『未来のエリートのための最強の学び方』by 佐藤優

未来のエリートのための最強の学び方
佐藤優
集英社インターナショナル
2019年2月10日第1刷発行

 

図書館の棚で見つけたので借りてみた。

 

まえがきによると
「本書は、同志社大学で我々の講義を受講する学生(文科系、理科系ともに基礎的学術訓練のよくできた人たち)よりも少し広い範囲の読者を想定して、私が野口範子先生(同志社大学生命医学科学部長)と行っている文理融合を通じ、1ランク高いレベルの教養を身につけるための指針を示した本だ。具体的に想定しているのは以下のカテゴリー(範疇)に属する読者だ。
・大学受験を控えている中高生
・将来に不安を感じている浪人生
・現在大学院の講義やゼミだけでは十分な教養を身につけることができないと不安を覚えている大学生(院生)
・20代から30代の大学・大学院を卒業したが、知的基礎体力に不安を覚えていて自分の教養の『鍛え直し』を志してる社会人
・これらの人たちを指導する立場にある、中学高校、大学の教師、企業や官庁の管理職

と。。。。。
どれにも、当てはまりません、私・・・・。

でも、いいもん。
ということで、読んでみた。

175ページの単行本。サラーーーっと読める。

勉強には、基礎が無いと頭に入らない長距離走のような勉強と、一夜漬けでもやれば何とかテストの点を取れるような短距離走のような勉強があると。どっちも大事だけど、やはり、長距離走ができるようになるのが、理想。本当の教養。


国際基準の人物になりたいのであれば、英語と数学は必須。数学は論理的思考にも役立つので、文系、理系、問わずに、しっかりと基礎をやるべし。
英語は、TOEICで言えば、900点をめざす

 

錬金術と心理学の話が出てきて、小保方さんのSTAP細胞錬金術のようなものだと察知できれば、巻き込まれて自殺する人なんて出てこなかったはず、と。
小保方さんの話は、正直言って、なんであんなことになったのか、分からない。
バイオテクノロジーが専門の私としては、衝撃のニュースだった。2006年、京都大学の山中先生が初めてiPS細胞の作成に成功して、2012年にノーベル医学・生理学賞を受賞。その分野では、iPS細胞に関するビジネス計画が次々とでていた。STAP細胞がネイチャーにでたのが2014年。
ネイチャーといえば、サイエンスでは権威ある雑誌だし、ホントか?!?!と思いつつも、だれでも、可能性があれば夢の技術、、と思った。でも、ウソだった。
データの捏造は、許されない。実験をしていると、1回だけ、成功したと思い込むことはあり得る。勘違い、あるいは、実験の手違いで。だから再現できない。再現できないものは、論文の書きようがないはず。だから、捏造。捏造は、ウソだ。捏造は、ダメだよ、絶対に。

 

佐藤さんは、小保方さんのメディアでの取り上げられ方を見ていても、最初から何かがおかしかった、という。
だいたい、なんで実験室で割烹着よ、と思う。
なんか、当時の彼女をはやし立てるメディアに、ちょっとイラっとした自分を思い出した。

おかしいな、と気づける力。
それも、教養。

 

冷戦時代、物理学者の湯川秀樹さんが反核運動にコミットして、「科学者は自発的な意思によって核兵器などにつながる研究はやめるべきだ」といった趣旨のことを発表した。それに対してマルクス経済学者の宇野弘蔵さんは徹底的に批判したそうだ。
なるほどな、そうだな、と思った。
宇野さん曰く、湯川秀樹のようにノーベル物理学賞をもらった人がこういう発言をしてもらっちゃ困る、と。それの理由は、第一に、一部の人が止めたからと言って、他の科学者がすすめれば、物理学は止まらない。第二に、科学者がやるべきなのは、核兵器が具体的にどのような事をもたらしえるのかを、きちんと一般の人に伝えること、と。

ただ、危険だというのではなく、何がどうなると危険で、どう使えば人類のためになるのか、それを明らかにするのが科学者の役割

遺伝子組換え技術も、しかりだ。

コロナワクチンだって、もっとちゃんと分かるように説明するのが科学者の責任。ワクチン義務化に反対デモをする人たち、ワクチンを嫌悪する人たちが、理解できるように説明するのが科学者の責任
それでも、ワクチンを打ちたくない人がいるのは、それはそれでしかたがないと思う。健康上の理由、宗教上の理由、それぞれに理由があるのだろう。ただ、偽の情報に取り付かれて、人の迷惑になるようなデモをされるのは、迷惑な人、、と思ってしまう。

 

最後は、野口さんとの対談で終わる。
さらっとよめて、なかなか楽しい本だった。


理系も、文系も、関係ない。
人生は、長距離走だ。長距離勉強が必要だと思う。

 

本書の最初の方に、歴史問題がある。
「以下の歴史的出来事が生じた年号を示せ。」

フランス革命勃発     
ロシア主義社会主義革命勃発
ソ連崩壊
明治維新明治元年
ウェストファリア条約
コロンブスアメリカ到達
ノモンハン事件
ゾルゲ事件
ハンガリー動乱
ヨム・キープル戦争(第4次中東戦争
真珠湾攻撃
第一次大戦勃発
沖縄返還
第二次大戦勃発
広島・長崎への原爆投下
2・26事件
米国同時多発テロ事件
関ヶ原の戦い
サンフランシスコ平和条約発効
日本のポツダム宣言受諾


私は、恥ずかしながら、7つしか正解できなかった。

正解は、以下の通り。

フランス革命勃発    1789    
ロシア主義社会主義革命勃発        1917
ソ連崩壊    1991
明治維新明治元年)    1868
ウェストファリア条約    1648
コロンブスアメリカ到達    1492
ノモンハン事件    1939
ゾルゲ事件    1941
ハンガリー動乱    1956
ヨム・キープル戦争(第4次中東戦争)    1973
真珠湾攻撃    1941
第一次大戦勃発    1914
沖縄返還    1972
第二次大戦勃発    1939
広島・長崎への原爆投下    1945
2・26事件    1936
米国同時多発テロ事件    2001
関ヶ原の戦い        1600
サンフランシスコ平和条約発効    1952
日本のポツダム宣言受諾    1945


年代順に並べ替えると、
コロンブスアメリカ到達    1492
関ヶ原の戦い            1600
ウェストファリア条約    1648
フランス革命勃発        1789    
明治維新明治元年)    1868
第一次大戦勃発        1914
ロシア主義社会主義革命勃発        1917
2・26事件            1936
ノモンハン事件        1939
第二次大戦勃発        1939
ゾルゲ事件            1941
真珠湾攻撃            1941
広島・長崎への原爆投下    1945
日本のポツダム宣言受諾    1945
サンフランシスコ平和条約発効    1952
ハンガリー動乱        1956
沖縄返還            1972
ヨム・キープル戦争(第4次中東戦争)    1973
ソ連崩壊            1991
米国同時多発テロ事件    2001


年号なんて、覚えていないもんだな、と思った。

こういうことが頭に入っていると、様々な情報に触れた時に、すっと頭にストーリーが描けるようになる。長距離走だな。

私は、未来のエリートにはなれないけど、面白い一冊だった。
さっと読めるので、モチベーションUPに良い一冊かもしれない。

若者でなくても、世の中をもっと理解したいと思っている人にお薦め

人生、一生かけて学びだ。 

 

読書は楽しい。

 

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『未来のエリートのための最強の学び方』 佐藤優