『再現イラストでよみがえる 日本史の現場』  朝日新聞出版

再現イラストでよみがえる 日本史の現場
朝日新聞出版
2022年5月30日

 

表紙の説明書きには、
水稲農耕の様子、遣唐使船、清涼殿での天皇の一日、モンゴル襲来、秀吉の大阪城、江戸の湯屋、函館開港、大阪万博
古代最大海戦(白村江の戦い)の現場
古代から令和まで!
歴史的名場面の目撃者になる!”

 

表紙裏の説明には、本書の特色。
① 147のイラストで完璧に再現!
縄文時代から現代まで日本列島で4000年間に起こった様々な歴史事象を47のイラストで完全再現!
② 一流の研究者・学生が解説
歴史学の第一線で活躍する一流の研究者・学者50人がイラストの世界を解説
③ 「見どころ」解説も興味津々
イラストに描かれた部分を見どころとして抜き出し、さらに詳しく説明しています。
④ 地図企画でもっとよくわかる
所々に差し込まれた詳細な地図。日本史の現場を知るための一助となるはずです。

 

と、まぁ、日本の歴史の本なのだけれど、歴史上の史と人の生活の一コマ、事件、誠二の一コマなどが見開き2ページのイラストで描かれていて、その解説が次の2ページ。
一つのテーマで4ページ使うような構成。

 

各時代の流れや、特徴的な出来事がイラストで目に入るので、歴史のお浚いにちょうどいい。マニアックな内容もあったり、学校で習うような重要な出来事もあったり。
図書館で、歴史の勉強になる本を探していてみつけたのだけれど、結構おもしろかった。

おとなの絵本、って感じ?
でも、情報はしっかりしているので、読み応えもある。
漫画になっていると、絵が多すぎて読み進まない感じがするけど、これは、なかなかよい。
一場面のショットなので、アルバムをめくるように、眺めて、読むことができる

 

もくじ
第1章 旧石器・縄文・弥生・古墳時代
第2章 飛鳥・奈良時代
第3章 平安時代
第4章 鎌倉時代
第5章 南北朝室町時代
第6章 戦国時代
第7章 江戸時代
第8章 明治・大正時代
第9章 昭和時代
第10章 平成・令和時代

 

1600円の本なのだが、結構、マニアックに充実している。
時代の流れを大きくつかむのによい副読本って感じ。
たしかに、時々出てくる「地図で見る」のページは、日本図に各合戦の位置が示されたり、全体の勢力図がわかり、地図のページだけをみても、結構たのしいかも。
ま、ほとんどの地図は、東北から九州までで、北海道は函館がちょろってみえているだけなんだけど。。。佐渡隠岐対馬壱岐などは、しっかり地名まで書かれている。藩の名前や、それぞれの土地の大名の名前も、結構、こうしてまとまっているとわかりやすい。

 

各時代の代表的出来事だけ、覚書。

弥生時代
九州北部に水稲栽培が伝わり、定住生活が始まる。

 

・飛鳥・奈良時代
663年:白村江の戦い。唐・新羅百済を殲滅。百済を応援した倭(日本)も惨敗。船の規模がまったく違った。
710年:平城京遷都
724年:聖武天皇即位 → 正倉院の宝物

 

平安時代
遣唐使派遣。中国から様々なものを持ち帰る。中には経典類も。
平等院鳳凰堂。1053年、藤原頼道により極楽の楼閣を地上に現した仏堂として建立。2014年に平成の大修理・修復が行われた。


鎌倉時代
源氏 vs 平氏。「治承・寿永の乱」。壇の浦の戦い@関門海峡長門山口県
1281年:モンゴル襲来(1274文永の役、1281弘安の役
源頼朝により、東大寺大仏殿を再建

 

南北朝室町時代
足利尊氏北朝光明天皇 vs 後醍醐天皇南朝@吉野
千早城合戦(1332):楠木正成 vs 鎌倉幕府
足利義満相国寺(臨済宗)創建。

 

・戦国時代
大内氏山口県が栄えていた。フランシスコ・ザビエルキリスト教布教を開始したのが山口。
天正遣欧少年使節が、長崎県から出航。
織田信長今川義元を破る@桶狭間の戦い。美濃へ進出。本能寺の変で没(1582)
豊臣秀吉大阪城(1596)織田信長安土城を圧倒する城を!

 

・江戸時代
関ケ原の戦い(1600):「徳川家康」の率いる東軍 vs「石田三成」の率いる西軍。家康の勝ち!
徳川家康:京都(聚楽第伏見城・二条城)、大阪城駿府城江戸城
江戸の「湯屋」:庶民の銭湯
5代将軍・徳川綱吉:生類憐みの令(お犬様)
8代将軍・徳川吉宗:鷹狩を復活。
百姓:小農経営の誕生  → 百姓一揆。 民衆運動の起こり。
1853年:ペリー来航
函館開港(1861):ロシア、アメリカ、イギリス

 

・明治・大正時代
日米修好通商条約調印 → 安政の大獄 → 桜田門外の変(井伊直弼暗殺)
1867年:大政奉還
1868年:王政復古のクーデター、鳥羽伏見の戦い戊辰戦争
欧米諸国との国交が始まったことで、日本国内にナショナリズムが台頭し、外国人殺傷事件が多発。戊辰戦争へ。
1870年:横浜の開港

 

昭和以降は、だいぶ馴染みのある話になってくる。戦争についてはあまり取り上げられていない。
夕張破綻は、バブルの遺産、と表現されていた。
東京スカイツリー2020年東京オリンピック

 

東京スカイツリーって、2012年竣工。もう、10年も前なのね。まだ10年か、と言う気もするけど。「工作物」としては634メートル。自立式電波塔としては高さ世界一。
ムサシの国の634。第二展望台までが建築物であり、その高さは、470メートル。
ドバイのブルジュ・ハリファの828メートルに次いで世界第二位。ってか、828メートルの高さって、なんじゃ???って感じだけど。


こうして、ざー--っと、日本史をお浚いするのと、そのとき地球の他の場所では何が起きていたのか、ということと併せてみると、面白い。

当たり前だけど、私が小学生の時は、平成や令和の歴史を勉強する必要はなかった。。。。この先の未来も、時がたつのにつ入れて、受験生が勉強しなきゃいけない歴史は増えていくんだなぁ、なんて事を思ってしまった。

東京オリンピックっていったって、1964年で、東海道新幹線が開通しました、って覚えるだけなのと、東京オリンピックは過去に2回開催されています。1964年と2021年です。2021年は、世界的に蔓延したコロナウィルスの影響で2020年開催予定から1年延期され、無観客にて2021年夏に開催されました。って、覚えるのと、、、、負荷が違うよね。。。

正直、歴史の授業は好きではなかった。そんな昔のこと、私には関係ないし!くらいに思っていた。でも、こうして趣味として歴史と向き合うと、いろんな面白さが見えてくる。

 

そして、今現在起きていることのメディアでの解説などでは、歴史上の出来事のアナロジーで語られることが多いので、やはり、歴史を頭に入れておくと、物事の理解速度が上がる気がする。

 

本を読んでいて、わからない言葉が出てくると思考が止まるように、わからない歴史上の出来事がでてくると、そこでその解説に対する思考がとまる。あれ?と思っている間に話はすすみ、ついていけなくなる。すると、全体像がつかめずに、あれよあれよと、、、おいていかれる。

ある単語が出てきたときに、それがすぐに何かを説明できなかったとしても、およそいつの時代のどんなことなのかがイメージつくだけでもよいのだと思う。

 

歴史は、年代を覚えるのが重要なのではなく、流れを知るのが大事。ビジネス戦力と同様に、「ストーリー」が大事なのだ。ストーリーがないと意味がないのだ。

 

というわけで、ストーリーとして歴史の出来事を垣間見れる、なかなかの良本。夏休みのひと時に、おすすめ。固有名詞や難しい漢字にはフリガナもふってあるので、子供でも楽しめそう。

 

歴史は、時々復讐すると、過去の記憶がよみがえってくるのも楽しい。

 

 

地図