 

頑張れることは、自分で頑張ろう。

自分の人生は、自分で考えて、自分で決める。

 

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冲方丁のこち留』