『偉人メシ伝  天才は何を食べて成功したのか』 by  真山知幸

偉人メシ伝
天才は何を食べて成功したのか
真山知幸
笠間書院
2022年7月5日 初版第1刷発行

 

新聞の広告で見たのだと思う。面白そうと思って、図書館で借りてみた。

 

感想。
面白い!!
面白い!!
笑える!!
しかも、よくこれだけ、、くだらないというか、どうでもいいような些細なことを調べつくしたな、という感じ。
なかなかの力作である。

 

著者の真山さんは、著述家、偉人研究科だそうだ。納得してしまうほどの、研究ぶりである。
1979年、兵庫県生まれ。2002年、同志社大学法学部法律学科卒業。上京後、業界誌出版社の編集長を経て、2020年より独立。偉人や名言の研究を行い、『偉人名言迷言辞典』『泣ける日本史』『天才を育てた親はどんな言葉をかけていたかな』ど著作50冊以上、と。

知らなかった、
多分、初めて読んだ。

 

表紙の裏には、
” 贅沢三昧、食べすぎ、ゲテモノ食い、好き嫌い、味オンチ、潔癖、健康オタク、、、
すごい人たちの奇妙キテレツな食生活を紹介!”と。

 

確かに、キテレツかも。でも、面白い。すごい人たちは、日本人だけでなく、世界のすごい人たちの食についてのレポート。
巻末には、それぞれの参考文献がズラリ。雑学王!って感じ。

 

だからどうした、と言われればそれまでだけど、へぇ、ほぉ、そうなのぉ、とおもわず、ニンマリしながら読んでしまう。あっという間に読める娯楽の一冊。
なかなか、面白かった。

彼の著書、他も読んでみたくなった。ちゃんと調べたことに基づいて書かれていて、それでいて個人的解釈というのか、感想みたいのもあって、おしろい。頭のいい人なんだろうな、という感じ。

 

目次

第1章 歴史を動かしたリーダーたちの「メシ」
第2章 文系・理系の天才たちの「メシ」
第3章 芸術・文化の巨匠たちの「メシ」
第4章 政治・経済のトップたちの「メシ」
第5章 エンタメの神様たちの「メシ」

 

どれを覚書しようか、と迷ってしまうほど、どれもこれも、、どうでもいいと言えばどうでもいいような、ほほぅなるほど、と唸るような。。。。


いくつか、覚書しておこう。

 

「梅干しのおにぎり」
腹は減っては、戦はできぬ、、の合戦メシ。1221年、、後鳥羽上皇鎌倉幕府を打倒すべく兵をあげた時に、頼朝の妻、北条政子が立ち上がった
「この中に朝廷側につこうというものがいるなら、まずこの私を殺し、鎌倉中を焼き尽くしてから京都へ行きなさい」そういって、武士たちは鎌倉幕府に味方することを決意。この「承久の乱」のときに、鎌倉幕府側の兵士に配られたのが、「梅干し入りのおにぎり」だった。そこから、梅干しは一気に、広がった。
梅干しは塩分をとれるだけでなく、クエン酸が体の疲れを癒してくれる。
梅干しおにぎり、ばんざーい!


織田信長は、「立ち食い」「早食い」桶狭間の戦いの前、勝ち目のなさそうな戦に、信長は夜明けに舞を踊り出す。しかし、踊っていたかと思うといきなり、「法螺貝を吹け!武器をよこせ!」といって、いきなり戦闘モードに入って、 鎧をつけ、立ったまま食事をとり、兜をかぶって出陣した、と。玄米にお湯をかけた湯漬けをかきこんで出陣する姿が、歴史ドラマなどでは描かれる。しかし、信長公記には、たったまま食事をとり、とは書かれているけれど、何を食べたのかまでは書かれていないそうだ。
そこまで、調べている著者がすごい。

 

健康オタクで有名なのは、徳川家康。夏でも温かいうどんを食べて、胃腸をひやさないようにしていたと。そして、健康のために、自らクスリの調合までしていた。しかし、晩年、体調を崩した時に医師が止めるのにも関わらず自家製の腹痛薬を飲み続け、、、どんどんやせ衰え、、75歳で亡くなってしまう。ま、当時の75歳なら、長生きだろうけど。。

 

西郷隆盛勝海舟は、二人して甘いものが大好きだった。だから、相性がよかったのだろう、、と、。

西郷さんは、うなぎも大好物。なんと、愛犬トラにも、うなぎを食べさせていたらしい。なんと、贅沢な。。。

一方で、西郷さんと同じ薩摩藩大久保利通は、西郷さんとは正反対。食は細く、胃腸も弱かった。そんな大久保が好きだったのは、鹿児島寿司。家庭で作るちらし寿司だったそうだ。


カレー好きといえば、湯川秀樹。1949年、中間子理論にて日本人初のノーベル賞を受賞した湯川秀樹は、京都の「丸太町東洋亭」のビーフカレーが大好きで、たびたび通っていたそうだ。カレーをたべてノーベル賞学者になれるなら、もっと、カレー食をべればよかった。なんて。

 

文豪で言えば、ドフトエフスキーは、無類の紅茶好き。『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』などの名作を残した世界的文豪は、紅茶が大好きで、紅茶の入れ方にも異常なこだわりを持っていた。「一杯の紅茶を飲むためなら世界が滅びても構わない」と。。。 

 

イタリア全盛期のルネッサンスで活躍したレオナル・ド・ダヴィンチは、彫刻建築土木など幅広い分野でも歴史に足跡を残した万能の天才。森羅万象のメモをしていたので、「食」についても書き残している。ワインも飲むし、魚の肉もよく食べた。食養生への関心も高かったようだ。食と健康についてのメモが面白い。

・食いたくないのに食うなかれ、軽く食べよ
・よく噛め、摂取するものは十分に煮て、料理は簡単に
・薬を飲むものは療法を謝るもの
・立腹をやめて、澄んだ空気をさけよ。食卓を離れた時は姿勢を正しくしたまえ、昼間うたた寝しないように
・酒は適度に、少しずつ何回も
・食事をはさまず、また空腹をかかえているなかれ
・便所は待つな、ためらうな
・体操するなら動きを少なく
・腹を仰向けにしたり、頭を下げているな、夜は布団をよくかぶるよう
・頭を休め心は爽快にしていること
・肉欲を避けて食養生を守れ

と。


沢山のメモをしているダヴィンチだが、最後のノートとなるページには、幾何学図形の変化を理解しようと格闘する跡が。が、突然文が途切れ、筆をおく理由として、
「スープが冷めるから」と、かかれていた。

スープは温かいうちに飲む。これも、養生のひとつだったのか?!?!

 

他にも、手塚治虫は漫画家をめざす人にとっては神様のような人だけど、ラーメンが大好きだったとか。 

 

まぁ、次から次へと、様々な人の様々な食習慣。面白かった。

自分の気になる人が出ているページをペラペラめくるだけでも楽しいかも。

文章のテンポもいい。

 

あぁ、面白かった。

でて来る食べ物が、どれも普通メシなところもいい。

偉人たちが身近に感じられる一冊。

娯楽に、お薦め。

 

 

『偉人メシ伝 天才は何を食べて成功したのか』