「言志四録」(三) 言志晩録   佐藤一斎

「言志四録」(三) 言志晩録
 佐藤一斎
川上正光全訳注
講談社学術文庫
1980年5月10日 第一刷発行

 

とある勉強会での、お薦めの一冊として薦められていた本。とても気になったので、文庫本で買ってみた。1年以上前に購入し、ザーッと目を通して、とてもじゃないが、一度読んでおしまいの本ではないということが分かった。

 

佐藤一斉は、幕末から明治に活躍した多くの人々、西郷隆盛吉田松陰勝海舟らに影響を与えたと言われる、幕末の儒学者。彼が、42歳から82歳にかけてまとめ上げたのが、名語録『言志四録』。

その中でも、(三)言志晩録。

多くの版がでているようだけれど、全訳注のついている、本書を購入してみた。

 

全部で292の言葉。

そして、付録として入学説。「重職心得箇条」がついている。

 

今日は、その「はしがき」から。

はしがき
単記すること積年、又一堆を成す。輯録(しゅうろく)するに及びては、則ち略類(ほぼるい)を以て相従う。事も亦多く喝を釈(とく)の後に係れり。録は天保(てんぽう)戊戌(ぼうじゅつ)孟陬(もうすう)の月に起こり、嘉永(かえい)己酉(きゆう)仲春(ちゅうしゅん)の月に至る。

一斎老人自ら題す

意味:
ひとつずつ書いて、年をかさね、積み重なった。
少し整理して、同じものが続くように、編集した。
書いた内容は、仕官後のことに関係している。
記録は、天保9年正月から、嘉永2年2月まで。

一斎老人が自ら書いた。


と、まぁ、漢文なのだ。もとの漢文は、レ点などがついているけれど、とてもではないが、サラサラとは読めない。

一斎老人の言葉が、この先、つらつらと続いていく。

 

一 為学と為政
「学を為すの緊要は、心の一字に在り・・・・・」

意味:

学問をするにあたって、最も大切な事は「心」という一字にある。自分の心をしっかり把握して、これを始める。これを聖人の学というのである。
政事をするにあたって第一に目をつけるところは、「情」という一字にある。人情の機微に従って、人々を治める。これを王者の道という。
これら王者の道と聖人の 学とは実は一つであって、二つではないのである。

王道:仁義道徳をもって天下をおさめる政事。覇道の反対。


なんとなく、一日ひとことずつ、じっくりみていこうかな、とおもう一冊なのだ。

292の語録が並んでいるので、1年かけて、1冊という感じだろうか。

 

こういう一冊、手元に置いて、時々気になった言葉を拾うだけでもよいと思う。
ふと、忘れていたことを思い出させてくれるような気がする。

 

今日は、夏休みを迎える気分で、気分転換、心機一転、そんな気分だったので、本書について書いてみた。

 

「心」が大切である。

そうだよね。

 

起きていることはすべて正しい。

頭で考えずに、そのまま、心で受け止めよう。

 


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